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エクストリーム、3層型QoSやMAC-in-MACをサポートしたキャリア向けスイッチ


BlackDiamond 12804R

プロダクトマーケティングマネージャの島宣博氏
 エクストリームネットワークス株式会社(エクストリーム)は3月8日、キャリア向けに機能を強化したシャーシ型レイヤ3スイッチ「BlackDiamond 12804R」を発表した。同日より受注を開始、3月24日より出荷を開始する。価格は771万円より。

 BlackDiamond 12804Rは、Gigabit Ethernetや10Gigabit Ethernetに対応したネットワークスイッチで、「エッジ機器を集約するキャリアのアグリゲーションレイヤで、いかにサービスを集約できるか」(プロダクトマーケティングマネージャの島宣博氏)、という発想のもとに開発された製品。ネットワークモジュラーカード用のスロットを4基持ち、各スロットにGigabit Ethernet(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tもしくは1000BASE-Xのコンボ)×20、または10Gigabit Ethernet(XENPAK)×2のモジュラーカードを装着できる。

 BlackDiamond 12804Rは同社のBlackDiamond 10kスイッチなどと比べると小型のため、単純なポート密度だけを見るとアグリゲーション能力は劣っているように思えるが、BlackDiamond 12804Rでは単なる回線の集約を行うだけでなく、さまざまなサービスの集約を的確に行えるようにしている点がポイントという。

 例えば同製品では、物理ポート、ユーザー、サービス(アプリケーション)の3階層にわたるQoSの機能を備えた。従来のレイヤ2製品ではサービスを1つ1つ認識することが難しかったため、VoIPだけを優先させようとしてもうまくいかなかったというが、「BlackDiamond 12804Rは、1つの物理ポートの上に数千ユーザーを束ねた上で、1ユーザーあたり最大8つのサービスに対して優先度の格付けを行うことができる」(島氏)。

 またイーサネットクロスコネクト機能によって、加入者の求める複数のサービスを、提供サービスプロバイダへ適切に割り付ける動作が、レイヤ2レベルで実施できる点も大きい。「通常は、高価格で大規模なルータ上で、レイヤ3レベルで実施する作業を、BlackDiamond 12804Rではレイヤ2スイッチで可能にしている」(同氏)。

 さらに、IEEE 802.1ahで策定中というプロバイダタグをサポート。ユーザー側機器のMACアドレスが付いたパケットを、キャリアのコアスイッチなどのMACアドレスを付けたパケットでカプセル化するMAC in MACを用いることで、4096VLANの制限を超え、数百万ユーザー規模のサービス展開を可能にしたほか、ネットワーク処理の負荷軽減、障害切り分けの単純化、といったメリットが得られた。

 島氏によれば、「現在キャリアでは、サービスごとに別々の網を作っている状況で、コスト効果が低い」問題があり、また「ベストエフォートでは、多様化するニーズに対応できない」点も課題だという。しかしBlackDiamond 12804Rでは階層型QoSをはじめとする3つの機能を用いることで、単一ネットワークにサービスを集約しながら、優先度に応じた多様なサービスの提供を可能にするため、「キャリアの収益性が非常に向上する」(島氏)とのこと。



URL
  エクストリームネットワークス株式会社
  http://www.extremenetworks.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.extremenetworks.co.jp/news_events/p2006/0308.htm


( 石井 一志 )
2006/03/08 16:51

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