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富士通、ネットワーク統合機器「IPCOM」の新シリーズを発売


IPCOM S1000
 富士通株式会社は、ネットワーク統合機器の新製品「IPCOM Sシリーズ」4モデルを4月8日より販売、14日より出荷する。

 IPCOM Sシリーズは、ルーターやファイアウォール、IPsec VPNアクセレレーションの機能を統合したオールインワンタイプのネットワーク機器。1Uサイズで拠点向けのS1000/1200、2Uサイズでセンター向けのS2000/2200の4モデルがあり、ネットワークポート数や、ロードバランス、SSLアクセレレーション機能の有無、電源、ファンの冗長化が両製品の差となる。またGigabit Ethernetには最上位のS2200のみ対応している。その他の機能は以下の通り。


モデル名S1000S1200S2000S2200
WANインターフェイス2211
LANインターフェイス2488
ファイアウォール170Mbps200Mbps200Mbps1.5Gbps
帯域制御100Mbps200Mbps200Mbps1.5Gbps
負荷分散--17,000セッション/秒26,000セッション/秒
SSLアクセレレート--1,000tps1,400tps


 価格はS1000が800,000円、S1200が1,980,000円、S2000が4,700,000円、S2200が7,900,000円。同社では、ネットワーク機器をそれぞれ購入する場合と比べ約半額としており、既存のルーター市場のほか、自治体パッケージのコンポーネントなどとして地域のディーラー向けにも販売も行い、今後2年間で約4,000台の販売を目標としている。


富士通株式会社 経営執行役常務 伊東 千秋氏
 同社経営執行役常務の伊東 千秋氏はまず、「ITと経営は不可分である」とした。同社のIT基盤構想“TRIOLE”では、「メインフレームの堅牢で品質の高いシステムを、オープンでいかに実現するか」とのコンセプトに基づき、「企画立案からカットオーバーまでのスピードと、アダプティブな変化という顧客ニーズを満たすことを目指している」とした。

 現在のITシステムは、Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースの3階層と、ルーター、ファイアウォール、暗号化、負荷分散といったネットワーク機器が存在し、それぞれ二重化されるなど複雑さが増している。

 同社の“TRIOLE”では、「システムを変化するものと変化しないものを分け、ITインフラの共通部分はゼロからスクラッチせず、いくつかのパターンテンプレートを提示することで、システム設計をしやすくする」もの。これによりシステムをシンプルにし、その安定性にも寄与する。


富士通株式会社 IPネットワーク事業本部長代理 菊地 伸行氏
 IPネットワーク事業本部長代理 菊地 伸行氏は、「IP VPN、広域イーサの利用拡大といったインフラ整備を背景に、企業におけるネットワークの役割は重要化している」と述べた。

 そこでの課題として、「ファイアウォール、ロードバランサーをはじめとした機器の多さがある」とした。同社の調べでは、サーバー3に対してネットワーク機器は2の割合にまで増加している。これにより「テストやトラブル発生時の工数、運用コストが増加し、通信品質の低下を招いている」という。

 同社では、「単機能のルーター/スイッチは限界」ととらえ、ネットワーク機器を1台に集約した今回の製品により、「シンプルかつスピーディに高信頼なIPネットワーク環境と、高精度なトラフィック制御を提供する」という。設定から導入まで期間は従来20日から、社内評価では3~4日まで短縮されているとのことだ。

 同社では、情報部門と通信部門を2002年4月1日に合併しており、今回発表の製品はその技術が融合して生まれたものだという。このため拠点に設置したIPCOMを中央から一元管理できるほか、VPN環境下で回線を複数束ねた仮想専用線環境を構築できる。また同社の運用管理製品「SystemWalker」のリソース管理機能と連携してサーバープールからのリソース割り当ても可能となっている。

 また、アプリケーションごとに帯域を割り当てる帯域保証のデモも行われた。青と黄色のグラフは、左右の映像配信トラフィックを、赤はWebブラウザからのトラフィックを示している。Webのトラフィックが急増するネットワーク帯域の変化により、映像の転送でコマ落ちが生じたが、IP COMのトラフィック制御ポリシーを設定することで、左側の映像のみ、スムーズな配信が行われた。このように重要なトラフィックを保護する安定した通信環境を提供することが可能とのこと。


青と黄色のグラフは左右の映像配信トラフィック。赤はWebブラウザからのトラフィック量を表す IPCOMの制御ポリシーにより、重要なトラフィックを保護する設定が可能だ


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2004/04/8.html
  IPCOM
  http://primeserver.fujitsu.com/ipcom/


( 岩崎 宰守 )
2004/04/08 18:03

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