Enterprise Watch
最新ニュース

ジュニパー、WAN高速化製品の暗号通信対応などを強化


WXOS 5.5を利用可能な製品の1つ、WXC590

ソリューションマーケティングマネージャーの中村真氏
 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は10月23日、WAN高速化アプライアンス「WX/WXCシリーズ」向けの新OS「WXOS 5.5」と、管理ソフトの新版「CMS 5.5」を発表した。これによって、暗号化通信への対応を拡大するなど、高速化の適用領域を拡げている。提供開始は11月から。サポート保守契約を締結している既存ユーザーは、無償で入手できる。

 WX/WXCシリーズは、複数拠点間のWANを経由した通信を高速化するための製品。WXシリーズはキャッシュ格納をメモリベースで行うが、WXCシリーズはHDDを搭載しており、大容量のキャッシュを格納できる点が異なる。両シリーズとも、各拠点にアプライアンスを設置して使用する対向型のアプローチを採用。アプリケーションのパフォーマンスを最大25倍にまで拡大可能という。

 今回の新OSでは、まず、これまで高速化が難しかったSSL暗号化されたアプリケーションのトラフィックに対しても、適切な高速化を行えるようにした。具体的には、サーバーが設置された拠点のWX/WXCシリーズで一度SSLを復号し、平文に直してから圧縮。ユーザー拠点の同シリーズでもう一度SSLの暗号化を行って提供する。この際、両拠点のアプライアンス間については、IPsec VPNを利用することでセキュリティの低下を防いでいる。

 また、SMBプロトコルにデジタル署名を付加してセキュリティを高める、「SMB署名」利用時の高速化にも対応した。「Windows Server 2003をドメインコントローラにすると、デフォルトでSMB署名がオンになり、これまでは高速化しづらい面があった。しかし、今回はSMB署名利用時の高速化にも対応したため、せっかくのセキュリティを高める機能をオフにしないでも済むようにしている」(ソリューションマーケティングマネージャーの中村真氏)。さらに、SMB2の高速化などを新たにサポートし、Windows Vistaを利用するPCに対しても、適切なWAN高速化機能が提供できるようになった。

 一方、CMS 5.5の機能強化では、利用が見込まれるコンテンツを遠隔側のアプライアンスへあらかじめ配信しておく機能が追加された。WX/WXCシリーズを用いたWAN高速化では、プロトコルの最適化や圧縮などによって、1回目の通信時でも相応の高速化を実現できるものの、キャッシュを利用した2回目以降の通信時の方が、高速化の効果は高い。従って、あらかじめ各拠点のアプライアンスへコンテンツをキャッシュさせておけば、1回目の通信時から、2回目同様の高い高速化の恩恵を得られる。

 なおジュニパーでは、クライアントPC向けの通信高速化ソフト提供や、企業向けルータ「Jシリーズ」用の高速化モジュール提供などをすでに明らかにしており、WAN高速化製品の充実に向け継続して取り組んでいくとしている。



URL
  ジュニパーネットワークス株式会社
  http://juniper.co.jp/
  プレスリリース
  http://juniper.co.jp/company/presscenter/pr/2007/pr-071023.html


( 石井 一志 )
2007/10/23 16:52

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.