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フォーステン、企業向けの小型シャーシスイッチと高密度10GbEラインカード

スイッチ向けOSのモジュラー型統一も実現

C150

米Force10 Networksのマーケティング担当副社長、ステファン・ギャリソン氏

モジュラー型のFTOSによって、全ラインアップに統一したインターフェイスを提供する
 フォーステン・ネットワークス株式会社(以下、フォーステン)は2月21日、企業向けのシャーシ型スイッチ「Cシリーズ」の新製品「C150」と、同シリーズ向けの8ポート10Gigabit Ethernet(GbE)ラインカードを発表した。またあわせて、ボックス型スイッチ「Sシリーズ」への、モジュラー型OS「FTOS(Force10 OS)」の移植が終了したことも発表した。この移植完了によって、エントリーのSシリーズから、Cシリーズ、最上位のキャリア向けシャーシ型スイッチ「Eシリーズ」までの全製品で、FTOSが一貫して利用できるようになったとしている。

 FTOSは、フォーステンが開発・導入しているスイッチ向けのOSで、NetBSDベースのモジュラー構造を採用している点が特徴。パケット損失のないヒットレス・フェイルオーバー、サービス中断を起こさないステートレス・フェイルオーバーをサポートするほか、コンポーネントの劣化を自動検知してプロアクティブに修正する自動障害修正、といった機能を備えており、ネットワークの可用性・信頼性を向上させられるという。

 こうした性質を持つFTOSは、EシリーズとCシリーズの両シャーシ型スイッチに搭載されていたものの、SシリーズはSFTOSという別のOSを搭載していたため、「顧客からは、運用の一貫性を担保したいという要望を受けていた」(米Force10 Networksのマーケティング担当副社長、ステファン・ギャリソン氏)という。そこでフォーステンでは開発を進め、今回Sシリーズへの移植を実現した。ギャリソン氏は、「これによって、データセンターから末端まで、信頼性・拡張性を持ったエンドトゥエンドのネットワークが提供可能となり、増加するサービスに対して、的確に対応できるようになった」(ギャリソン氏)と述べ、OSの統一によって得られるメリットを強調した。

 さらにフォーステンでは、FTOSと同社のポリシーサーバーを中核に、ネットワークの機能を自動化するソリューションの提供を予定する。ギャリソン氏はこの取り組みについて、「データセンターでは、電力や冷却が大きな課題になっているが、このソリューションが実現すると、例えば、トラフィックが低い部分を見つけて自動的にシャットダウンさせ、電力の節約を図るといった使い方が可能になる」と話す。現在、ロードバランサーやサーバーのベンダーとの協業を進めており、2008年の夏ごろには具体的な発表ができるだろうとした。

 一方で、FTOS自身へファイアウォールやロードバランサーといったサードパーティが提供する機能を組み込むことや、逆に、安定したOSを必要とするパートナーへFTOSをOEM供給することなども計画しているとのことで、フォーステンではFTOSを基幹技術に位置付けて、今後も活用していく考えを示した。


新ラインカード「LG-CB-10G-8P」によって、10GbEの高いポート密度を実現したという

フォーステンの代表取締役、安田芳治氏
 また新製品では、企業向けの小型シャーシスイッチであるC150を提供する。これは4スロットのラインカードを内蔵できる製品で、ワイヤレートのGbEポートを最大192基搭載可能。また同時に発表された新ラインカード「LG-CB-10G-8P」を利用すると、最大32基の10GbEポートを搭載できる。ギャリソン氏はC150を、「当社の足場を中規模企業へ広げるための製品」と紹介したほか、新ラインカードについては、「このクラスで最高のポート密度を持つほか、競合の製品と異なり、1枚でさまざまなインターフェイスに対応できる。採用を進めるために、ミッドマーケットでの適正価格でないといけないので、その点にも配慮した」とアピールしている。

 C150の価格は、米国でのリストプライスで1万6500ドルから。またSシリーズ向けのFTOSは、これから出荷される製品だけでなく出荷済みの製品にも適用可能とのことで、保守契約を締結中のユーザーは、無償で入手できる。

 なお発表会では、2007年10月にフォーステンの代表取締役に就任した安田芳治氏が、「この業界でようやく当社製品が認められるようになり、KDDIや各大学、研究機関、証券会社、インターネット事業者などで使われている。2008年からは飛躍の年として新しい発展を目指したい」とあいさつ。「日本のルータ、スイッチ市場は巨大であり、当社には十分すぎる市場だ。もっとも得意であり実績もあるデータセンター市場を積極的に開拓する。また、当社が先行してきた10GbEの分野も、昨年来、ようやく実需が出てきており、当社にとっては追い風になっている。既存パートナーとの関係を強化するほか、新規開拓も進め、販売を拡大したい」と意気込みを示した。



URL
  フォーステン・ネットワークス株式会社
  http://www.force10networks.co.jp/

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( 石井 一志 )
2008/02/21 15:32

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