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BigIron RX-32
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ファウンドリーネットワークスジャパン株式会社(ファウンドリー)は6月13日、シャーシ型のレイヤ2/3スイッチ「BigIron RXシリーズ」の最上位製品として、「同 RX-32」を発表した。2007年後半の出荷開始が予定されている。
BigIron RX-32は、ハイエンド向けの大容量ルーティングスイッチ。33Uサイズの筐体にラインカードを増設する拡張スロットを32基備えており、最大1536のGigabit Ethernet(GbE)ポート、もしくは最大128の10GbEポートを搭載可能という。処理能力は約22億pps、データスイッチング容量は3.2Tbpsで、既存のRXシリーズの最上位にあたる「BigIron RX-16」と比べて2倍の処理性能を持つ。
こうした大容量のルーティングスイッチをファウンドリーが提供する背景には、昨今のデータセンターやHPC、IXP(Internet Exchange Point)などにおける容量とパフォーマンスへのニーズの高まりがあるという。「企業のデータセンターやHPCなどでは、より高いポート密度やより高い容量が求められる。またこうしたトレンドは、新しいコンテンツをユーザーに提供するようになっているキャリアのデータセンターにおいても同じ。毎年60~100%、トラフィックの伸びが見られており、スケーラビリティの向上やトランスポート性能の向上が求められている」(米Foundryのハイエンドサービスプロバイダシステム担当ディレクター、アーメド・アブデルハリム氏)。
それに応えられるものとしてファウンドリーが提供するものが、今回発表されたBigIron RX-32だ。しかし、こうした分野で求められるようになっているのは、性能だけではない。アブデルハリム氏は、「RX-32における1Gbpsあたりの消費ワット数と競合製品を比較すると、かなり低く抑えられている」と述べ、低消費電力という点をアピールする。消費電力が低ければ発熱も抑えられるため、空調設備にかかる費用も削減できるというメリットも生まれる。
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米Foundryのハイエンドサービスプロバイダシステム担当ディレクター、アーメド・アブデルハリム氏
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アブデルハリム氏によれば、消費電力はここ1~2年の間に重要な要素になってきたという。同氏は、「消費電力と冷却はランニングコストに影響を与えるだけでない。データセンターで利用できる電力には限界があるので、スケーラビリティにも影響する」と指摘。さらに、「当社では高信頼・高性能な製品を提供するだけでなく、消費電力を下げるということもデザインの理念として掲げ、新製品を開発する際には必ずそれを念頭に置いてきた。競合よりも、一日の長がある」と述べる。
この消費電力の優位性は、BigIron RX-32が持つ高いスケーラビリティを生かした、大規模システム統合によって引き出されるという。多ポートを搭載可能なBigIron RX-32では、4~6台、あるいはそれ以上の競合製品を1台に統合でき、例えば、560ポートのGbE、48ポートの10GbEが必要なデータセンターの場合、競合では1台半から2台半の19インチラックが必要になるのに対し、同スイッチでは33U(2/3ラック)ほどに集約が可能。これだけでもスペースが特に限られている日本では有効だし、統合による管理コスト削減も見込めるが、さらに「消費電力も冷却費用も競合の1/3程度になる。運転コストや設備原価を含めた5年間のTCOを比較すると、だいたい1/4だ。また、10GbEを96ポート集約するHPC構成の例では、5年間のTCOが少なくとも1/6になる」(アブデルハリム氏)とのことで、大きな効果があるというのである。
「BigIron RX-16の時と比べてポートあたりの消費電力はさほど変化はないが、統合度合いをより高められるので、全体の効率を向上させられる。以前から、かなり他社より先んじていたが、BigIron RX-32でさらに一歩前へ出たといえる」(同氏)。
市場としては、前述したように、ニーズの高いデータセンターやHPC市場、IXPなどのキャリア市場を狙う。アブデルハリム氏は、「データセンターの市場は、ストレージやサーバーの統合が必要になっているほか、高いパフォーマンスへのニーズもあり、現在もっとも大きな市場になっている。またHPCやデータマイニングの市場は、まだまだサイズは小さいが、大手企業がクラスタコンピューティングを利用する動きが加速しており、これからかなりの成長が見込める」とした。
参考価格は、ベースシステムで2573万9400円から。ラインカードは従来のRXシリーズと共通で利用できる。
なおファウンドリーでは今回、メトロネットワーク向けルータ「NetIron XMR 32000」と、バックボーン向けルータ「同 MXL-32」も筐体デザインを一新した。これによって、前面から背面へのスムーズなエアフローを実現したほか、ケーブル管理や電力供給の面が改善されたとのこと。アブデルハリム氏は、これらの製品についても、統合による電力消費の削減が可能だとアピールしている。
■ URL
ファウンドリーネットワークスジャパン株式会社
http://www.foundrynetworks.co.jp/
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