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「3つの技術で最大40倍の高速化」、ノーテルがアプリケーション最適化製品をアピール


Nortel Application Acceleratorシリーズ

Nortel Networksのエンタープライズ・ソリューション部門 セキュリティ&インテリジェンス プロダクトマネジャー、デール・オグラディ氏
 ノーテルネットワークス株式会社(以下、ノーテル)は6月5日、5月に発表したアプリケーション最適化アプライアンス「Nortel Application Accelerator(NAA)シリーズ」に関する説明会を開催。機能の詳細や戦略について、Nortel Networksのエンタープライズ・ソリューション部門 セキュリティ&インテリジェンス プロダクトマネジャー、デール・オグラディ氏が解説を行った。

 NAAシリーズは、Webアプリケーションへの接続を最適化するアプライアンスで、データセンターなどに設置されたWebアプリケーションサーバーのインターネット側に設置され、プロキシとして動作する。クライアントPCには特にアプリケーションをインストールしておく必要はなく、エンドユーザーは特にその存在を意識せずに、最大40倍にもなる、高速化の恩恵を受けられるという。

 高速化・最適化にあたっては、3つの仕組みを利用している。1つは圧縮で、クライアントに配信する前の段階で圧縮を行い、コンポーネントのサイズを小さくすることにより、最大90%の帯域幅を削減可能としている。オグラディ氏は、この機能における特徴としてアダプティブコンプレッション(適応型圧縮)技術を利用している点を挙げる。

 「ネットワークの状況によっては、常に(コンテンツを)圧縮するのが適当でない場合がある。この製品では、どの程度までの圧縮が望ましいのか、そもそも圧縮が必要なのかを動的に決定して実行してくれる。またヒューリスティックによる学習能力を持ち、各ネットワークの実データをベースに、圧縮をかけるかどうかを決定できる点も特徴だ」(オグラディ氏)。

 2つ目は、ブラウザキャッシュオフロード(軽減)機能。コンテンツのヘッダを書き換え、クライアントにキャッシュできるオブジェクトを伝えるこの機能を利用すれば、Webサーバーへのアクセスを減らして、帯域を節約することができる。「当社ではバージョンコントロールを行うことで、古くなってしまったデータを配信することを防いでいる。キャッシュ時間を拡張することも可能だ」(オグラディ氏)。

 3つ目は、すべてのオブジェクトではなく変更されたオブジェクトのみを更新する、デルタ(差分)エンコーディング機能。オグラディ氏は「動的に変化するコンテンツのうち、変化しているデータはその一部にしか過ぎない」と述べ、再配信する部分を最小限にとどめることで、多くの場合90%以上の帯域利用を削減できると説明している。


アプリケーション・プロファイルによって、アクセラレーション効果を高めている

NAAシリーズの設置例。シングル構成のほか冗長構成にも対応する
 さらにNAAシリーズでは、どのアクセラレーション技術を使うともっとも効果があるかを定義したXMLベースのルールセット、「アプリケーション・プロファイル」を利用できるのも特徴である。各アプリケーションに適したプロファイルを用いることにより、設定に関するユーザーの負荷を軽減。パフォーマンスの最大化だけでなく、互換性を保証することも可能になる。また、プロファイルの追加やアップグレードはダウンタイムなくいつでも可能であり、ユーザー自身による定義もサポートする。

 「直感的なルール作成エンジンを提供し、独自のプロファイル作成やカスタマイズをサポートする。また有償だが、当社のプロフェッショナルサービス組織によって、サーバーの推奨配置などを含めて分析し、カスタムアプリケーションに適したプロファイルを作成するサービスも用意している」(オグラディ氏)。現在は、汎用的なプロファイルのほか、SharePoint、Outlook Web Access、WebSphere向けのプロファイルを用意しており、今後はSAPやOracle、Notesといったアプリケーション向けのプロファイルも提供する予定とのことである。

 なお実際の利用にあたっては、自社のAlteon製品群をはじめとするアプリケーションスイッチ(ロードバランサー)との併用を推奨する。オグラディ氏は、「アプリケーションスイッチはアクセラレーションを必要とするトラフィックだけを送り出すので、NAAシリーズ側での処理を最小限に抑えられ、CPUパワーを圧縮だけに使える。CPUの利用率を数%だけ下げたとしても、圧縮を速くでき、コンテンツをより迅速にエンドユーザーに配信できる」と、併用のメリットを説明した。

 ノーテルではこの製品を、インターネットデータセンター(IDC)やxSP、大企業のデータセンターなどを中心に販売する考え。大企業では特に、eコマースを展開するリテールや、オンラインバンキングを行っている金融業といった業種を中心に販売を進める。さらに、Webベースの業務アプリケーションを利用したり、シンクライアントを利用したりしている企業も、対象になるとのことだ。

 価格は、SSLアクセラレーション機能だけが利用可能な最小構成で389万3000円(税別)から。圧縮やキャッシュの機能を利用するためには、179万9000円(同)のWeb高速化ライセンスが別途必要になる。



URL
  ノーテルネットワークス株式会社
  http://www.nortel.com/jp

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  ・ ノーテルがアプリケーション高速化アプライアンスを発売、最大40倍の高速化を実現(2007/05/30)


( 石井 一志 )
2007/06/05 15:37

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