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日立とKDDI、Bluetooth接続を利用する携帯電話向けのRFICリーダー


発表されたRFIDリーダー(右)

発表されたRFIDタグリーダーを手にする、日立の井村亮事業部長(左)とKDDIの渡辺文夫本部長
 株式会社日立製作所(以下、日立)とKDDI株式会社は9月27日、au携帯電話に装着するRFIDタグリーダーを開発したと発表した。価格は8万4000円で、日立から提供される。販売開始は10月2日だが、受注生産製品で平均納期は約5カ月を想定しているため、出荷開始は2007年3月1日になる予定。

 今回発表されたRFIDタグリーダーは、日立のミューチップなど2.45GHz帯のタグに対応した製品で、読み取り距離は約5cm。携帯電話とはBluetooth無線でデータ転送を行う仕組みを採用しており、携帯電話に装着していなくても利用可能になっている。対応する携帯電話は、法人向け携帯製品「E03CA」をはじめ、Bluetoothを搭載した7~8機種。読み取ったRFID情報の処理はBREWアプリを用い、このアプリケーションは、用途にあわせてKDDIが開発するという。

 日立の情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部 井村亮事業部長は、「ネットワークインフラのないところでも携帯電話の機能を使って利活用ができる」点を第一のメリットとして説明。さらに、「GPSやカメラ、Webブラウザといった、携帯電話の持つ多様な機能との連携によって、活用の幅が広がってくる」と述べた。

 日立では活用されている実例として、レール敷設・保線管理システムのケースを説明した。この例では、線路脇に打ち込まれる杭にミューチップを内蔵しておき、GPSと連動させてその位置を特定できるようにしている。これによって、メンテナンス対象個所が正確に特定可能になるため、運用コストの削減、作業ミスの低減が可能になるという。また、宅配荷物のトレーサビリティ確保のためのシステムや、店舗での決済にRFIDタグを利用する例などを示したほか、実際の顧客からの声で、ビルのセキュリティシステムや、火災の検知システムなどで利用したいという要望があったことを紹介している。

 日立では今後、トレーサビリティ・RFIDフォーラム参画企業との連携で拡販を図るほか、海外を含めた対応機種拡大も視野に入れる。今回のリーダーで読めるのは現状2.45GHz帯のみだが、13.56MHz帯や、5円タグを目指して活動が続けられている「響プロジェクト」のタグ(950MHz)などにも、ニーズによっては対応していく意向だ。また将来的には、携帯電話への内蔵も検討しているとのこと。

 販売目標は、3年間で1万台。RFIDと携帯電話を融合した事業分野では3年で100億円、ソリューション事業全体では5年間で1800億円の売り上げを目指す。

 なおKDDIの技術統轄本部 技術開発本部、渡辺文夫本部長は、「重要な法人マーケットの中で、大事だと考えているものの1つがRFIDタグ。こういう新しい道具立てを使って、さまざまなソリューションを端末およびネットワークに組み込んで提供することで、法人マーケットの開拓・獲得に役立てたい」と、この事業に対する意気込みを述べている。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/09/0927a.html

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( 石井 一志 )
2006/09/27 16:35

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