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メトロ・イーサネット・ネットワークスアジア プロダクトマーケティングディレクター、アヌープ・チャンガロス氏
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ノーテルのキャリア向け製品であるOME 6500(ラック上)とMERS 8600。光伝送環境では、1つの回線中に異なるサービス品質(伝送速度)を求める顧客環境を共存させることが可能なので、無駄を省ける。またイーサネット環境ではトラブル時に50ミリ秒以内の迂回(うかい)を実現可能だ
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ノーテルネットワークス株式会社(以下、ノーテル)では11月9日、MEN(Metro Ethernet Networks)事業拡充の一環として新技術であるPBT(Provider Backbone Transport)を本格実装することを発表するとともに、同時にPBB(Provider Backbone Bridging)技術の重要性についても言及した。
ノーテルでは、2006年6月からメトロイーサネット新規事業プランや技術革新を掲げて世界的な通信需要への対応を促進、同月6日にはPBTの開発を発表している。この技術は、従来どちらかといえばLAN環境に限られていたEthernet技術を、スケーラビリティ、一貫性を備えるべく変革させていこうというものだ。この理由は、なんといってもEthernetに伴うシンプルな機能や既存資産を使えることの価値観、そしてコスト効率のよさを利用したいがためといえる。
メトロ・イーサネット・ネットワークスアジア プロダクトマーケティングディレクターであるアヌープ・チャンガロス氏は「現在でも、ある地点から別の地点へ張るEthernetにかかわる技術は、SDH/DWDM、およびGFP/VCAT/LCAS、IEEE 802.1ad(Q-in-Q)、MPLSなどといったものがある。しかし将来的な拡張性を考えると、これだけでは決して十分とはいえないのではないか」という。そこでこのたびのPBT技術がクローズアップされた、というわけだ。
具体的には、PBT技術によりSONET/SDHがもつキャリアグレードの一貫した接続性をEthernetに提供、50ミリ秒以内の迂回(うかい)とコネクション管理機能を実現できる。またIEEE 802.1ah/ad(PBB/QiQ)をベースに拡張したもので、シンプルなレイヤ2ネットワーキング技術、QAM&プロテクション(802.1ag&ITU)やMPLSスードワイヤ(PWE:擬似回線)との連携など最新Ethernet標準を活用している。
これによりサービスプロバイダは、Ethernet技術を使ってIPTVやモバイルビデオ、ビジネスサービスなどミッションクリティカルな広帯域サービスを提供できることになる。なおPBTの標準化は、ITU-T SG15/Q12でも検討されているところだ。現在はノーテル製品「Metro Ethernet Routing Switch(MERS) 8600」で利用可能になっているが、加えて「Optical Multiservice Edge(OME) 6500」やそのほかのEthernet対応プラットフォームに統合させるための開発もすすめている。
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PBB(Provider Backbone Bridging)技術の説明
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PBT(Provider Backbone Transport)技術の説明
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またPBBは、IEEE 802.1ahでドラフト済みであり、2007年の中ごろには批准の予定という。しかしノーテルでは3年前から業界では初めてこの技術を製品に実装、標準化に向けてイニシアティブをとってさらなる開発を進めている。メトロ・イーサネット・ネットワークスジャパン プロダクトマネージャーの近藤卓司氏は「EthernetはMACアドレスで通信を行うが、この技術ではキャリアのネットワークに入ると、そのキャリア独自のMACアドレスを用いて通信する。基本的には顧客ごとにキャリア内でany to anyの接続を提供し、顧客とプロバイダを分離する、拡張性の高いEthernetネットワーキングになっている」と説明する。
チャンガロス氏は「PBTおよびPBBの2大技術は、組み合わせてポイントトゥポイントのEthernetトランクを提供できるほか、キャリアグレードのコネクション管理がEthernetで提供可能なことから、最近では、上海テレコムがメトロイーサネットのバックボーンにPBBとPBTを導入した」と、業界での支持が着実に高まりつつあることをアピールした。
なお、ノーテルのMEN戦略としてはPBTやPBB以外にも、標準準拠のRPR(Resilient Packet Ring)技術をOME 6500オプティカルフォームに統合、メトロイーサネットによるサービス統合を実現させることも含まれている。この技術により、10Gbpsまでの複数Ethernetリングと、顧客ごとアプリケーションごとのサービス提供機能をサポートでき、ビデオをはじめリアルタイムなトラフィック優先制御も可能という。
■ URL
ノーテルネットワークス株式会社
http://nortel.com/jp
( 真実井 宣崇 )
2006/11/10 11:07
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