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日本HP、拡張性を高めたEVAディスクアレイシリーズ上位2機種

SAN全体を仮想ストレージプール化する新製品も

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は4月15日、ディスクアレイ「HP StorageWorks Enterprise Virtual Array(以下、EVA)」の新製品「EVA 6400/8400」を発表した。併せて、EVAを利用した仮想化ストレージの導入・構築・移行を支援する「EVA仮想化推進サービス」や、SAN環境を仮想化する新製品「SAN Virtualization Services Platform(以下、SVSP)」も発表。いずれも同日より販売・提供を開始する。


EVA製品ラインアップ EVA 8400

拡張性を高めたEVAシリーズ新機種

エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 担当マネージャの礒佐江氏

従来のアレイよりも容量効率に優れるEVAシリーズ
 EVAシリーズは、アレイ単位の仮想化を実現するファイバチャネル(FC)ディスクアレイ。エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 担当マネージャの礒佐江氏によれば、「SAN導入に伴い浮き彫りになったストレージの課題を解決できる製品」。

 ここでいう課題とは、「一般的なSANでは構成が複雑で管理も難しく、特にバックアップに確立された手法がないことが管理者の頭を悩ませている。また容量を追加する作業も煩雑となるので、ストレージベンダーに依存した運用が行われているのが現状。容量追加作業が大変なため、往々にして、必要以上の容量を割り当てて運用スタートとなることが多い。“必要以上の容量”はいずれ無駄な空き容量となり、結局、過剰コストの原因となってしまう」(同氏)点だ。

 これに対し、アレイ単位で仮想化が可能なEVAシリーズでは、「すべてのディスクを束ねて仮想ディスクプールを形成し、そこから必要なサイズを切り出すことができるので、スモールスタートが可能になる。容量追加の際も、自動的にデータの再配置が行われ、すべてオンラインで実行可能。操作も簡単なので、多くのユーザーがストレージベンダーに依存することなく、自らストレージの管理を行っている」(同氏)とした。

 こうしたメリットや、ブレードサーバーとVMwareの構成が評価され、それを支えるSANとしてEVAシリーズに注目が集まったことから、「2008年からの1年間でワールドワイドの出荷台数が、4万台から6万台へと加速度的に伸びている」(同氏)とのこと。

 今回の新機種では、拡張性のさらなる向上を図った。ディスク搭載数をEVA 6400で最大216個、EVA 8400で最大324個に拡充し、キャッシュ容量も従来の最大8GBから最大22GB(EVA 8400)に増強。このメリットについて同氏は「EVAではディスク本数分のI/Oを使用するため、搭載数が増えたことで、これまで以上に高いI/O処理が実現するとともに、キャッシュ容量の増強で、アプリケーションのリード・ライト性能の大幅向上が見込まれる」と説明している。このほか、RAID 6への対応や、プロビジョニング自動化ツール「Dynamic Capacity Management」におけるLinuxのサポート、SSD対応といった機能強化が図られた。

 価格面でも「ハードウェア性能を向上しつつも、価格は従来機種と同等構成で最大22%引き下げられているため、TBあたりの容量単価で最大28%の低減となっている」(同氏)。価格はEVA 6400が784万3500円から、EVA 8400が1737万7500円から。


SAN全体を仮想ストレージプール化するSVSP

SVSPの構成イメージ
 今回はEVA新機種のほかに、複数のストレージで構成されるSAN環境自体を仮想化するSVSPも発表された。EVA 6400/8400の上位製品に位置付けられ、EVAシリーズ単体では足りないユーザー向けの製品。標準ハードウェアの「データパスモジュール(DPM)」「SVSP管理サーバー」と、標準ソフトウェアの「SVSP Volume Manager」などから構成される。

 DPMは、複数のディスクストレージのコントローラーとして動作するアプライアンスで、これをサーバーとSANの間に設置することで、複数のディスクストレージを集約し、単一の論理ストレージとして管理可能にする。これにより、単体のディスクストレージの制限を超えて容量や性能のスケールアップが可能になるほか、異なるストレージ間でデータの複製や移行も容易になる。さらに複数のストレージにまたがったストライピングによるパフォーマンス向上も実現するという。

 「SANアイランドの統合を果たすもので、定量的な効果としては、SAN全体でストレージ容量の利用率を300%向上できるほか、バックアップ時間も最大80%縮小することに成功している」(同氏)とのこと。

 価格は、DPM×2台、管理サーバー×2台、SVSP Volume Manager5TB分を含んで、975万1350円から。


EVAを中核とした仮想化ストレージ導入支援サービス

EVA仮想化推進サービスの概要
 このほか、EVA新機種の発売に伴い、サービス面も強化。EVAを中核に、ブレードシステムやVMwareで構成される仮想化ストレージ環境の導入・構築を支援するEVA仮想化推進サービスが紹介された。「仮想環境最適化ストレージアセスメントサービス」「仮想化環境構築サービス」「データ移行支援サービス」から構成され、ストレージに関してデータ移行の必要性、コスト削減、性能課題、リスク対策といったニーズを抱えるユーザーを支援するという。

 具体的にアセスメントサービスでは、サーバーのディスクI/Oやディスク容量、今後のサービス方針と行った基本情報から最適なストレージ環境について調査を行い、複数の構成パターンでのコスト試算や効果測定を実施。アセスメント結果報告書などから、ストレージ仮想化環境についての具体的な提案を行い、構築サービスやデータ移行支援サービスで実際の構築を行っていく。

 10台以上のサーバー、3TB以上のストレージ容量を利用していて、サーバー仮想化・統合を検討する顧客などが対象。価格は、仮想環境最適化ストレージアセスメントサービスが84万円から、仮想化環境構築サービスが420万円から、データ移行支援サービスが204万7500円から。

 これら新製品・新サービスにより、同社では、EVAシリーズ全体で対前年比30%増の出荷台数を目指す方針。



URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-091.html

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( 川島 弘之 )
2009/04/15 15:35

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