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ノーテル、バックボーンまでを無線化する「メッシュ無線LAN」製品群


ワイヤレスメッシュネットワークの構成イメージ

バックエンドも含めた構成イメージ。ゲートウェイとアクセスポイントの間に、レイヤ3スイッチが必要になる
 ノーテルネットワークス株式会社(以下、ノーテル)は12月7日、多数の無線LANアクセスポイントを無線でつなげあわせてネットワークを構成する「ワイヤレスメッシュネットワーク」の構成製品群を発表した。同日より国内での販売を開始する。

 ワイヤレスメッシュネットワークは、アクセスポイントを“メッシュ”状に配置することで、無線LANネットワークを構築するための技術。多数のアクセスポイント間を5GHz無線(IEEE 802.11a/j)だけで通信させるため、LANケーブル配線を省略できる点がメリットで、「設備投資の削減が見込めるほか、サービスを短期で立ち上げるのに向く」(キャリアパケットネットワークス ディレクターの宮下泰彦氏)という。

 またユーザーから見た場合は、通常のネットワークと同様に見えるため、特別なソフトや設定が必要ない点も長所になる。端末-アクセスポイント間の通信は、アクセスポイント間通信と異なる2.4GHz帯のIEEE 802.11b/gで行うことから、余計な電波干渉も避けることが可能だ。

 ワイヤレスメッシュネットワークで用いるのは、屋外用「Wireless Access Point 7220」、屋内用「Wireless Access Point 7215」の両専用アクセスポイント。相互接続によりメッシュ状のネットワーククラスタ「Community Area Network(CAN)」を構成するこれらの製品が、無線LAN端末からの通信を受け、無線中継とルーティングを行うことでネットワークを拡張していく。

 またアクセスポイントを有機的にコントロールし、インターネットやLANなどの既存ネットワークとの橋渡しを行うために、専用アプライアンス「Wireless Gateway 7250」を用いる。このゲートウェイでは、端末がどのアクセスポイントに接続しているかを管理するデータベースを備えており、端末が移動した場合にはパスを切り替えることで、ローミングを管理する役割を持つ。

 さらにアクセスポイントとの間にIPsecトンネルを形成する機能を搭載し、通信のセキュリティを確保することが可能。ネットワーク構成にはダイナミックルーティングプロトコルであるOSPFを利用し、最短リンクの自動選択や、リルーティングによる障害時などの迂回(うかい)・復帰に関するコントロールも行う。1台で21アクセスポイント、2048ユーザーまでを収容可能だ。


Wireless Access Point 7215(左)と同 7220(右) IPsecのほか、認証やTKIP/AESと組み合わせてセキュリティを確保する キャリアパケットネットワークス ディレクターの宮下泰彦氏

台北市内ではさまざまな場所にアクセスポイントが設置されている
 国内では5GHz帯を利用する関係上発売が遅れていたが、海外ではすでに導入例がいくつもあるとのことで、台湾の台北市で272平方キロメートルに1万台以上のアクセスポイントが導入されているとしたほか、ノーテルは大学、病院、イベント会場(NASA)などの導入例を紹介した。これら以外でも、ホテルや空港などの公共施設、工場、キャリアのホットスポットのインフラなど、さまざまな分野で導入が見込めるという。

 なお、こうしたワイヤレスメッシュネットワークを手がけているベンダはノーテルだけではないが、現在は残念ながら標準化されておらず、他社製品との互換性はない。それでも、加Nortel Networksも参加している業界団体のWi-Mesh Allianceが標準化案をIEEEへ提出するなど、標準化への動きは見られており、「標準化が決定次第、当社としても対応を進める予定だ」(キャリアパケットネットワークス ワイヤレスメッシュ プロダクトマネージャーの小林智典氏)とした。

 製品の参考価格は、Wireless Access Point 7220×3とWireless Gateway 7250×1で294万7000円(税別)から。



URL
  ノーテルネットワークス株式会社
  http://www.nortel.com/corporate/global/asia/japan/index_jp.html

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( 石井 一志 )
2005/12/07 16:55

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