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シニアプロダクトマーケティングマネージャーの武堂貴宏氏
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対向設置することにより、大規模なリモートオフィスでの利用効率化が実現するほか、BIG-IP Global Traffic Managerとの連携により、最適な拠点へアクセスできるようになる
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F5ネットワークスジャパン株式会社(F5ジャパン)は8月1日、Webアプリケーション高速化製品「BIG-IP WebAccelerator」の新版「同 9.4.2」を発表した。アプリケーションスイッチ「BIG-IP Local Traffic Manager」のソフトウェアモジュールとしての提供に加えて、新たにスタンドアロンのアプライアンス製品「BIG-IP WebAccelerator 4500」を用意する。販売開始は10月の予定。
BIG-IP WebAcceleratorは、動的に変更されるWebページにも対応可能な独自のキャッシュ技術などを利用して、Webアプリケーションの高速化を図るための製品。「Webブラウザのキャッシュに入れておけるものは入れておきましょうという発想」(シニアプロダクトマーケティングマネージャーの武堂貴宏氏)で、WAN環境における大きな遅延の影響をできるだけ防ぐ。また、サーバーの負荷軽減や、1ドメインあたり2本に制約されているHTTPのコネクションを拡張して、同時に通信できるデータ量を増やす機能も備えている。また、アプリケーション高速化のポリシーテンプレートを搭載しており、短期間で高速化を実現可能だ。
このように、これまではWebブラウザとWebAcceleratorの間で高速化を行い、実績を残してはきたが、ビジネスを進めていく上で課題として上がってきたことがあるという。それは、「初回のアクセスが遅い」「SSLコンテンツが高速化できない」の2つ。これまでのWebAcceleratorでは、個々のPCにおけるWebブラウザのキャッシュを利用していたので、キャッシュがない初回アクセス時はどうしても効果が薄れてしまう。また、SSLで暗号化されてしまっては処理が重くなるし、圧縮やバイトキャッシングの技術が利用できないので、最適化がかけられない。
そこで新版では、拠点間にWebAcceleratorを対向設置することで、こうした課題を解決できるようにした。「例えば、大阪に1000人の社員がいて、東京へ同じようなコンテンツを各自が取りに行く場合、手前のキャッシュを利用できれば、取りに行くのはたった1人でいい。またSSLについては、対向設置するWebAccelerator間でのみ暗号化をかけることによって、きちんと最適化を効かせられる」(武堂氏)。
もちろん、新版でもこれまで同様の非対向型の利用は可能で、大規模な拠点と本社の間は対向設置、リモートユーザーやホームオフィスからの利用はWebブラウザとWebAccelerator間の高速化、といった形で使い分けられるようになっている。さらに今回は、対向設置を可能にしたことによって、BIG-IP Global Traffic Managerとの連携に対応。本社・拠点に点在するWebAcceleratorの最適なところへ、トラフィックを振り分けられる。
なおF5ジャパンでは、拠点間に対向設置するWAN高速化製品「WANJet」を提供しており、今回の機能強化によって、WebAcceleratorとの違いがわかりにくくなってしまった。これについて武堂氏は、「あくまでもWebAcceleratorは動的なWebアプリケーション専用であり、HTTP/HTTPSにのみ対応する。ポータルやCRM、ERPなどが対象となるだろう。一方のWANJetはプロトコルを問わない。TCPの高速化機能も持つので、TCPのアプリケーションであれば一定の高速化が可能だ」と説明した。
価格は、ソフトウェアモジュール版が300万円、BIG-IP WebAccelerator 4500が990万円(予価)。保守契約中のユーザーは、ソフトウェアは無償でアップグレードできる。
■ URL
F5ネットワークスジャパン株式会社
http://www.f5networks.co.jp/
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( 石井 一志 )
2007/08/01 18:52
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