ファウンドリーネットワークス株式会社は6月28日、テラビットクラスのルーティング容量を持つ2製品、サービスプロバイダ向けのメトロルータ「NetIron 40G」と、企業バックボーン向けレイヤ3スイッチ「BigIron MG8」に、IPv6ルーティング機能を追加すると発表した。今回は「NetWorld+Interop 2004 Tokyo」のために来日した米Foundry Networks(以下、Foundry)の副社長兼新規事業開拓/戦略的マーケティング事業部長、Chandra Kopparapu氏に、これらの製品と同社のIPv6に対する戦略に関して、お話を伺った。
■ IPv6普及のカギは一般消費者が握っている
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米Foundry Networksの副社長兼新規事業開拓/戦略的マーケティング事業部長、Chandra Kopparapu氏
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現在、PC以外の機器によるインターネット接続が急増している。これにより今後、膨大なアドレスが必要となるが、他方このことがどのような機器によっても、またいつでもどこでもインターネットを活用できる環境が整備されつつあることを物語っている。これを実現させる技術がいうまでもなくIPv6だ。IPv6は128ビットという膨大なアドレス空間を実現させることはもちろんであるが、このこと以外に重要なキーポイントとして三つある。Kopparapu氏は「第一にプラグ&プレイでインターネットが利用できる環境を実現できる。これにより住宅での利用や家電などのネットワーク化がすすむ。第二がネットワークを効率化できる。つまりブロードキャストではなくマルチキャストを利用できるほか、エニーキャストアドレシングの利用でサーバーやモバイルアプリケーションが理想的となる。そして第三がQoSやモビリティ、セキュリティサポートが優れている」と指摘する。
現在、IPv6の導入は、政府および研究機関が中心ではある。しかしFoundryは企業やサービスプロバイダがターゲットであり、事実この色彩がより強くなっている、という。「こうした企業やサービスプロバイダへの移行を現実化させるには、どこかの時点でキラーアプリケーションがなければならない。これは一般消費者から発生するにちがいない」とKopparapu氏はみている。すなわち、さまざまな接続機器の登場、こうした機器によるネットワークへのアクセス、そしてエンジョイする、などのニーズが彼らの間で起こるというのだ。そこにIPv6に取り組むメーカーが、一般消費者にサービス提供でこたえねばならない、これがKopparapu氏が強調するIPv6普及のシナリオだ。
■ 10GbEと手を握ったFoundry極めつけのIPv6ソリューション「Terathon」
「IPv6ネットワークを構築するにはどこからとりかかるべきなのか、で担当者は二つ自問することが必要」とKopparapu氏はいう。第一が、このネットワークはテスト環境用か本番用かである。第二が、こうしたネットワークをゼロから作るべきか、既存のネットワークを強化させるのか、である。こうした自問にこたえるためにFoundryでは3タイプのネットワークを用意した。第一が既存のIPv4環境をソフトウェアでIPv6機能を実現させるもので、第一の自問にこたえるものである。第二がハードウェアパフォーマンスをIPv6モジュールでアップさせるというもので、これは第二の自問にこたえるものである。そして第三が新しいシステムであり、ワイヤスピードでGigabit Ethernetや10Gigabit Ethernet(10GbE)のフォワーディングを可能にさせる、というものである。
このほど同社が投入したのが第三のタイプだ。もちろん第一および第二に関する製品は、同社ではすでに投入済みである。この第三のネットワークこそ、Terathon(テラソン)と呼ぶハードウェアモジュールでテラビット級のスイッチング容量をもっている。
これは、ハードウェアベースのBigIron MG8およびNetIron 40G向けのIPv6モジュールである。この特徴はまず、デュアルスタックルーティングによりIPv4/v6の両者に対応、RIPやOSPF、BGP、ISISのほかECMPをサポートしている。またIPv4/v6ワイヤスピードスイッチング/ルーティングを実現しており、Gigabit Ethernetおよび10GbEすべてのフレームサイズ(64バイト、76バイト、最大9000バイトまでのジャンボフレーム)に対応している。さらにIPv6対応ハードウェアベースのセキュリティポリシーであることのほか全面的なマルチキャスト対応である。
そしてアカウンティング、モニタリング、マネージメントによりsFlowをもたせている。このsFlowこそ、実はIPv6におけるFoundryならではの他社との差別化する特徴である。これは、標準のRFC3176に準拠しておりワイヤスピードでトラフィックモニタリングを可能とし、Gigabit Ethernetと10GbEに対応させている。
今後、Foundryは今年第4四半期にシリーズ最後製品を投入し、これでIPv6は全製品上で対応することになる。Kopparapu氏は「我々は10GbEの利点とIPv6の利点を組み合わせて最高のソリューションを提供することをめざしている」と胸を張る。
なおBigIron MG8はエンタープライズやキャンパスネットワークをターゲットにしており、NetIron40Gはエッジをターゲットにしている。IPv4/v6モジュールの参考価格は一例をあげると、BigIron MG8が10GbE4ポートで1099万9000円(オプティックス)、1GbE60ポートかつ10/100/1000Mbpsで989万9000円(カッパー)。またNetIron40Gは10GbE4ポートで1209万9000円(オプティックス)、40ポートGbEかつ10/100/1000Mbpsで1089万9000円(カッパー)となっている。
■ URL
米Foundry Networks
http://www.foundrynetworks.com/
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( 真実井 宣崇 )
2004/07/02 21:48
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