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エクストリーム、「パーフェクトバランス」構想に基づいたネットワークソリューション

エッジスイッチや無線LAN製品、セキュリティアプライアンスなどの新製品を投入

代表取締役社長、久保田則夫氏

パーフェクトバランスという概念を提唱する
 エクストリームネットワークス株式会社(以下、エクストリーム)は5月21日、IEEE 802.11n対応の無線LANコントローラ/アクセスポイント(AP)や、セキュリティアプライアンスの新製品などを発表した。また同日に開催された製品発表会では、4月に発表された新スイッチ「Summit X350シリーズ」などとあわせ、同社の方向性が説明されている。

 エクストリームの代表取締役社長、久保田則夫氏は発表会の冒頭で、「当社では、顧客の課題を解決することをビジョンとして掲げているが、現在は、メトロサービスプロバイダ、エンタープライズのいずれにおいても、ネットワークの高可用性と、将来にわたる運用コストの削減が求められている。これに対して当社は、単一のモジュラー型OSである『Extreme XOS』や、エンタープライズで重要になっているPoE(Power over Ethernet)の全ポートフォリオでのサポート、ネットワークの可視化能力『CLEAR-Flow』などによって、課題を解決していく」と同社の方向性を解説した。

 また、これを実現させるためのビジョンとして、「パーフェクトバランス」という概念を披露。「幅広いポートフォリオで、コストと機能のバランスを顧客に提供する」(同社 システムズ エンジニアの佐久間茂氏)とした。このパーフェクトバランスとは、いったいどういったものだろうか。これについて佐久間氏は「お使いになっているネットワークインフラにおいて、限られた機能で拡張性がなかったり、OSが複数あって管理に手間がかかったりするなど、価格や機能などのバランスが崩れていないか、ということ」と説明。「導入後の運用を含めて最適化することが課題になっているが、高いレベルでパーフェクトバランスを提供するために、製品ラインアップやOSなどの最適化を図っている」とも述べた。


Summit X350シリーズ

シャーシ型スイッチのBlackDiamond 8800。8ポートの10GbEカードなどが、BlackDiamond 8800 C-シリーズで新たに提供される
 具体的な例としてはスイッチを取り上げ、「レイヤ3をサポートし、自動化機能『ユニバーサルポート』を備えるインテリジェント・エッジ製品と、レイヤ2ながらも、必要とされるネットワークログイン認証機能を備えたバリュー・エッジ製品を用意し、コストと機能のパーフェクトバランスを実現している」とする。ただしこれまでは、Gigabit Ethernet(GbE)に対応したバリュー・エッジ製品がなく、「上位のSummit X450シリーズを提案するしかなかったので、GbE対応のエッジスイッチをご要望いただく場合に、価格面で折り合いがつかない場合があった」(久保田社長)。

 そこで、この穴を埋めるためにX350シリーズをリリースし、エッジスイッチのラインアップを完備したという。同シリーズには、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tポートを24基もしくは48基備える2製品が用意されており、いずれも、アップリンク用の10GbEポートを2基搭載可能。また1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tポートのうち4基はSFPとのコンボポートで、光ファイバーのGbEにも対応できる。

 一方、エンタープライズのアグリゲーションやコアで利用されるシャーシ型スイッチ「BlackDiamond 8800」では、同製品向けとして3世代目にあたるモジュラーカード「BlackDiamond 8800 C-シリーズ」が提供される。このカードは、大規模エンタープライズに対応できるスケーラビリティを備えており、FDBサイズは従来の2倍にまで拡張可能。また10GbEポートも、従来の2倍の密度となる、カードあたり8基の搭載を行えるようになった。

 さらに、「新カードは、(制御プレーンとスイッチファブリックにあたる)MSMをアップグレードせずに、従来のカードと混在可能。加えて、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tのカードはドーターカードの拡張でPoE機能をオンサイトで付加できるため、将来ネットワークの拡張に伴って、BlackDiamond 8800をエッジへ適用できる。このように、これまでの投資を無駄にしない点もメリット」(佐久間氏)とのこと。なお、BlackDiamond 8800 C-シリーズも4月に発表済みの製品である。


3つのコントローラのうち一番上が、今回発表されたWM20。これによって、小規模環境のサポートが可能になったという

Sentriant NG300
 今回発表された製品としては、小規模向け無線LANコントローラ「Summit WM20」と、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LAN AP「Altitude 450/451」が、無線LAN環境の“穴”を埋める役割を担う。同社ではこれまで、標準50AP(ライセンスによる拡張で最大100AP)までを管理できる「Summit WM200」が最小のコントローラだったが、標準16AP(同32AP)までを管理可能なSummit WM20の投入で、ニーズの多かった小規模環境をサポートした。

 一方、すでにコントローラ側がサポートしているIEEE 802.11nについては、対応APの発売で対応を果たした。同社が提供している自動設定機能のユニバーサルポートを利用すれば、無線LAN APについてもポートのプロビジョニングが可能なほか、「他社製品と異なり、標準のIEEE 802.3af対応ポート1基のみで、PoE受電ができる点も強調できる」(佐久間氏)とした。

 セキュリティ製品では、従来モデルよりも低価格な「Sentriant NG300」アプライアンスを発表した。Sentriantシリーズが真価を発揮するのは、ネットワーク可視化機能であるCLEAR-Flowと併用した場合だが、スイッチ向けOSの新版「Extreme XOS 12.1」からは、ミッドレンジ製品でもCLEAR-Flowが利用できるようになったため、メリットが享受しやすくなっているという。

 このほかエクストリームでは、無償のネットワークウィジェットを提供したり、XML-APIを持つExtreme XOS向けのSDKの提供を開始したりすることで、顧客のニーズに、より応えられるネットワークソリューションの提供を目指す考えである。



URL
  エクストリームネットワークス株式会社
  http://www.extremenetworks.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.extremenetworks.co.jp/news_events/p2008/0521_02.htm
  http://www.extremenetworks.co.jp/news_events/p2008/0521_01.htm
  プレスリリース(4月17日)
  http://www.extremenetworks.co.jp/news_events/p2008/0417_02.htm
  http://www.extremenetworks.co.jp/news_events/p2008/0417_01.htm

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( 石井 一志 )
2008/05/21 15:38

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