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米Foundryコッパラプ氏、「2004年末には10GbE over Copper製品を提供する」


 米Foundry NetWorksは、モジュラータイプのレイヤ4-7スイッチで業界トップシェアを持ち、6年連続で高い収益を上げるなど、今注目されているネットワークベンダのうちの1つだ。今回は、同社の副社長兼サービスプロバイダー/マルチレイヤスイッチング事業部長、チャンドラ・コッパラプ氏に同社の製品と戦略についてお話を伺った。


テラビットクラスの製品、10Gigabit Ethernet製品で高い実績を持つ

副社長兼サービスプロバイダー/マルチレイヤスイッチング事業部長、チャンドラ・コッパラプ氏
─日本ではISPを中心としたビジネスを展開されているようですが、一般企業向けのビジネスに関してはどうお考えですか?

コッパラプ氏
 確かに、日本では売り上げの中にISPの占める割合は多い。しかし、一般企業の顧客数も少なくはない。ワールドワイドでは全体の収益のうち75~85%を一般企業からあげているので、マーケティングや広報といったアウトリーチ活動を企業向けに行い、今後はこの分野にも今以上に食い込んでいきたいと考えている。

 製品別に見ると、ワールドワイドでは収益の85%程度がレイヤ2/3スイッチで、残りの15%がレイヤ4-7スイッチとなっているが、日本ではレイヤ4-7スイッチの割合が相対的に多い。これはNTTドコモという、非常に大きな顧客を持っていることが理由だ。今後はNTTドコモを含め、全体的に日本で売り上げを伸ばしていければベストだろうと考えている。


─レイヤ2/3スイッチでの競合ベンダ、またそれらと比べた場合の強調できる点を教えてください。

コッパラプ氏
 やはりシスコシステムズが一番大きな競合で、たいていの商談の場でぶつかる。ただ、以前はそのほかの競合ベンダはあまり見られなかったが、これから先はほかのベンダも参入してきて、ぶつかることも多くなるだろう。

 当社ではハイパフォーマンス、高付加価値、高可用性を持った製品提供を使命だと考えており、他社製品と当社のそれとを比べた場合、非常にすばらしい性能を持ち、また最先端の技術を持った製品を、高いコストパフォーマンスとTCOで提供できる、それが強みだと考えている。

 例えば、非常な好評をいただいている、BigIron MG8などのテラビットクラスのパフォーマンスを備えたシステムを提供することが可能だ。しかし、シスコでもエクストリームでもこのような製品はラインアップしていない。また、当社は最初に10Gigabit Ethernet(以下、10GbE)製品を2年も前に出荷しているが、我々が最初に出荷してから他社が追随するまでには、実に9カ月もの間があいているという点も強調できるのではないか。


今年後半には銅線タイプの10GbE製品を投入

─その10GbEですが、今後の見通しは?

コッパラプ氏
 間違いなく普及してくる。10GbEもおそらくGigabit Ethernetと同じような(ペースで価格が落ちるという)価格曲線になると最初は思っていたが、当社ではさらに速いスピードで価格を下げることに成功した。


─10GbEの銅線タイプ(10GBase-CX4など)への取り組みは?

コッパラプ氏
 銅線タイプの10GbEに関しては、2つの要因から慎重に見極めているところ。1つは、転送距離の制限がシビアになること。2つ目は、銅線タイプを使用する10GbEでは、コストがかなり低くないと導入に弾みがつかないのではないかと考えられることだ。しかし、いずれにせよ年末までには発表できると思う。製品としては、1)1つまたは2つのアップリンク用インターフェイスを持つJet CoreアーキテクチャのFastIronなど、2)BigIron MG8/40Gなどのテラビットクラスの製品、3)FastIron X424やX428などの製品群、などから適切なものを選んで提供することになるだろう。


従来型ファイアウォールを補完する製品を提供する

─セキュリティに対する御社の考え方、取り組みを教えてください。

コッパラプ氏
 セキュリティは2つの角度からみるべきだと考えている。1つ目は、あらゆる製品群は、まず自らを守ることができるセキュリティを確保しなくてはいけないということ。まわりのものを防御する機能は、その上で付け加えるべきだ。2つ目としては、セキュリティを確保するためだけに使われる製品というものも考えなくてはいけないということ。従来型のファイアウォールではもはやとどめることのできない脅威がある、と何度かお客様から言われるようになっているが、こうしたものに対しては我々のレイヤ4-7の製品で対応していく。


─一方のレイヤ2/3製品でのセキュリティに関してはいかがでしょう?

