イノテック株式会社は5月10日、米SMARTS製のネットワーク管理ソフトウェア製品群「InCharge」の販売を開始したと発表した。多数のソフトウェアからなる同製品群は、ネットワーク障害の原因解明を行うためのもので、米Microsoftなどでも利用されているという。
■ シグネチャとトラブルを照合し、根本原因を自動解析する
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InChargeによる階層管理の概念図。インフラレベルで起きたトラブルが上のレイヤにどのような影響を与えるかを示す。オペレーターは逆に上のレイヤからトラブル解決のアプローチをとることが可能だ
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一般的なネットワーク管理ソフト同様、InChargeでもまずはルータ・スイッチ・サーバーなどのネットワークノード情報を自動的に収集し、マッピングを行う。その後障害が発生した場合は、SMARTSが特許を持つ「Codebook Correlation Technology」という方式により障害の根本原因を自動解析し提示するのだが、この方式では「個々の障害について、それが起こったときにみられる規則性」をシグネチャとして設定しておき、障害時にそれと比較することで原因の解明を試みる。
これに関してSMARTS製品のマスターディストリビュータである株式会社マイネットラボのエンジニア、鈴木 那実氏は「条件ごとに分岐し、最終的にトラブルの原因にたどり着こうとするルールベースの考え方では、早い段階で間違えてしまうと分析結果がかなり違ってしまう。しかし、InChargeで採用されている方式の場合は、100%条件が一致しなかった場合でも確率の高いものを提示してくれるので、より正確な処理が可能になる」とInChargeが持つメリットを強調した。
またInChargeでは、起きた障害を特定することだけでなく、ネットワークの上で走るアプリケーションや実際のビジネス、顧客などに対して与える影響を解析・提示することも可能。これまでのいわば「ボトムアップ型」のネットワーク管理ソフトと異なり、ビジネス視点からの「トップダウン型」アプローチをオペレータが行えるため、優先度の高い部分から柔軟に処理することができるという。
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InChargeの画面イメージ
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イノテック 事業推進本部の高島 淳司氏(左)とマイネットラボのエンジニア、鈴木 那実氏(右)
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■ MicrosoftやAT&Tなど、大手企業多数に採用実績あり
SMARTSの製品は日本ではまだ本格展開されていなかったため知名度があまりない。しかし、米国において前述のようにMicrosoftをはじめ、「米AT&Tなどのキャリア、一般企業、金融、政府関連など、さまざまなところで使用されている」(イノテック 事業推進本部の高島 淳司氏)とのことで、当初はキャリアやサービス事業者中心であったものが、ここ1、2年は企業での使用が増えているという。特にMicrosoftにおいては、膨大なイベントが上がってくるばかりで解析ができていなかった状況を、InChargeによって整理することに成功。原因解析の自動化によって熟練スタッフへの依存度を削減できたそうで、鈴木氏によれば「InChargeを利用すれば、こうした特徴により管理の手間を削減でき、企業は本来の業務リソースに注力できる」とのこと。
InChargeを構成するソフトウェアには、基本コンポーネントである「IP Availability Manager」「Service Assurance Manager」のほか、ビジネスへの影響を分析する「Busicess Impact Manager」やアプリケーションサーバーの効率的な管理を行う「Application Server Manager」、IP VPN over MPLSをサポートする「MPLS-VPN Manager」などがあり、価格はデバイス数もしくはポート数に応じた個別見積となる。ただしイノテックでは導入を促進するため、「50デバイスで500万円程度の基本パッケージを販売する予定もある」(高島氏)としている。
■ URL
株式会社イノテック
http://www.innotech.co.jp/
プレスリリース(PDF)
http://www.innotech.co.jp/news/contents/news040510.pdf
株式会社マイネットラボ
http://www.mynetlab.co.jp/
米SMARTS(英語)
http://www.smarts.com/
( 石井 一志 )
2004/05/11 00:15
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