VTVジャパン株式会社は7月13日、テレビ会議システムベンダーとして世界第4位のシェアを占めるイタリアAethra S.p.A.と製品の国内販売における提携を発表した。VTVジャパンでは12月までに、全モデルあわせて500台の販売を目標とする。
イタリアAethraは1972年創業で、当初はイタリア国内の通信事業者向けにネットワーク事業を手がけていた。その後1998年よりグローバル市場に進出し、1999年よりIPによるテレビ会議システムを開発している。2003年度の売上は、約1億ドル(約110億円)。このうち約15%をR&Dに投資しているという。現在のビデオ会議システムの台数ベースでの世界シェアでは、Polycom(44.0%)、Tandberg(22.9%)、Sony(13.1%)に次いで世界第4位の8.7%。
イタリア・アンコナ本社からのTV会議システムで会見に参加したAethra S.p.A. Vice PresidentのMarco Viezzoli氏は「この数字は2004年第1四半期のもので、2003年第3四半期の5.5%から短期間に増加している」とし、「今年の終わりまでにはシェア3位を獲得したい」と自信を見せた。
またAethraでは現在60カ国で事業を展開し、中国でも製品生産を行っている。同氏は今回の日本での展開について「Aethraでは販売パートナーを慎重に選んでいるが、VTVは、プロフェッショナルの集まりで、若く意欲にあふれた点がわが社と似ている」と期待を示した。
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イタリア・アンコナよりTV会議システムで会見に参加したAethra S.p.A. Vice President Marco Viezzoli氏
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テレビ会議システム市場におけるAethraの世界シェア
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2003年第3四半期から2004年第1四半期にかけて、シェアは5.5%から8.7%に急上昇している
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Aethra S.p.A. EMEA & APAC Sales Director Paolo Compagnucci氏
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Aethra S.p.A. EMEA & APAC Sales Director Paolo Compagnucci氏は、「それまでのイタリア国内を中心とした大手通信キャリア向けのネットワーク事業から、2003年よりワールドワイドのテレビ会議システム市場へにフォーカスしている。なかでもアジア太平洋、特にアジアトップのIT先進国である日本市場は重視している」と述べ、「VTVとの協業で、日本国内への進出プロセスをスピードアップしたい」とした。
またテレビ会議システムベンダーとして、ネットワーク事業を手がけ、実績を積み上げてきている点は、IP化の進んだテレビ会議システムにおける相互接続性の点で、他社にない技術的なアドバンテージになる」との考えを示した。
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VTVジャパン株式会社 代表取締役 栢野正典氏
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UIを半透過型にしての設定も行える
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VTVジャパンは、これまでテレビ会議システム専業のインテグレータだった。同社代表取締役の栢野正典氏は、「ビデオアプリケーションも専用線からISDN、そして現在ではIPへと変遷してきた。いまはFOMAで使えてしまうほど手軽になり、以前のようにそれ単体で付加価値の高いシステムではなくなった」とし、「これからはテレビ会議システムを軸に、Webやデータと連携するリアルタイムコミュニケーションのソリューションプロバイダーへ事業を展開していきたい」とした。
また「H.264では、384Kbpsで以前の768Kbpsと同等の画像をやり取りできるなど、すでに画像圧縮技術は完成に近い状態にきている」と、品質面で問題のないことを述べ、「高価な専用ハードを用いたシステムだけでなく、手軽に使える製品への市場ニーズをとらえ、ローエンド市場の拡大を図りたい」とした。
そしてAethraの製品ラインアップについて「ハイエンドだけの他社とは違い、データベースと画像送信が同期する遠隔医療システムから、パーソナルユースに近いビデオフォンといったローエンド製品まで充実している」点を特徴に挙げた。また各製品間で共通のUIを採用している点も強調、「7~9月期までにこれを日本語化して提供したい」と述べた。
さらに「すでに中国で利用されている公衆テレビ電話、CNNをはじめとしたテレビ局や軍などで採用されている、衛星システムを利用した携帯型のビデオ送出システムといったユニークな製品もある。こうした顧客ニーズを汲んだ製品を見て、企業の心意気、開発姿勢に魅力を感じた」とも語った。
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最大3Mbpsを転送できるVega Star Gold(1,550,000円)
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最大2Mbpsに対応するVega Star Silver-E(738,000円)
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Gold/Silverの本体・カメラ分離モデルのカメラ部分
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384Kbpsに対応する中小規模企業向けのVega Pro S(370,000円)
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384Kbpsに対応する10インチ液晶一体型のMaia Star(396,000円)
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小規模企業・SOHO向けのTheseus(198,000円)、同じく384Kbpsに対応。
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衛星回線を通じて映像を転送するアタッシュケース型のVoyager(2,100,000円)
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プリペイドカードを利用し、相手先がTV電話の場合のみ映像でやり取りできるPayphone(国内未発売)
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上記製品はすべてオールインワンのセットトップ型で、導入にあたってのセットアップは容易だ。また全機種共通のリモコンとUIにより操作が可能。このほか、Vega Pro Sのカメラ部分を変更したVega Pro(238,000円)、既存のカメラを接続でき、7カ所までの多地点接続機能を持つAVC8400(1,980,000円)が国内販売向けにラインアップされる。
■ URL
VTVジャパン株式会社
http://www.vtv.co.jp/
Aethra S.p.A.(日本語)
http://www.aethra.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2004/07/13 19:16
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