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NEC、LTEやWiMAXなどワイヤレスブロードバンドへの取り組みを説明


執行役員 モバイルネットワーク事業本部長の遠藤信博氏

ワイヤレスブロードバンドにおける各規格のカバー範囲
 日本電気株式会社(以下、NEC)は12月10日、記者向けの説明会を開催。ワイヤレスブロードバンド市場に対する取り組みを、執行役員 モバイルネットワーク事業本部長の遠藤信博氏が説明した。

 日本国内におけるインターネットトラフィックが伸び続けているのは周知の通りだが、これは有線だけでなく無線についても同じで、現状でも無線データ通信には高いニーズがあるという。また、「2006年にHSDPAによる高速無線通信のサービスが開始したとたんにまた伸びている」(遠藤氏)状況が示す通り、無線通信の高速化へのニーズも引き続き大きい。一方で事業者側から見ても、無線通信の高速化によって、これまでとは異なる新しいサービスが提供可能になるなど、新たな市場機会が生まれることが期待されている。

 このような状況の中でNECでは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)系と、IEEE系の双方において、ワイヤレスブロードバンドを提供可能なソリューションの商品化を行ってきた。3GPP系では、2010年ごろに予定されている3GPP LTE(Long Term Evolution)の提供へ向けて研究開発に取り組んでおり、同日にはNTTドコモの「Super3G」における無線基地局装置の開発・製造ベンダーに選定されたことが発表されている。

 NECではすでに、3GPPの要求条件である100ミリ秒以下の制御遅延、5ミリ秒以下の転送遅延を達成したほか、ロスレスハンドオーバー、MBMS(ブロードキャスト/マルチキャストサービス)機能を評価中。LTEでは、下り100Mbps、上り50Mbps以上の高速通信を目指しているが、同社はMIMO(Multiple Input Multiple Output)を適用した無線対向システムにおいて、下り100Mbps、上り80Mbpsの転送速度を確認しているという。


3GPP系のLTEに向けた進化 NECが開発しているLTE関連システム。端末側から基地局、コアネットワークシステムまでを提供できる LTEでは上り50Mbps、下り100Mbpsの広帯域を利用できるため、例えば、息子がプレーしているサッカーの映像を、遠隔地の父親へリアルタイムでストリーミングすることも可能という

 一方のIEEE系では、固定・モバイルの両領域をカバーするWiMAXの事業化に取り組んでおり、12月6日には、台湾の大同電信よりモバイルWiMAXシステムを受注したと発表している。また12月10日には、モバイルWiMAXシステム「PasoWings」をグローバルに販売開始すると発表。PC用のPCMCIAカードから、基地局やアンテナなどの無線アクセス製品、ユーザー認証サーバーやユーザー位置情報管理サーバーといったアプリケーションサーバーまで、エンドトゥエンドをカバーする製品を用意した。あわせて、基地局とIP網を接続するバックホールシステム、IP電話サービスの実現に必要なSIPサーバーなど、NECの他製品とを組み合わせ、通信事業者のシステム全体をカバーできる体勢を整えている。

 NECではこうした両面での取り組みから、ワイヤレスブロードバンドの実現を積極的に推進し、事業拡大につなげていきたい考え。すでに製品化したWiMAX関連製品については、今後3年間で無線基地局15000システムの販売を見込むとしている。


WiMAXの基地局システム アンテナ類 モデムタイプの受信端末(左)とPCMCIAカード(右)


URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0712/1002.html
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0712/1001.html


( 石井 一志 )
2007/12/10 18:16

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