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ジュニパー、アプリケーション最適化製品の方向性を公開-よりアプリケーション指向を強める


ET営業開発本部の短田聡志本部長
 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は5月10日、WAN最適化アプライアンス「WXシリーズ」における、今後18カ月間の機能拡張の方向性を明らかにした。

 ジュニパーのWAN最適化製品はもともとの同社製品ではなく、2005年に米Juniper Networksが買収した米Peribit Networksの製品ラインを継承したもの。基本的には、拠点ごとのWANゲートウェイ付近にWXシリーズのアプライアンスを配置し、WANを挟んだ通信を高速化する用途に用いられている。

 そのWXシリーズでは、2000年にリリースされたOS「WX OS」を利用している。このOSは、当初圧縮機能の実装からスタートし、QoS機能、TCP最適化機能、マルチパス機能、アプリケーション向けの最適化機能などを次々に追加し、現在に至っている。

 ジュニパーでは、こうした製品に対して、継続した機能強化を行っていくという。同社ではその柱として、「アプリケーションの向上」「範囲と拡張性の増加」「監視能力と分析結果レポートの活用」という3つを据えた。

 まずアプリケーションの向上としては、HTTPS利用の増加に着目した。ET営業開発本部の短田聡志本部長によれば「SSLトラフィックではビットパターンのマッチングがしにくく、辞書ファイルを使った圧縮が難しい」という問題があった。そこで、送信側のWXシリーズで一度SSLを平文に直し、圧縮後にあらためてWANへ送信。そのトラフィックを受信側のWXシリーズで解凍し、再度SSLで暗号化するという仕組みを採用することで、HTTPなどと同様の最適化効果を与えられるようにしようとしている。なお、データは一度平文化されるが、SSLとは別の方法で保護されるため、セキュリティレベルは低下せずに済むという。

 また、アプリケーションごとの最適化対応も強化する。現在はCIFSとMAPI、HTTPだけに限られているが、今後はSAPやSQL、Oracleなどにも対応していく考えである。


 範囲と拡張性の増加では、アクセスの多様化に着目。「すべてのユーザーがオフィスからのアクセスとは限らず、そうしたユーザーにどこまで圧縮機能などを提供できるか」(短田本部長)という点が重要な要素になると考え、PC用のソフトウェア「WXモジュール(仮)」を提供することで、自宅で仕事をするユーザーなどにも、高圧縮のトラフィックを流せるようにする予定だという。加えて、高速回線への対応も必要として、OC-3以上の回線に対応した製品もリリースするとした。

 最後の、監視能力と分析結果レポートの活用の分野では、多くのWXシリーズを1つのコンソールで管理できるようにする。これは、管理ソフトである「WX Central Management System(CMS)」の強化で実現される機能で、ログインするユーザーとその権限を識別して、そのユーザーの管理範囲にあるWXシリーズとそのレポートだけを表示させることができるようになるという。

 これを利用すると、キャリアがWXシリーズによる回線最適化機能をサービスとして提供する際にも、顧客ごとにCMSを用意しなくて済むため、コスト効率が良くなるとのこと。

 さらにCMSでは、利用されているアプリケーションの動向を把握するレポート機能の強化を施し、プロアクティブなプランニングを可能にするほか、別々に表示されていたTCP最適化とアプリケーション最適化のメトリクスを一体化させ、効果的にレポートを利用できるようにするとしている。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://www.juniper.co.jp/


( 石井 一志 )
2006/05/10 16:04

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