ノーテルネットワークス株式会社(以下、ノーテル)は4月9日、同社の通信事業者向けVoIPソリューションを解説するための記者説明会を開催した。
■ 通信事業者の“次”を見据えた、NGN
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ワイヤラインネットワークス キャリアパケットソリューションズ マネージャー、清水 謙二氏
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その中で同社のワイヤラインネットワークス キャリアパケットソリューションズ マネージャー、清水 謙二氏が述べたのは、「通信事業者が収益を上げるには、何が必要か」ということだ。
現在の一般的な通信事業者においては、固定網収入は減少の一途をたどっているが、データトラフィックは逆に増えている状況だという。つまり、「既存のビジネスモデルが成り立たなくなっている」(清水氏)ということだ。このような状況では、ビジネスモデルを変革し、どう長期的に収益をあげていくか、ということが非常に大事になってくる。
そこで同社では、IP技術を利用して、電話、データサービスなどのマルチメディアを1つのネットワークに統合する、NGN(Next Generation Networks)というコンセプトを提唱してきた。NGNでは、今あるTDM(Time Division Multiplex)やデータ回線を統合し、単一アーキテクチャでの運用を目指す。IP-VPNも広域イーサもVoIPも、すべて同じネットワークで提供されることになる。また、バックボーンはMPLSパケット網で統一して運用される。
「通信事業者が健全な状態であれば分かれたネットワークでもよかった」(清水氏)ネットワークをあえて統合するのは、コストダウンをはじめとする効果が十分ある、と見込まれるからだ。しかしそのためには、極めて信頼性の高いコアルータや、あらゆるサービスに対応できるエッジ機器が必要となる、また、実際に収益を生み出す新サービスも提供できなくてはならない。NGNの完全な実現に至るまでに、クリアしなければならない課題は大きい。
■ マルチサービス対応のエッジ機器で統合を目指す
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NGNアーキテクチャの概念図
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このうち、一番開発が困難なのはマルチ対応のエッジ機器だという。これには、従来の回線と新規のIP回線の双方に対応し、高い信頼性を提供でき、規模・ニーズに応じて必要な機能だけを採用できるハード・ソフトの構造を持ち、異なるサービスのQoSに同時に対応する、こうした機能が求められるのだが、「既存の製品では実現できないため、1から作らなければならなかった」(ワイヤラインネットワークス キャリアパケットソリューションズ プロジェクトマネージャー、近藤 卓司氏)。しかし、今まででは考えられなかったという「ダウンしない」ルータや、モジュール化したソフトウェアの採用など、新たな技術の投入により実現されることになるという。
また、NGNパケットコア部分のコアルータに関しては、米Avici Systems Inc.の製品をNGNソリューションの一部としてとして展開を行うことになっている。さらに、従来より通信事業者向けにはソフトスイッチ「CS 2000」「同Compact」やSIPベースのマルチメディアサーバー「MCS 5200」、ゲートウェイ製品「PVG」「MG 9000」などを提供しており、これら「VoIPをセグメントを問わず提供できている」(清水氏)ノーテルの製品の強みを生かし、サービス創出という部分でも、通信事業者にソリューションを提供できるとしている。
■ 通信事業者のパケットネットワーク化は始まっている
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Verizonのネットワーク構成概念図
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実際、基幹ネットワークにおいては、1月に米Verizonと加Nortel本社がVoIP機器導入に関しての協定を結んでいるし、3月にはケーブル・アンド・ワイヤレスIDCがCS 2000とMCS 5200を導入することが発表されており、特に「日本のNTT東西に相当する」というVerizonの導入計画が発表された後には、ほかの通信事業者からVoIP機器への問い合わせが相次いでいるという。ノーテルではNGNの促進によって、さらにこの流れを加速させたい意向だ。
■ URL
ノーテルネットワークス株式会社
http://www.nortelnetworks.com/corporate/global/asia/japan/
( 石井 一志 )
2004/04/09 16:37
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