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概要だけでOK? 全文ほしい? メディアとしてのフィードのとらえ方

フィードフォース塚田社長

 今回のゲストは、RSSマーケティング企業 フィードフォースの塚田社長です。前回のサンの藤井さんと同様にRSSフィードの利用促進に務めるFBSのメンバーでもあります。Web上の情報をメタデータ化するというソリューションと目標においてはフィードフォースとMODIPHIは非常に似ていますが、RSSフィードをどういうメディアとしてみるかのとらえ方には若干違いがあります。二人の戸惑いながらの大人の会話(笑)をぜひお楽しみください。


フィードフォース・塚田社長 塚田 耕司(つかだ こうじ)
株式会社フィードフォース 代表取締役

京都大学工学部卒。1996年に株式会社ルート・コミュニケーションズを設立。以来、外資系エンタープライズ企業を中心に、オンラインのマーケティング活動全般を支援。2005年からは、Webサイト「RSSマーケティングガイド」の開設をはじめ、企業のRSSマーケティングに特化したさまざまなサービスを開発し、提供している。2006年フィードフォース社設立に伴い同社代表取締役に着任。フィードフォースは企業/法人のRSSフィード活用を支援する事業を展開。国内大手企業を中心に100社超の顧客を抱え、RSSフィードを用いた独自のアプローチで顧客サイトの問題解決にあたっている。


Webインテグレーション企業からRSSフィード生成サービス部門をスピンオフ

小川氏
 ルート・コミュニケーションズの社長も兼ねてらっしゃるんですよね?


塚田氏
 はい。ルートはWebのインテグレーション、受託ビジネスの会社です。フィードフォースはRSSフィードを用いたサービスの会社ですね。


小川氏
 もともとはルートからのスピンオフですよね。なぜ会社を分けたんですか?


塚田氏
 なんていうんですかね、働いている人が何をモチベーションにするかということを考えた結果ですね。受託は働いている時間が、納品のスケジュールとかお客様の都合でどうしても長引く、夜遅くなることが多いんですね。

 でも、サービス提供の部門だと無理してもしょうがなくて、むしろ中長期的に均等なパフォーマンスを提供しないとならないですよね。だから時間通りに帰った方がいいときもあるわけです。そうすると、同じ組織に違う系統があるわけで、社員が混乱するじゃないですか。だから分けた方がいいと思ったという感じです。


小川氏
 なるほど。


塚田氏
 株主も自分たちだけだし、運営しやすい方向でやればいいかなと。


小川氏
 フィードフォースの事業内容を紹介いただけますか?


塚田氏
 元々はRSSのソリューションからスタートして、まあそれがメインなのは今でも変わってないですけど、いまは企業が持っている情報の流動化をお手伝いする会社と位置づけています。メッセージエブリウェアというモットーで。前回のFBSのフィードビジネスサミットのとき、プレゼンにMessage EverywhereをMassage Everywhere(マッサージエブリウェア)と書いてしまって小川さんに笑われちゃいましたけどね(笑)。


小川氏
 僕にはどっちのモットーも魅力的でしたから(笑)。


塚田氏
 (笑)。ともかく、企業の情報を(RSSを含む)メタデータにして、デスクトップだけじゃなくて、これからは家電なんかも含めて、いろんなところに出していく、ということをコンセプトにしていく会社です。


小川氏
 MODIPHIの考え方に限りなく近いです(笑)。


塚田氏
 MODIPHIと違うのは、ああ、それは増田さんのレッドクルーズとも違うところですけど、小川さんも増田さんもそれぞれの独自メディアを持っているじゃないですか。


小川氏
 そうですね。


塚田氏
 うちは自社メディアを持ってないところが違うところでしょうね。


Web上のデータをメタデータ化して配信することは今後のトレンド

小川氏
 事業化、というところではMODIPHIよりはるかに先を進まれている(笑)ので、追いかける立場なんですけど、RSSソリューションの市場規模はどのくらいと考えてます?


塚田氏
 難しい…。NTTデータみたいなところがSIでなにかRSSフィードを使う、という大きい話なら、もしかして全体で数十億円くらいになるのかもしれないですけど、サービス型では10億円未満かもしれないですね、まだまだ。SI型の方が大きいと思います。


小川氏
 RSS広告社の田中さんはRSS広告市場も10億くらいかなと話されてましたけど、RSSのサービス市場だと、足しても20億、というところかもしれないですね。

 でも、今の規模より成長のほうが大事ですよね。RSS市場は伸びていく感じはする?


