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富士通研、IPパケットの観測によるネットワーク性能診断技術を開発


 株式会社富士通研究所は7月5日、ネットワークの性能劣化に対する問題を分析し、原因を探索する技術を発表した。

 今回開発した技術は、ルータやサーバーの送受信データ量などのログ情報や障害検知情報をもとにする従来のネットワーク測定ツールとは異なり、個々のIPパケットの流れを観測、特性を分析することでレスポンス悪化などの性能問題の原因とその箇所を特定するもの。

 これによりWebアクセスが遅い、IP電話の音声品質が悪いなど、動作そのものには問題がなくとも、性能的に問題があるような現象を分析・探索して問題発生時に早期解決できる。これによりネットワークサービスの安定供給を可能にし、運用管理コストを削減するという。

 本技術では、パケットの往復所要時間であるラウンドトリップタイム、回線エラーなどによるパケットロス率、到達時の確認応答を待たずに連続送信できるデータサイズを示すウィンドウサイズといった性能パラメータを計測・分析して、ここからネットワーク上で正常なプロトコル処理が行われている場合のスループット値を推定、実測スループット値との比較を行う。これにより性能問題の状況を定量的に把握できるという。

 またパケット転送の状態をテストするために、特定のパケット長やパケット間隔を持つ専用の検査パケットを投入、その挙動を分析して、パケットロスの発生区間や、全二重・半二重設定の不整合などの機器設定ミス、ルータのメモリ容量不足、伝送品質劣化などの箇所と具体的な原因を推定して提示する技術もあわせて開発している。

 同研究所では、今回開発した技術をソフトウェアとしてツール化し、従来の集中管理方法では発見できなかった性能劣化原因の探索を実証している。

 本技術は、富士通株式会社のサポート部門ですでに実運用を開始しており、今後富士通株式会社のIT基盤「TRIOLE」にも組み込まれる予定。またVoIPでの音声品質などを対象としたサービス品質設計・監視技術や、異常トラフィックに起因する大規模障害の予兆検知・阻止技術などと組み合わせて、ネットワークサービスを健全な状態に保つ技術として体系化していくとのこと。



URL
  株式会社富士通研究所
  http://www.labs.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2004/07/5-1.html


( 岩崎 宰守 )
2004/07/05 19:13

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