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瀧澤三郎取締役執行役員専務
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日本電気株式会社(NEC)は6月7日、アウトソーシング事業強化に向けた中期戦略を明らかにし、その一環として従量課金方式で社内ネットワークシステムを利用可能とする「オンデマンド型ネットワークサービス」を同日から販売開始すると発表した。
瀧澤三郎取締役執行役員専務は、約3カ年を見込んだ中期的なアウトソーシング事業の成長戦略について「現在、企業ではオープン化による業務改革の意識が高まっているが、この状況は当社にとっては大きなチャンスと考えている。今後、NGN時代のサービス事業の広がりをとらえ、ITとネットワークの融合を実現できる体制をベースに、コンサルから保守までライフサイクルマネジメントの一貫提供をより強化するとともに、サービスプラットフォームの領域にもアウトソーシング事業を拡大していく」と述べた。
具体的には、1)IT・NW融合によるサービスシフトの加速、2)構築・運用・保守の一貫提供による事業拡大、3)サービスプラットフォーム提供事業の立ち上げ-の3点を重点施策に挙げており、「これらの施策によって、アウトソーシング事業の売上高を2006年度の2400億円から2007年度には2900億円まで拡大させる。さらに、年平均伸長率20%以上の成長を続け、中期で4500億円達成を目指す」(瀧澤取締役執行役員専務)方針を示した。
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アウトソーシング事業の成長戦略
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アウトソーシング事業の中期売上目標
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オンデマンド型ネットワークサービスの概要
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今回発表されたオンデマンド型ネットワークサービスは、3つの重点施策のうち「IT・NW融合によるサービスシフトの加速」に向けた戦略サービスとして位置づけられる。
オンデマンド型ネットワークサービスは、企業における電話システムやネットワークシステム(LAN/WAN)の機器、回線の調達からシステム構築・運用管理・保守までを一括提供するサービス。常に最適な状態でシステムを稼動させるために、システム構成や設備状況を見直し、ライフサイクルをトータルでサポートする。サービスは、電話機1台、回線1ポートといった単位で提供され、機器・回線などの数量やサービスレベルに応じて課金する従量課金方式を採用している。当初は、専任要員80人体制で提供を開始し、順次体制強化を図っていく予定。
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谷岸一善執行役員常務
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谷岸一善執行役員常務は、「従量課金方式によるアウトソーシングサービスは業界初となる。これによって企業は、電話システムやネットワークシステムを自社資産として購入する必要がなくなり、従量課金によるコスト最適化を図れるとともに、組織再編や経営改革を実施する際も、オンデマンド対応で柔軟にインフラの増強・変更に対応することができる。また、ITILに基づいた効率的な運用管理により、ネットワーク運用管理コストの削減も実現する」と、新サービスの導入メリットを説明した。
サービスメニューとして、「企業内電話サービス」「事業所内LANサービス」「事業所間WANサービス」の3種を用意。企業内電話サービスでは、NECのデータセンターにSIP対応テレフォニーサーバーを設置し、電話機1台単位の従量課金でサービスを提供する。事業所内LANサービスでは、事業所内LANシステムを設計構築し、LANポート単位の従量課金でサービス提供する。事業所間WANサービスは、事業所収容回線単位、事業所収容チャネル単位、または端末1台単位での従量課金サービスとなる。各メニューとも、NECの専門要員が24時間365日のサポート体制でITILに基づいてネットワーク障害や問い合わせなどの対応を行う「サービスデスク」を提供する。
「今後は、グローバルサービスや無線LANサービス、認証サービスなどにも従量課金方式を取り入れ、オンデマンド型ネットワークサービスのメニューを強化していく」(谷岸執行役員常務)考え。
オンデマンド型ネットワークサービスの販売目標は、今後3年間で30社300億円。すでに第1号ユーザーとして、オムロンへの導入を行っている。オムロンでは、経営・事業を支えるIT基盤の変化対応力の強化を目的に、国内38拠点の利用者を対象に導入。これによって、ネットワークシステムの年間管理コストの約20%削減を見込んでおり、今後、海外拠点への拡大も検討しているという。
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オンデマンド型ネットワークサービスの利用イメージ
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企業内電話サービスの費用削減効果(例)
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オムロングループへの導入事例
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アウトソーシング事業強化に向けた重点施策の2点目、構築・運用・保守の一貫提供による事業拡大についての取り組みとしては、運用設計方法論の標準化によって、システム構築から運用までの効率化を図るほか、日々の運用・保守情報を設計・構築を行うSIにフィードバックする体制を整える。
また、3点目の重点施策であるサービスプラットフォーム提供事業の立ち上げでは、IT・NW統合技術とOMCS SI技術をベースに、顧客が創出する新たなサービスビジネスに最適化したプラットフォームを提供していく。具体的には、基幹業務との連携、個別アプリ開発などには「共通IT基盤」を利用し、消費者へのリーチや映像ストリーミングについては「BIGLOBE基盤」を利用したサービス共通プラットフォームを提供していく。
なお、同社では、これら施策を本格展開するため、国内事業基盤の強化も計画している。まず、サービス要員の強化・拡大として、ライフサイクルサポート実現に向けた人材ローテーション、および連携強化を図り、アウトソーシング系要員を現在の2200人から中期で3200人まで増強する。これにより生産性の20%向上を目指す。さらに、サービスプロフェッショナルの育成・強化として、サービス系社内資格の取得率を現在の25%から中期で50%へ、ITIL資格取得率を現在の60%から中期で80%へ引き上げる考え。
データセンターについても、同社統一方針のもと強化・拡充を実施する計画。都市型では、グループ共用の最新データーセンターとして、首都圏に2500平米規模で増強する予定。地域型は、グループ連携によって全国地域に展開していく。
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サービス共通PFの提供
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サービス要員の強化・拡大(国内)
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データセンターの展開・拡充
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■ URL
日本電気株式会社
http://www.nec.co.jp/
プレスリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0706/0703.html
( 唐沢 正和 )
2007/06/07 18:10
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