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富士通、音声や映像の体感品質を管理するソリューション「Proactnes II」

品質劣化を人間の耳・目レベルで検出

ネットワーク管理ソリューション事業部 プロジェクト部長の水田一生氏
 富士通株式会社は10月15日、次世代ネットワーク(NGN)における運用管理・品質管理を実現するネットワークサービス管理ソリューション「Proactnes II」を発表した。2008年度第1四半期より販売を開始する。

 Proactnes IIは、ネットワーク上で提供されるサービスの品質向上を支援するとともに、その効率的な運用管理を実現するネットワークサービス管理ソリューション。ネットワーク上の音声や映像の(ユーザー)体感品質(QoE:Quality of Experiense)を管理する「Proactnes II QM」と、数十万規模の通信機器で構成されるような大規模ネットワークを管理する「Proactnes II NM」から構成される。

 Proactnes II QMは、ネットワークを介して提供されるサービスの品質管理を行う製品。計測用プローブと管理マネージャが提供され、計測用プローブをIP電話用サーバーや映像配信用サーバーなどの手前に設置することで実トラフィックを収集。さらに、富士通研究所で開発された音声や映像の体感品質を定量化する技術により、トラフィックを分析、品質変化を検知することで、「音声品質管理では、人間が耳で聞くレベルでエコーやノイズを検出できる」(ネットワーク管理ソリューション事業部 プロジェクト部長の水田一生氏)という。

 映像品質管理では、映像シーンごとに特性が異なる体感品質を数値化して評価することが可能。例えば、「静止している色とりどりの花の映像と、緑一色で風に揺れている草原の映像に同等のちらつきが生じた場合、人間の視覚的には、コントラスト差が大きく静止している花の画像の方が、画面のちらつきが気になる」(同氏)。こうした人間が見てノイズが気になるシーン、気にならないシーンを「プロファイル」として数値化することで、映像品質の劣化を検出するというわけだ。「従来は、パケットロス程度のことでしか品質管理は不可能だったが、同ソリューションでは、人間の体感品質の面からアプローチできるのが特長だ」(同氏)。


Proactnes II QMのアプローチ Proactnes II QMの構成

Proactnes II QMの適用技術-音声品質 Proactnes II QMの適用技術-映像品質

 Proactnes II QMについて、富士通では、キャリアなどのサービスプロバイダ向けにまずは展開する方針。キャリアがもつ全国の収容局などに導入することを想定している。その後は一般企業への展開を図る。「企業内でもさまざまなネットワークサービスが流動している。その範囲が基幹システムにも及ぶのなら、一般企業にも十分訴求できるはずだ」(同氏)。

 NGNの利用を進める企業も対象となる。NGNには、ユーザー品質を保証する特長(資源アドミッション制御機能)があり、その1つにQoS保証が含まれる。例えば、NGN上で音声や映像を配信する場合、QoSが確保できていることが前提となり、万が一確保できていない場合は配信をストップする。この仕組みにより、ユーザーに最適なエクスペリエンスを提供するわけだ。NGNは正常稼働してこそ初めて、さまざまなメリットの恩恵を得られるものといえる。富士通では、NGNの正常性を監視するためのツールとして、Proactnes II QMを拡販していく意向を見せている。


 一方のProactnes II NMは、大規模ネットワークにも対応する運用管理ソリューションである。特長は、「従来の物理構成、論理構成の管理に加えて、サービス構成の管理もできる点だ」(同氏)という。

 サービス構成の管理とはどういうことか。ネットワーク機器を構成図として可視化するのが物理構成の管理だ。そのネットワーク上で構築されるVPN、VLAN、MPLSなどの論理構成を可視化するのが論理構成。サービス構成の管理では、実際にVoIP交換プロトコルが流れるルートや音声が流れるルートを可視化することが可能となる。これによりネットワーク障害が、どのサービスにどんな影響を与えるのか、というようにビジネスに直結した管理が行えるというわけだ。

 Proactnes II QMと連携させれば、各構成図上から直接、サービス品質の状況や劣化の予兆などをドリルダウン形式で、解析していくことも可能とのこと。

 価格は、Proactnes II QMが123万円(税別)から。Proactnes II NMが300万円(同)から。富士通では、同製品および関連サービス全体で、3年で200億円の売り上げをめざすとしている。


物理構成、論理構成に加えて、サービス構成の管理も可能 Proactnes II QMと同 NMの連携例


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/10/15.html


( 川島 弘之 )
2007/10/15 15:04

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