コッパラプ氏
 すでに当社でも対応を進めている。例えば、IEEE 802.1xによる認証に対応しているし、今後は不正な無線アクセスポイントが入ってこれないようにする機能も提供する予定だ。当社ではレイヤ2/3ではネットワークインフラのセキュリティ、レイヤ4-7をサーバーアプリケーションのセキュリティと位置付けている。

 前者では、わかりやすい例でいうと、ワームを感染させる道具として使われないようにする必要がある。その対策としては、インターネットからワームが入って来てしまった後には、自動的に拡散を防ぐような技術をすでに盛り込んでいるし、将来的には、インフラ側でウイルスが入ってくる道自体をふさいでしまうような手法も考えている。

 しかしこういったものは脅威のほんの一部であって、本当に重要なのはビジネスにとって大切なもの、サーバーやアプリケーションに害が及んでしまうこと。こういったことを阻止するためには、ビジネスのロジックをしっかりと理解することが必要だ。アプリケーションレイヤの危機を防ぐためには、システム全体が機能を理解し、進化を遂げていく必要がある。


IPv6はまだ普及までに時間が必要

─先ごろ発表された新しいOSでは、FIX(Financial Information eXchange)プロトコルをサポートするようになっていますが?

コッパラプ氏
 FIXは米東海岸の大きな金融企業から始まったプロトコルだが、当社のお客様の中にも使われているところはたくさんある。今回導入が決まったのは、当社のレイヤ4-7のスイッチのチームとFIXアプリケーションのチームが集まって話をしたときに、お互いの連携ができれば金融機関のお客様にとって非常なメリットがあるぞ、とひらめいたことから。

 日本ではあまりなじみがないかもしれないが、海外の証券会社や投資銀行は大きな支店を日本にも持っており、そういったところの本社の方でFIXが使われるようになれば、当然支店でも使われるようになる。そうした中で、FIXがいかに重要か、またレイヤ4-7スイッチとFIXアプリケーションをあわせて使っていくメリットがいかに大きいか、が伝わっていけばいいと考えている。

 日本では電子商取引も盛んだし、情報の交換の電子化も進んでおり、この世界でも先進国だといえるので、たとえばオートトラッキングや株価の情報提供なども、FIXを使うことでいかに簡単に進められるか、といったことが伝わるのではないか。


─IPv6に関してはいかがでしょうか?

コッパラプ氏
 どの国に行っても、ほかの国の状況はどうなのか、という質問をされるんだ(笑)。ご存じだとは思うが、ほぼ1年ほど前からは、導入製品に対するIPv6サポートが義務付けられるようになった。しかし、(機器側の対応は進んでも)企業での動きはまだ鈍い。

 ISPではKDDIやNTTではネイティブのIPv6ネットワークが構築されているものの、普及の鍵となるのはアプリケーションだろう。消費者の中からまず需要が出てこなければならないし、そのためにはユニークなデバイスが登場する必要があると考える。そうした消費者からの動きが出てくれば、それがISPへ、企業へと最終的には伝わってはいくのだろうが、その時期がいつになるのかを想像するのは難しい。


マルチメディアネットワークにおけるスイッチの役割

─データと、音声やビデオなどマルチメディアのネットワークを統合しようとする動きも出ています。その中で鍵となるのはQoSだと思うのですが?

コッパラプ氏
 QoSに関しては、当社のもともと持っているソリューションの中で、エンフォースメントという形で実現している。しかしQoSで一番面白いところは、アプリケーションを認識しての制御ができるかどうかではないか。つまり、どの(アプリケーションの)トラフィックに優先順位をつける必要があるのか、ないのかということを、ネットワーク自身が認識できるかが重要なことだ。

 こうした、さまざまなアプリケーションにどのように帯域幅を割り当てるのか、ということもすでに当社のレイヤ4-7スイッチにはいくつか実装されている。例えば、アプリケーションごとのリクエストを制限するのも1つの手法になる。

 また、スイッチでアプリケーションリクエストに対してのサービスを提供しようと思ったときは、一部ではなく全部やってしまったほうがいいと考えており、将来的にはもっとインテリジェンスな形で高めていかなくてはならないだろう。

 あと1つ付け加えるならば、QoSは企業内LANの中での実現は、相対的に見ると難しくはない。インターネットにおけるエンドツーエンドの真のQoSを実現する場合に問題がおこるとすれば、(さまざまなトラフィックが流れ、企業内ネットワークに比べて複雑な)ISPのネットワーク内での問題になるのではないだろうか。



URL
  米Foundry NetWorks
  http://www.foundrynetworks.com/

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( 石井 一志 )
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