Enterprise Watch
最新ニュース

ソニー、IP対応の業務用映像コミュニケーション製品群「IPELA」

第1弾として、ネットワークカメラ専用レコーダー/ネットワークカメラを提供

ソニー 業務執行役員上席常務 プロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニー、大木充NCプレジデント

ソニー 業務執行役員 プロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニー B&I事業本部、尾上善憲事業本部長
 ソニー株式会社は3月1日、ビデオ会議システム、監視用カメラおよび同用途などに対応したレコーダー製品群のラインアップを強化し、IPネットワークに対応した製品群を新たに「IPELA(イペラ)」シリーズとして、全世界で展開していく方針を明らかにした。

 IPERAは、「IP接続」とイタリア語で美しいという意味の「BELLA」を組み合わせた造語で、「IP接続により、美しくリアルな画質、音質を提供し、ソニーが目指すインテグレーテッド・ビジュアル・コミュニケーション(IVC)を実現する製品群」(ソニー 業務執行役員上席常務 プロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニー、大木充NCプレジデント)と位置づけ、「この分野でソニーが先行し、市場拡大に取り組んでいきたい」と語った。

 同社では、昨年3月に放送局向けのプロフェッショナル映像関連機器の事業部門と、ビデオ会議システムなどのビジネスソリーション製品事業部門を統合し、プロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニーを設置。過去1年間にわたり、双方の技術を融合した製品開発に取り組んできた。

 現在、同カンパニーには、放送局などを対象とするコンテンツクリエーションストレージシステム部門(B&P事業本部)と、企業向けのソリューションを提供するコミュニケーションシステム部門(B&I事業本部)の2つの部門を擁しているが、今年2月からは、2つの部門の製品を横ぐしで統合し、製品をワンラインでとらえる体制へと移行。製品開発における技術的融合を促進させている。

 「テレビ会議システムは、88年から取り組んできたが、決して成功しているという状況にはなかった。だが、放送局向けの映像技術を融合することで、いち早くフルHD(ハイディフィニション)のソリューションを提供できるなど大きな進化を遂げた。よりリアルな映像をビデオ会議システムや監視カメラソリューションで実現できるようになった」(ソニー 業務執行役員 プロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニー B&I事業本部、尾上善憲事業本部長)という。

 具体的な製品としては、リアルなコミュニケーションを提供する高画質、高音質の「ビデオ会議システム」、用途に応じたシステムで遠隔からの的確な状況確認、管理が可能な「カメラ」と「レコーダー」、画像処理、識別などのインテリジェンス機能により、高いセキュリテイ環境を構築する「広域モニタリングシステム」を用意。「企業、病院、小売業、学校、金融機関、交通機関などをターゲットにし、業務の効率化、ワークフローなどの提案を含めたコンサルティングから、システム構築、運用サポート、メンテナンス、投資対効果の測定までを含めたトータルソリューションを提供していく」(尾上事業本部長)としている。


製品を横軸にしたプロフェッショナルソリューションズネットワークカンパニーの体制 IPELAでは、映像技術との融合をベースにリアリティ、インテリジェンス、ユーザービリティの3つの方向性を模索する IPELAの製品ラインアップ。今後の製品計画にも言及

下が新製品のネットワークカメラ専用レコーダー「NSR-100」
 3月1日付けでは、IPELAシリーズの第1号製品として、ネットワークカメラ専用レコーダー、ネットワークカメラを発表した。

 ネッワークカメラ専用レコーダーは、「NSR-50」「NSR-100」の両製品。最大64台(NSR-50は32台)のネットワークカメラからの映像を記録可能なほか、パン/チルト/ズーム動作制御や、カメラとの音声双方向通信にも対応。これらの機能を利用して、防犯・安全監視のためのセキュリティシステムや、遠隔監視/モニタリングシステムなどを構築できる。

 HDD容量はNSR-50が500GB、NSR-100が1TBで、RAIDに対応。16台のカメラからの映像を1fpsで1日あたり15時間録画した場合、NSR-100では約1カ月の記録が可能という。また、外部NASへの記録をサポートすることに加え、記録型CD/DVDドライブを内蔵し、CD/DVDメディアへのデータ書き出しを行える。価格は89万2500円から。

 ネットワークカメラの「SNC-P5」は、カメラ本体のLAN端子から直接ネットワークに接続し、ネットワーク上の任意のPCからInternet Explorerを介して、映像や音声のモニタリングを可能とする。動画圧縮方式はMPEG4およびモーションJPEGに対応している。価格は9万2400円。

 そのほか、多地点の監視カメラをMPEG4でモニタリングできるIPビデオモニタリングシステムや、これまでの監視カメラの欠点を補い、面でのパノラマ監視や1km先までのズームを可能とする広域モニタリングシステム「XI's(エクスアイズ)」などを提供する。


監視カメラ製品群。手前が広域モニタリングを実現するカメラ 同じく広域モニタリングカメラのXIS-10DC。360度のパノラマ映像の撮影が可能 広域カメラを利用すると液晶8台分の監視が可能。しかも、1km先までのズームを可能として、それがHD画像で閲覧できる

披露された直感的ワイヤレスハンドオーバー技術に使用するハンドセット
 また、同社では、ビデオ会議システムのPCS-TL50およびPCS-1が、米Cisco Systemsの「Cisco CallManager」および「SCCP(Skinny Client Control Protocol)」に対応したことを発表した。

 これにより、ビデオ会議システムを利用する際に、Cisco CallManagerの機能を利用することで、煩雑なIPアドレスを入力することなく、電話番号で相手を呼び出すことが可能になり、IP電話システムを音声ソリューションから、映像ソリューションのツールへと拡張して利用できるようになる。

 すでに、ソニーでは、NECのUNIVAGEにも対応していることを発表している。

 さらに、ソニーでは、今後のIPELAの製品展開にも言及。今年夏と秋に、それぞれテレビ会議システムの新製品を投入する計画や、今年中には監視カメラの新製品を投入する計画を明らかにした。

 そのほか、将来の製品化計画の一端として、「直感的ワイヤレスハンドオーバー技術」を披露した。

 これは、ビデオ会議システムの機能を利用して、携帯電話の拡張機能を持ったハンドセットを用い、音声で相手を呼び出すだけでなく、テレビ会議の認証機能の提供、さらには、必要な情報をPCなどから吸い上げて、ビデオ会議システムにこれを表示したりといった操作を直感的に行えるもの。まだ試作段階ではあるが、ビデオ会議システムの可能性を示すものといえた。


電話機としての利用のほか、ビデオ会議システムの認証機能や、PCからデータを吸い上げて、そのデータをビデオ会議の画面に表示することもできる その際の操作はリモコンと同じようにPCにこのハンドセットを向けて、その後に、ビデオ会議システムの端末に向けてボタンを押すだけ また、液晶を持ち上げることで、この端末自体がビデオ会議システムの端末となり、屋外などでも利用できる


URL
  ソニー株式会社
  http://www.sony.co.jp/
  プレスリリース(IPELA)
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200503/05-011/index.html
  プレスリリース(ネットワークカメラ専用レコーダー)
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200503/05-0301/
  プレスリリース(CallManager対応)
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200503/05-012/index.html


( 石井 一志, 大河原 克行 )
2005/03/01 18:44

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.