塚田氏
 僕は楽観的にみてますね。

 RSSからスタートして、それらを中に含んでもっと広い分野でいこうと考えているんですけど、たとえばOpenSocialで盛り上がったけど、いろんなガジェットなんかをどんなSNSにおこう、おけるという話はRSSと無縁な話ではないと思うんですよ。コンテンツはメタデータ、RSSでわたすわけですから。


小川氏
 同感です。


塚田氏
 データをメタデータ化してわたすというトレンドは絶対。RSSという言葉は意識されてなくても、中長期的には無意識でも使われていくのは間違いないですね。RSSマーケット、というと小さく感じるけど。

 僕らはですね。メタデータからWebを作るというソリューションを持っているわけです。それを何に使うかというと、PPC広告などのランニングページになる、それ自体がRSSを購読させるというのではなく、検索結果として、ページを見にきてもらえる。既存のリテンション(Retention 保持)とアクイジション(Acquisitions 取得)の両方できるんです。


小川氏
 このへんの考え方は、僕たちも含めて、RSS周りのベンチャーはみな同じ感覚ですね。RSSフィードの弱点があるとすれば、検索されづらいということかな。


塚田氏
 情報を探す入り口って、検索でしょう。検索からの導線をあえて無視することはないと思いますね。Webで検索されて、それからフィードで読んでもらえれば。

 レッドクルーザーはeクルーザー、MODIPHIはMODIPHI、自前のプラットフォームを持っているけど僕らは自分自身のプラットフォームを持っていない。メタデータを生成するところに集中しているし、そこが強みであり、弱みかもしれないと思います。


OpenSocialとガジェットの組み合わせは有望

小川氏
 RSSフィードの生成、という分野に特化、というとFeedBurnerが直接的な競合、ですかね。


塚田氏
 そうですねえ…、FeedBurnerは自分でRSSフィードを生成するわけではないけど、効果測定はあるから、そこはかぶるかもしれないですね。でもビジネスモデルが違います。FeedBurnerはアドネットワークの会社ですから。

 なので、Pheedo(トランスコスモス)とFeed Poweredという、RSSを使って既存のバナーに広告を出せるサービスを発表しました。今後はああいうことをやっていきたいですね。サイトからフィードやXMLを作るところは結構できるようになってきたので、アライアンスなどをしてだし先を作っていきたいです。


小川氏
 全文フィードはやらない?


塚田氏
 僕らの場合は概要だけのフィードが多いですね。それにそれでいいと思っています。そこが僕と小川さんの考え方の違うところですね(笑)。


小川氏
 僕は全文フィード派ですから(笑)。


塚田氏
 理由は、やはりお客様自身が、自分のサイトに読者をこさせて、そこで何かをさせたいというニーズを持っていることがやはり多いからですね。


小川氏
 僕はフィード自体をメディアにして、いちいちサイトにお客を誘導させるんじゃなくて、フィードで完結してあげるほうが親切だと思いますね。フィードにすべての情報をわたして、課金などの機能、ユーティリティだけをサイトにおけばいいと考えています。


塚田氏
 いやー、iGoogleなどを含むとやっぱり概要だけのフィードじゃないと読めないですしね。僕はやっぱりああいう、概要だけのフィードでいいと思う。RSSベースの情報もあれば、ウィジェットみたいなものもあって、普通のユーザーにはそういうほうがいいと思いますね。


小川氏
 銀行がリテールバンキングがメインになってきたように、情報もユーザーの手元で処理させるべきだと思いますが、現時点では企業側にそれを納得させることが難しいことは確かです。


塚田氏
 最近OpenSocialとガジェットを組み合わせたら面白いことが起きるという気がしています。企業サイトに閉じ込められている情報を外に出す方法は3つあって、RSS、API、最後はウィジェットだと思うんですね。なにかの予約やちょっとした購入などの機能をサイトやSNSに置けるようにする。そういうものを通じて外に出すのが面白いと思っています。

 いままではサイトにきてもらうことを起点にしていた、今後は人が集まっているところに出さないといけないと考えています。ATMもそうですし、自動販売機なんかもそうです。RSSもそうだし、ウィジェットもそうだと考えるわけです。


小川氏
 そこは同感です。だからこそATMならそこで銀行の窓口でやれることは全部できるようにしてほしいし、フィードでできることは全部フィードで、と思うんですけどね(笑)。


塚田氏
 そこのとらえ方の違いがありますね(苦笑)。いずれにしても、うちは派手なところがなくて、とにかくやっていることは地味です。でも、めんどくさい作業は他がやりたがらない。やりたがらない、めんどくさいところをやるということが、競争するうえで優位に立てるということだと思ってやっています。銀行のような固めのお客さまが増えてきたこともあるし、SOX法対応じゃないけど社内のワークフローに合わせてほしいとか、セキュリティレベルをあげてくれというような要求が多いので。派手なサービスではないけど、企業向けの完成度は高まったと思っています。


小川氏
 MODIPHIも早くフィードフォースに追いつけるよう、頑張ります(笑)。今日はありがとうございました。




小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。 東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。 2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。 著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。

2007/12/25 00:00

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