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EMC、仮想データセンターを実現する「Symmetrix V-Max」-最大2PBまで拡張可能


データセンターの垣根を越えて、単一のストレージを実現するVirtual Matrixアーキテクチャ

執行役員 マーケティング本部長の高橋俊之氏
 EMCジャパン株式会社は4月15日、新アーキテクチャ「EMC Virtual Matrixアーキテクチャ」と、同アーキテクチャを採用したストレージシステム「EMC Symmetrix V-Max」を発表した。同日より販売を開始する。

 今回発表されたVirtual Matrixアーキテクチャは、システム容量を数百PB(ペタバイト)、1秒あたり数千万規模のI/O性能まで拡張可能なアーキテクチャ。高速インターコネクト「RapidIO」を採用しており、ストレージ間の相互接続を実現しているのが特長。これにより、数十万台規模の仮想サーバーを単一のストレージインフラストラクチャでサポートできるとしている。

 同社執行役員 マーケティング本部長の高橋俊之氏は、「現状のデータセンターは複雑化しすぎており、その管理のためにIT予算の8割が使われてしまっている。その結果、現場からは、役に立たないだとか、フレキシブルでないだとかいった不満が生まれ、IT部門自身もほかに予算が使えないという意味で挫折感を味わってしまっている。また、システムを刷新するといっても従来路線の発想のままで刷新しても意味がない。今回発表したVirtual Matrixアーキテクチャは、柔軟・動的・オンデマンドな対応が可能なクラウド時代の企業データセンター向けのストレージアーキテクチャ。データセンター間の接続も意識したアーキテクチャなので、複数のデータセンターをあたかもひとつのデータセンターのように振る舞うことが可能になる」と、仮想化時代のデータセンターを実現するものであると強調した。


 Virtual Matrixアーキテクチャの構成要素となるのが「Symmetrix V-Maxエンジン」。エンジンあたりVirtual Matrixインターフェイスを2つ搭載し、最大8つのV-Maxエンジンとの相互接続が可能。V-Maxエンジン単体では、クアッドコアXeonを4基、最大128GBのグローバルメモリ、最大16台のホスト、16のドライブチャネル接続をサポート。8つのV-MAXエンジンを相互接続することで、32CPU・128コア、1024GBグローバルメモリ、128ポートのホスト接続、128ポートのドライブチャネル接続、最大2400ドライブ・2PBの有効容量まで拡張可能。ホスト接続は、ファイバチャネルのほか、FICON、Gigabit Ethernet、iSCSIに対応。ドライブチャネルは、ファイバチャネルのほか、フラッシュドライブやSATAドライブをサポートしている。


マーケティング本部 プロダクト・マーケティング部 部長の中野逸子氏

Symmetrix V-Maxの特長

ハイエンドストレージアレイのSymmetrix V-Maxと、エントリーポイント向けのV-Max ESを用意
 今回発表されたSymmetrix V-Maxは、Virtual Matrixアーキテクチャに対応した初のストレージシステム。V-Maxエンジンの採用により、Symmetrix DMX-4と比べて、最大2倍の接続性を実現したほか、パフォーマンス・実行容量ともに3倍の性能向上を実現。接続性と性能の両方を向上させながらも、消費電力は20%削減したという。

 同社マーケティング本部 プロダクト・マーケティング部 部長の中野逸子氏は、「仮想環境は小さくはじめて、大きく成長させられるのがメリットの一つ。今回発表したSymmetrix V-Maxは、アーキテクチャ自体が大きな拡張性を持っているのが特長。相互接続ではインターコネクトを採用することで、データセンターのニーズにあわせた拡張が可能。将来的には、データセンター間の拡張にも利用できる」と、仮想環境で求められる拡張性に柔軟に対応可能なものであると紹介。

 「Symmetrix V-Maxは、パフォーマンスの向上のほか、実容量以上の容量をサーバーに対して仮想的に提供する仮想プロビジョニング機能や、I/O特性に応じたストレージの階層化、データ消失ゼロの新しい非同期レプリケーションなど、各種機能も大幅に強化している。仮想化に限らず、ストレージ統合にも最適な製品」と説明した。

 また、Virtual Matrixアーキテクチャのデータ再配置機能を拡張することで、多数のストレジ階層にわたるデータ移動を自動化する「FAST(Fully Automated Storage Tiering)」を2009年後半に提供することも発表。FASTは、性能に優れたフラッシュドライブ、コストパフォーマンスに優れたSATA HDDなどを組み合わせることで、パフォーマンスが必要なデータを自動的に最適な階層に移行する機能。自動的にサービスレベルを最適化できるため、ROIの向上、TCOの削減に効果があると同社では説明している。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/
  プレスリリース
  http://japan.emc.com/about/news/press/japan/2009/20090415-1.htm


( 福浦 一広 )
2009/04/15 14:46

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