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社長兼CEOのビクラム・メータ氏
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RackSwitch G8000
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RackSwitch G8100
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米Blade Network Technologies(以下、BNT)は6月30日、10Gigabit Ethernet(10GbE)スイッチ製品ファミリー「RackSwitch」を発表した。
BNTは、ブレードサーバー向けのネットワーク製品(スイッチブレード)を手がける企業。元は米Nortelのブレード・サーバ・スイッチ・ビジネス・ユニットが前身で、2006年にスピンオフして設立。以来、ブレードサーバーベンダへのOEM提供を事業の柱としてきた。主にIBM、HP、NECのブレードサーバーで同社製品が活用されており、ワールドワイドにおけるブレードネットワーク分野で45%のシェアを獲得。国内に限ってもNEC製「SIGMABLADE」の約50%で、同社の技術が採用されているという。
今回発表したRackSwitchは、BNTが初めて自社製品として提供するもの。ラインアップとしては「RackSwitch G8000」と「同 G8100」の2機種を用意した。いずれも1Uラックマウント型のスイッチ。
最大の特長は、「ラックレベルのネットワーク仮想化に業界で初めて対応したこと」(社長兼CEOのビクラム・メータ氏)。付属されるソフトウェア「SmartConnect」および「VMReady」を活用することで、ラック内での柔軟なネットワーク仮想化が可能になるという。具体的には、SmartConnectにより、複数のスイッチを仮想的な1台のスイッチとして動作させることが可能。帯域幅、VLAN、セキュリティポリシーなどの一括設定を可能とする。
一方のVMReadyでは、サーバー仮想化環境において仮想マシンを移行する際に、VLAN・QoS・セキュリティポリシーなどの属性を併せて移行することが可能。仮想マシン移行技術の「VMotion」に対して「NMotion」と呼んでいる。また、例えばラック内に42台のサーバーがあり、そのすべてで仮想化が行われているとすると、物理・仮想リソースともに膨大な量となり管理が複雑となってしまう。そこでRackSwitchでは、すべてのハイパーバイザーを1つの「メガバイザー」として統合可能とすることで、管理の効率化を実現したという。
さらに「従来、ネットワークポリシーはポート単位でしか設定できず、そのため特定のポートにつながるサーバー上の仮想マシンでは、そのポートに設定したポリシーしかもてないのだが、RackSwitchではメガバイザーにより、仮想マシンごとに別々のネットワークポリシーを持たせることが可能。これにより、シャーシ・ラックにおける仮想マシンの移行がより柔軟になる」(同氏)と説明。サーバー仮想化では、ネットワークの仮想化を同時に進めていくことがポイントだが、「RackSwitchはこうしたニーズに最適な製品」(同氏)とした。
冷却機構も特徴的。メータ氏によれば「多くのスイッチでは、エアフローがサーバーのエアフローとは逆になるように設計されているため、ラック内で『ホットループ(機器から排気された熱い空気を別の機器が吸気してしまう状態)』が発生し、余分な冷却が必要となってしまう」という。RackSwitchでは、「前面吸気・背面排気」「背面吸気・前面排気」を自由に切り替えられるユニークな設計を採用することで、この問題を解決した。
管理面では、Webベースの構成管理インターフェイス「BladeHarmony」を搭載。数千のスイッチで構成された環境でも、統合されたビューによる効率的な管理が実現するという。
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ラック内の複数のスイッチを仮想的に1台のスイッチとして動作させられるSmartConnect
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仮想マシンの移行に併せて、ネットワーク属性を移動させられるVMReady
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ラック内でのホットループを防ぐユニークな冷却機構
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日本担当カントリー・マネージャの太田安信氏
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RackSwitch G8000では、GbE×48ポートと10GbE×4ポートをサポート。伝送キューイング処理におけるロスレス、ラインレート処理性能を実現したほか、電源・ファンを冗長化することでハイレベルのビジネスニーズに対応する性能・可用性を備えたという。価格は126万4000円(税別)からで、7月中旬より販売を開始する。
RackSwitch G8100では、10GbE×24ポートをサポート。同 G8000と同等の性能・可用性を備えた上で、さらに300ナノ秒という業界最低のレイテンシを実現したという。価格は274万9000円(同)からで、8月中旬より販売を開始する。
日本担当カントリー・マネージャの太田安信氏は「シスコの同等製品はこの価格のおよそ倍の値段」とし、価格面での優位性もアピールした。主に金融、製造、大学・研究機関におけるHPC市場や、ゲーム業界、Web 2.0企業、データセンターにおける仮想化市場に訴求していく方針。販売・サポートに関しては、パートナーとの協業を重要視しており、現在、数社と協議中とのこと。
■ URL
Blade Network Technologies
http://www.bladenetwork.net/
( 川島 弘之 )
2008/06/30 15:30
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