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米Nexsan、“サーバー仮想化と相性のいい”iSCSIストレージアプライアンス


Nexsan iSeries 400i(上)

CEO兼取締役のフィリップ・ブラック氏(左)と、日本オフィス カントリーマネージャーの秋山将人氏(右)

Nexsan iSeriesが提供する機能
 米Nexsan Technologies(以下、Nexsan)は4月15日、iSCSIストレージアプライアンス「Nexsan iSeries」を発表した。システム全体で最大1PBまでの拡張性を持つほか、データミラーリングのサポートなどによって、高可用性を実現しているという。ラインアップには中小規模向けの「200i」と、ミッドレンジ以上に向けた「400i」を用意する。

 Nexsan iSeriesは、同社のストレージアレイとサーバーをつなぐためのiSCSIゲートウェイアプライアンス。サーバー群と接続するためのiSCSI(Gigabit Ethernet)ポートと、ストレージアレイを接続するための4Gbps FC(200iは2Gbps FC)ポートを備えており、「ストレージを階層化、仮想化する役割を担う」(日本オフィス カントリーマネージャーの秋山将人氏)という。

 あくまでコントローラであるため、単体ではHDDを持たず、「SASBoy」「SATABeast」などのNexsan製ストレージアレイを接続して利用するが、システム全体で最大200のアレイ(200iは最大100)のアレイを接続可能な高いスケーラビリティを備えている。コントローラの機能としては、オンラインのデータ移行を可能にするマイグレーション機能のほか、スナップショット、同期・非同期のレプリケーション、データミラーリング、データストライピングといった機能を備えており、ユーザーのニーズに応じてさまざまに設定できる。

 これらの機能のうち特にユニークなのが、複数のボリュームをミラーして可用性を高めるデータミラーリングの機能だ。Nexsan iSeriesを用いればクラスタを構成することが可能だが、秋山氏は「現状のクラスタシステムでは、すべて二重化されているといっても、ストレージ部分はRAIDのみに頼っている場合がほとんど。データミラーリングの機能を利用すれば、筐体の二重化を含めて、万全の運用ができる」という点を指摘。

 「例えば、ファームウェアのアップデートをする場合、オンラインアップデートの機能があったとしても、信頼性を考えてなるべく停止したいという場合も多いが、現状のストレージシステムではそれが不可能。しかし筐体をまたがったデータミラーリングを利用すると、片方を停止させて個々にアップデートを行うことができ、完全に無停止のクラスタを運用できる」と、その価値を説明した。

 またスナップショットでも、「競合の製品では、SAS HDDで構成されたボリュームのスナップショットはSASでしかとれない、といったケースが多いが、スナップショットはあくまでも本番用ではなくバックアップであり、安価なSATA HDDで構成されたボリュームを利用したい、というニーズがある。当社ではこれを可能にしており、コスト効率の高い運用が可能だ」と述べ、他社製品との違いを強調している。


コスト効率のよい耐障害システムを構築できる
 Nexsanでは、サーバー仮想化環境や、SQL Server、Oracle Databaseなどのデータベース環境を主な対象として想定。また、バックアップデータのデータレプリケーションを提供する事業者や、大都市圏の範囲に地理的に分散したクラスタを構成するメトロクラスタなどのソリューションも、従来の他社製品と比べて非常に安価に提供できることから、積極的に訴求するという。特にサーバー仮想化に関しては、「数十もの仮想マシンが同じストレージを共有することになるため、ストレージの計画停止は難しい。そこでデータミラーリングを使えば、今までにないフルの冗長化ソリューションを、安価に提供できる」(秋山氏)としており、積極的に訴求を図りたい考えだ。

 インターフェイスは、iSCSIポートを200iが2基、400iが3基、またFCポートを200iが2基、400iが4基搭載。参考価格は、200iが247万8000円(税別)、400iが457万円(同)。Nexsanでは日本での発売を記念したキャンペーンも6月15日まで実施しており、例えば400i×2、450GB SAS HDD×42を搭載したSASBeastといった構成では、約36%引きの1432万円(同)で提供する。

 なお、今回の発表にあわせて来日した、CEO兼取締役のフィリップ・ブラック氏は、iSCSI市場について、「LeftHand NetworksがHPに買収されたほか、EqualLogicが、直販ビジネスを中心とするDellに買収されたが、チャネルはビジネスの幅が狭くなったり、マージンが少なくなったりすることに不満を持っており、市場でのビジネスチャンスがある状況だ」とコメント。「こういう経済情勢の中でも、ストレージはまだあまり悪い状況になっていないものの、お客さまの多くは価格を大きく意識されるようになった。当社では価格に対してのバリューが高いという評価をいただいており、チャンスはある。日本も重要な市場であるから、日本での投資も続けていく」と話している。



URL
  米Nexsan Technologies(日本語)
  http://www.nexsan.jp/
  ニュースリリース
  http://www.nexsan.jp/2009-04-15-news.html

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  ・ 米Nexsan、MAID技術を搭載した省電力・高密度ストレージ「SASBeast」(2008/12/16)


( 石井 一志 )
2009/04/15 18:55

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