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ジュニパー、ハイエンドコアルータ「T1600」を発表-処理能力は最大1.6Tbps


T1600

代表取締役社長の大須賀雅憲氏
 ジュニパーネットワーク株式会社(以下、ジュニパー)は6月12日、キャリア向けコアルータのフラッグシップモデル「T1600」を発表した。2007年第4四半期の出荷開始を予定する。

 T1600は、ジュニパーのキャリア向けルータ「Tシリーズ」の中でも最上位に位置する高性能コアルータ。ルーティングスループットは、従来の最上位製品「T640」の640Gbpsに対して倍以上の1.6Tbpsという高性能を実現しながら、従来と同じハーフラックサイズの筐体に収納される。バックプレーンの処理容量も1スロットあたり200Gbpsにまで拡大されており、将来の100Gigabit Ethernetに対応可能なスケーラビリティをすでに備えた。

 また、FPC、PICといったラインモジュールなどのコンポーネントは従来製品と共用可能であり、「顧客にこれまで負担いただいた投資の大部分を、そのまま生かせる」(代表取締役社長の大須賀雅憲氏)点も強み。T1600へのアップグレードはわずか90分以下で完了するほど簡単に行え、しかも無停止で作業を実施できるという。

 加えて、単純な性能もさることながら、性能あたりの容積、重量、消費電力を競合製品と比べた場合、それぞれ40%、33%、51%と、おおよそ半分以下に抑えられている点も特徴とのこと。これらの要素について、代表取締役社長の大須賀雅憲氏は、「(ルーティング)容量が倍になっても、スペース、重量、電力といった条件が倍になってしまっては意味がない。重量は床加重の補強、サイズは不動産投資といったように、これらの要素はすべて通信会社の投資要素であり、コスト削減につながってくる。競合と比べて大きな差であると認識している」とコメントした。


 また大須賀社長は、競合との比較において、約10年の実績を持つモジュラー型OS「JUNOS」を強みとして挙げた。ジュニパーのルータ製品に共通して採用され、すでに5万台以上のルータでの稼働実績があるJUNOSでは、販売開始から9年間にわたって四半期ごとのバージョンアップが継続して行われているものの、1系統のみを提供するシングルトレイン開発を原則としており、煩雑なバージョン管理を行う必要はない。もちろん、モジュラー型ならではの柔軟性、可用性も持ち合わせている。大須賀社長はそのJUNOSを「過去10年のさまざまな経験を集約し、高い安定性を持つ。今後も柔軟に成長できる」とアピールした。

 このJUNOSの持つ豊富な機能を利用して、きめ細かいサービスコントロールを行える点もT1600のメリット。例えば、ダイナミックMPLS LSP(Label Switched Path)によるリソースの動的な確保が可能で、顧客にとって最適な通信環境を動的に用意できる。「現在は、単純にトラフィックが増えているだけでなく、多くのアプリケーションが利用されている。エンドトゥエンドでのさまざまな処理を要求され、コアでも、いろいろな工夫が求められるようになった。大型ではあるが、きめの細かいサービスができる機能を搭載している」(大須賀社長)。

 なおジュニパーでは、単体のルータ製品のほか、複数台のT640を組み合わせて最大2.5Tbpsのルーティング性能を持たせたマルチシャーシルータ「TXマトリクス」を提供している。今回のT1600はまだマルチシャーシ化には対応しないが、大須賀社長は、「当社では、2002年のT640、2004年のTXマトリクス、今回のT1600と、市場で必要とされるトラフィックの伸びに対して、適切なタイミングで製品を投入してきた。今後も、トラフィックの伸びに従って適切に容量が増えていくと思う」と述べ、今後の対応に含みを持たせた。



URL
  ジュニパーネットワーク株式会社
  http://juniper.co.jp/
  プレスリリース
  http://juniper.co.jp/company/presscenter/pr/2007/pr-070612.html

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( 石井 一志 )
2007/06/12 15:24

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