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シスコ、電話・ビデオなどを統合したIPコミュニケーション製品の機能を拡張


米Cisco Systemsのプロダクトマーケティングディレクター Hank Lambert氏
 シスコシステムズ株式会社(以下、シスコ)は3月23日、データ通信とマルチメディア通信を統合したネットワークの利点を活用する、IPコミュニケーションシステム対応の製品、ソリューションを発表した。これらは、同社のアーキテクチャであるCisco AVVID(Architecture for Voice,Video and Integrated Data)に基づくもので、今回発表された具体的な製品は、呼制御サーバーソフトウェアの新バージョン「Cisco CallManager リリース 4.0」、IPビデオ電話ソリューション「Cisco VT(ビデオ テレフォニー) Advantage リリース 1.0」、IP電話機「Cisco IP Phone 7970G」、ソフトフォン「Cisco IP Communicator」など。

 同社のAVVID構想では、メールやインターネットなどで利用される通常のデータ通信と、IP電話、IPビデオ会議などの各通信を統合された1つのIPネットワークで実現することで、顧客に明確な価値を提供しようとしている。同一のネットワークを利用することで導入コストを抑えるとともに、管理のしやすさ(=管理コスト削減)を提供することが主な目的だ。

 しかし、これらのメリットはそれだけではなく、米Cisco Systemsのプロダクトマーケティングディレクター Hank Lambert氏が「これまでの電話と同じシンプルさで、ビデオコミュニケーションの価値を廉価に提供する」と語ったように、ユーザビリティ、価格も考慮した製品が提供されるという。


拡張されたIP電話、ビデオのソリューション

 AVVIDの一角を担うVT Advantageは、USBカメラとソフトウェアからなる製品で、「VT Advantageでは、電話するのと同じイメージでビデオ電話を利用できるようにした」(Lambert氏)製品。PCにUSBカメラを接続してソフトをインストールすると、対応する同社のIP電話とPCが対応付けられ、CallManager 4.0が仲立ちになって、通常の電話と同じ感覚でビデオ電話が利用できるようになる。使用するUSBカメラにはビデオエンコーダがあらかじめ内蔵されており、利用中もPCに負担をかけないように配慮されている。参考価格は28,000円からで、2004年の第二四半期に出荷開始となる予定。

 なおVT Advantageの利用は通常同時1対地のみだが、サードパーティ製品を含めたほかの多地点接続装置などのソリューションと組み合わせることで、3地点以上を接続したビデオ会議に利用することも可能。

 Cisco IP Communicatorは、PCを利用してIP電話を利用するソフトフォン。TAPI(Telephony Application Program Interface)ベースであった従来のソフトフォンと異なり、同社の既存のIP電話と同じSCCP(Skinny Client Control Protocol)に対応したため、IP電話機が持つすべての機能に対応したという。これにより、オフィス外でも、オフィスにいるのと同じ機能を利用できるようになった。またXMLに対応しているため、ほかのフォンサービスをPCでも使用できるとのこと。参考価格は35,000円より。出荷は2004年第二四半期に開始される予定となっている。


セキュリティ機能などを強化したCallManager 4.0

IP電話機「Cisco IP Phone 7970G」。この写真では、サードパーティのアプリケーションと組み合わせ、電話をかけてきた相手の情報を表示させている
 これらの呼制御サーバーソフトウェアのCallManager 4.0は、SIP、Q.SIG(PBX用のシグナリング規格)といったシグナリングプロトコル関連の機能が新たに強化され、PBXをはじめとする他社製品との互換性を確保。またセキュリティ関連の機能では、シグナリングを含めた暗号化が行えるようになったため、音声通話部分だけでなく、すべての通信の暗号化に対応できる。また電子証明書(x.509v3準拠)に対応した。なお電子証明書に関しては、今後出荷されるIT電話機にはすべて標準で組み込まれるようになるという。CallManager 4.0の参考価格は811,000円からで、こちらも2004年の第二四半期より出荷開始される。

 今回はこれらと同時に、2003年12月より販売が開始されているIP電話機「Cisco IP Phone 7970G」、2004年1月より販売されているIP会議用音声ステーション「IP Conference station 7936」も同時に発表された。IP Phone 7970Gは大型のカラータッチパネル液晶を持つIP電話機で、参考価格は104,000円から。IP Conference station 7936は、既存の同7935に拡張マイクを接続できるようになったもの。参考価格は194,000円から。



URL
  シスコシステムズ株式会社
  http://www.cisco.com/jp/

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( 石井 一志 )
2004/03/23 17:54

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