|
Phantosysの管理画面イメージ。階層型の管理方式を採用しており、各ブート環境を一元的に管理できる
|
株式会社ワッセイ・ソフトウェア・テクノロジーは1月11日、ネットブート型シンクライアントOS「Phantosys(ファンタシー)」を発表した。Windows Vista/XPのネットワークブートを行える製品で、2月より企業や文教市場に向けて販売を開始する。価格はオープン。
Phantosysは、台湾ARGTEK COMMUNICATIONが開発しているシンクライアントOSで、ネットワーク経由でサーバーからOSイメージを取得してブートするネットブート型のシンクライアント環境を構築できる。ネットブート型は、画面遷移情報やキーボード入力情報をやりとりするほかのシンクライアント方式と異なり、シンクライアント端末のローカルリソースを利用して動作するため、CADやマルチメディア関連などGPUの能力が必要なアプリケーションでも制限なく利用できる点が特徴。さらにPhantosysでは、専用端末ではなく一般PCをシンクライアント化できることから、必要な能力に応じて、さまざまなPCを選択可能なメリットがある。
Phantosysの運用にあたっては、セキュリティや利便性を考慮し、ローカル端末のHDDを取り外して完全にシンクライアント化することも、装着したままでローカルドライブとして用いることも可能。HDDが装着されている場合は、そのHDDをキャッシュとして活用しネットワークボトルネックによる処理速度低下を防ぐ、「ローカルキャッシュ機能」も利用できる。
最大の特徴は、多数のクライアント環境をツリー状に管理するマルチレイヤーノード方式を採用している点。ひな形となるブート環境(親ノード)をベースに、一部設定・環境を変更したノード(子ノード)を簡単に追加できるほか、子ノードの一部を変更した孫ノード、孫ノードの一部を変更したひ孫ノード、といったように、階層は何層も掘り下げて作っていける。
また、1ノードごとに1ファイルを作成する競合製品と異なり、1つのファイルへ全ノードを統合して保存している点も特徴で、ツリー状にノード構成を把握できる管理画面とあわせて、ブート環境の管理負荷を大幅に軽減しているという。なお管理にあたっては、中間ノード、例えば子ノードを削除しても、孫ノード以下の下位ノードにはまったく影響を与えずに運用していけるため、無駄なノードをいつまでも作成したままにしておく必要がなく、この面でも煩雑化を防げるとのこと。
ラインアップには、ノード数を42、階層数を4レイヤまでに制限したLight版、ノード数や階層数の制限をなくしたProfessional版、PCのUSBポートなどを利用できなくするポートブロッカー機能を追加した最上位のAtum版が用意される。なお上位2製品では、複数のサーバーを設置しての負荷分散や冗長化にも対応する。
1ライセンスあたりの参考価格は、サーバーライセンスが各バージョンとも10万円、クライアントライセンスがLight版で2万8000円、Professional版で3万5000円、Atum版で3万8000円。サーバーの対応OSはWindows Server 2003(32ビット版)、クライアントの必要スペックは、Celeron 2.0GHz以上、メモリ512MB(Windows Vistaをブートする場合は1.5GB以上)となっている。
■ URL
株式会社ワッセイ・ソフトウェア・テクノロジー
http://www.wasay.co.jp/
ニュースリリース
http://www.wasay.co.jp/news/news080111.htm
( 石井 一志 )
2008/01/11 11:02
|