Enterprise Watch
最新ニュース

海外から社内ネットワークに接続、アイパスの企業向けリモートアクセスサービス


 海外出張の際、ノートパソコンやPDAを持ち込んで現地からインターネットに接続しデータを送ったり業務報告を行ったりすることは、もはや当たり前となっている。最近では日本以外でもホテルや空港などでのブロードバンド環境が整いつつあり、国内のホットスポットと同じ感覚で無線LANから接続できたり、ホテルの部屋にEthernetポートがあることも多い。また、それらの環境がなくても電話回線さえあればダイヤルアップで接続することも可能だ。

 しかし接続に使用するアカウントは個人で利用しているISPのローミングサービスを利用し、接続料金を後日会社に請求するといったケースも多い。この場合、経費精算に手間がかかるほか、利用するISPが出張先の地域をサポートしていないと接続できない。また、海外から会社のネットワークに接続するとなるとセキュリティに不安が残る。


IT部門でユーザーやセキュリティの管理が可能なローミングサービス

アイパス 代表取締役 菊地昭一氏

iPass Corporate Accessの接続イメージ
 @niftyやBiglobeなど国内35社のISPにローミングサービスを提供しているアイパスジャパン株式会社(以下、アイパス)は、海外にある現地のISPと会社のネットワークを接続するリモートアクセスソリューション「iPass Corporate Access」を2001年より展開し、国内で70~80社に導入、7月には山之内製薬が全社および欧州現地法人に導入したと発表した。

 「iPass Corporate AccessとISPのローミングサービスの違いは、ユーザー企業側で利用アカウントを管理したり、セキュリティポリシーなどをそのまま適用できること」と話すのはアイパス代表取締役の菊地昭一氏。海外からネットワーク接続する際に使用するユーザーIDやパスワードに社内で管理しているものを適用できるほか、自動的にVPNを起動させることなどができるという。

 アイパスは日本のほか世界各国にあるISP同士をつなぐローミングサービスを展開、利用できるアクセスポイント(以下、AP)は世界で150カ国、約20,000カ所以上にのぼる。日本のエンドユーザーが海外で専用ソフト「iPass Connect」を使って、国や都市を選択し指定のAP(アイパスが提携する現地のISPのもの)に接続すると、アイパス経由で国内のISPにてユーザー認証を行い、承認されるとそのAPからインターネットに接続できる。

 iPass Corporate Accessの基本的な仕組みはISPのローミングサービスと変わらない。企業ネットワーク側にユーザー認証の要求を受け、承認を出す「アイパスロームサーバ」を設置し、ユーザー認証データベースと接続する。認証はActive DirectoryやLDAPなど主要なものをサポートする。

 また接続後、指定のVPNクライアントを起動したりアンチウイルスソフトの起動を確認するなどユーザー企業のセキュリティや接続ポリシーに準じてクライアント環境をカスタマイズすることができる。「企業によってはVPNをフルトンネル化し、多少の速度低下を承知の上ですべてのトラフィックを企業ネットワーク経由にするところもある」(菊地氏)ように、IT部門がリモート接続をすべてコントロールすることも可能だ。さらに接続したユーザーや時間は「クリアリングハウス」というトランザクションセンターで管理されており、請求書・明細書からユーザーや部門ごとの利用時間・料金を把握することができる。


米国でブロードバンドを利用できるホテル・空港が急増中

iPass Connectの接続画面
 アイパスが現在注力しているのが、モバイル環境の無線ブロードバンド対応だ。ホテルや空港など現地のISPが提供しているAPのローミングサービス対応を進めており、現在では世界で40カ国以上、約10,000カ所で利用が可能だという。中でも米国は今年に入って急速に環境が整備され、「カウンターが故障したのでは?と疑うほど利用が急増している」(菊地氏)とのこと。日本と比べて“ここで無線LANが使えます”という表示が少なくわかりにくいのだが、広大な空港のほぼ全域で利用できるといったところもあるという。

 これに合わせアイパスでは提携ISPの拡大のほかiPass Connectの機能強化を図り、最新バージョンではローミングサービスを利用できるAPを検知し、より電波状況のいいAPの判別と接続を自動的に行うことができる。なお、ローミングサービスはブロードバンドでも従量課金なので注意が必要だ。

 ブロードバンドが利用できない場所で頼りになるのがダイヤルアップ。ADSLやFTTHの普及に伴って利用が減少している日本の固定回線と異なり、「モバイルでの利用はまだまだ伸びており、今でも商売になる。ブロードバンドとダイヤルアップ両方でローミングサービスを利用できるのはアイパスだけ」と菊地氏は胸を張る。

 ちなみに日本人の利用が最も多い国は米国で2位が中国、「最近は東欧での利用が増えているのも特徴」だと菊地氏は話す。しかしほかのアジア諸国では中国での利用が圧倒的だそうで「利用状況を見ると各国の経済がどの方面を見ているのかが見えてくる」という。今後、企業のグローバル展開が進むにつれローミングサービスの利用増加が見込まれており、菊地氏は「iPass Corporate Accessの国内ユーザーは1年間で倍の150社程度まで広げたい」と意気込む。



URL
  アイパスジャパン株式会社
  http://jwww.ipass.com/


( 朝夷 剛士 )
2004/08/12 13:41

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.