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NTT、10Gbpsワイヤスピードを実現するファイアウォールの開発に成功


 日本電信電話株式会社(以下、NTT)は7月6日、NTTネットワークサービスシステム研究所とNTT未来ねっと研究所が共同で、10Gbpsの高速パケット処理が可能なLSI「Wspeed(Wired-Speed Packet Engine for EDge System)」と、同LSIを搭載した10Gbpsパケット識別・転送処理ボードを開発するとともに、同製品を利用して、10Gbpsのパケット処理が可能なファイアウォールシステムの動作確認に成功したと発表した。


NTTが開発に成功した、10Gbpsパケット識別・転送処理ボード NTTネットワークサービスシステム研究所 主幹研究員 茶木慎一郎氏

10Gbpsパケット識別・転送処理ボードの利用イメージ

製品化が予定されているPCIボードのプロトタイプ
 NTTネットワークサービスシステム研究所 主幹研究員 茶木慎一郎氏によれば、「現在、10Gbpsクラスの処理能力を持ったルータは珍しくなくなったものの、そこでファイアウォールを使おうと思ってもなかなかGigabitクラスのオーダーには追いつかない」状況であったという。しかしこのボードを利用すれば、10Gbpsのワイヤスピードでパケット処理が可能なことに加え、ショートパケットの処理に関してもスピードを落とさず実行できるため、ISPのコアネットワークなど、高速処理が必要な部分でも対応可能だという。同社ではこのボードを、ISP間の接続点(IX)やデータセンターのアクセスラインで使用されるルータに組み込むことによって、DDoS攻撃やワームの拡散を防止できるとしている。

 またこうした高速回線では、多重フローから攻撃フローの絞り込みが必要となるため、自己学習型フィルタを搭載して、高速かつ効率的な攻撃パケットの絞り込みを実現した。加えてネットワークのコア部分で利用する場合には、いかにサービスを中断することなく提供するか、ということも求められることから、同製品では「無瞬断アップデート機能」をサポートしており、ボードに一時的にパケットを蓄積することで、アルゴリズムの変更やアップデートを、通信にまったく影響を与えずに行うことができる。

 NTTではファイアウォール用途に加えて、ルータでのユーザーポリシーベースの転送処理、レイヤ4以上の高位レイヤでのルーティング、高速ネットワークサーバーでのIPsecオフロード処理などにも同製品を応用できるとしており、今後はさまざまな利用シーンを想定した実証実験を通じて、この技術の有効性を確認していく予定。

 さらに同社では、パケットヘッダ処理部分だけを切り出した汎用処理ボードとしての商用化も検討中で、まず年内にGigabit Ethernetを2ポート搭載したPCIボードの商用化を目指す、としている。



URL
  日本電信電話株式会社
  http://www.ntt.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.ntt.co.jp/news/news04/0407/040706.html


( 石井 一志 )
2004/07/06 17:44

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