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SofaWareのManaging DirectorのEtay Bogner氏
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イスラエルのCheck Point Software Technologies Ltd.(以下、チェック・ポイント)は、10月7日(米国時間)に「VPN-1 Edge」、10月14日(同)に「Safe@Office」と、相次いでセキュリティアプライアンス製品を発表した。同社自身のブランドとしてハードウェア製品をリリースするのは、この価格帯でははじめての試みである。今回は、これらの製品の製造を担当しているSofaWare Technologies(以下、SofaWare)のManaging Director、Etay Bogner氏に話を聞いた。
SofaWareは、1999年に設立されたチェック・ポイントの関連会社で、エンタープライズ企業のエッジ、SMBという2つの市場にフォーカスをあてているという。
■ 中~大企業のリモートオフィスに向けたVPN-1
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VPN-1 Egde
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同社が開発したVPN-1 EdgeとSafe@Officeは、外観やVPNスループットなどのスペックだけを見ると非常に似通っている製品だが、その持っている役割はまったく別。VPN-1 Edgeは名前の通り、企業のエッジ部分での使用を想定している製品だ。中~大規模企業が本社でチェック・ポイントのファイアウォール/VPNソフトウェア「VPN-1 Pro」「VPN-1 Express」などを利用している場合に、そことVPNで通信をする支社、リモートオフィスなどへ導入を行うと効果的だという。
■ ISPから「サービスとして」提供する形も視野にいれたSafe@office
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Safe@Office
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一方、Safe@Officeは以前SofaWareが製造し、SofaWareブランドのままチェック・ポイントが販売していたアプライアンス「S-box」の流れをくむ。主なターゲットとして100名以下の小規模企業、Home Officeなどを想定した製品だ。
同製品の用途としては、インターネットに接続するPC1台からのためのファイアウォールとして、オフィス間のVPN接続用として、また外部からのリモートアクセス用として、などが想定されている。
Bogner氏によれば、「アメリカには690万、日本でも150万の小規模企業があるが、ここで求められている製品と、いわゆる“秋葉原で買えるもの”の間にはギャップがある。そういった製品では、適切なサポートや、中央からの一括管理といった要素は提供されにくいからだ」とのことで、そこにビジネスチャンスがあるという。
両社では、かつてのS-boxがそうであったように「たとえばISPから、サポートサービスとあわせて、月額いくらでレンタル提供される」ような使い方も視野に入れている。これは、ネットワーク管理者のいない、またセキュリティに関する知識を持ち合わせていない小さな規模のオフィスにも、“管理された状況”の完全なセキュリティを提供をするため。こうした形式であれば、それこそ町の商店クラスのユーザーにも、24時間セキュリティが確保されたインターネット回線が利用できるようになる。
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スタンドアロン環境のファイアウォールとして利用する場合のイメージ
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2カ所のオフィスでのインターネット利用と、リモートアクセスを組み合わせた利用形態
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3カ所間のVPN接続イメージ。SMPがDDNSサーバーとして働くので、固定IPを利用していなくても相互の接続が可能だ
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■ 一元化されたアプライアンス管理を提供する、SMP
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SMP 4.0で、管理対象となるゲートウェイ製品を検索したところ。持っている権限に応じて、設定などを行うことができる
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この両社の構想を支えているのが、アプライアンス管理ポータルの「SMP 4.0」だ。管理者は、世界の数カ所に設置されたこのポータルにインターネット経由でアクセスし、管理対象となるVPN-1 EdgeやSafe@Officeなどのアプライアンスを一括管理できる。管理対象へのセキュリティポリシー配布はもちろんのこと、ファームウェアもアプライアンスへ自動的に配信を行って更新させることができ、セキュリティレベルを高いままに保つことが可能になる。
また、自動で生成されるレポーティング機能により、顧客への容易なレポート提出を実現。加えて、Dynamic DNSのサポートにより、固定IPを持たないエンドユーザー同士でも、SMPを経由することでVPNによる相互通信を行えるようになった。
これらの機能を利用することで、多数のアプライアンスがネットワークのエッジに存在しても、管理者にはあまり負担をかけずに広域ネットワークを運営させることができ、ISPが多数のSafe@Officeをユーザーに提供している場合でも、効率よく管理を行うことができる。
■ 品質は落とさず、価格は安く
今後、チェック・ポイントとSofaWareでは、前述のようなISPからの「簡単に使ってもらえる」サービスを提供することで、SOHOクラスの小規模ユーザー層も狙っていく姿勢を見せている。
「今では、インターネット、メールともに企業にとって必須のツールとなった。それらが使用できなくなっては、20名規模の会社でも仕事全体が止まってしまうほどだ。誰でも簡単にアタックを行うツールを入手できる世の中であるし、情報漏えいによる知的財産の喪失ということも含めて、小さな企業にとってもセキュリティ製品の導入は不可欠と言っていい」(Bogner氏)
今まではエンタープライズ向け製品を多く提供してきたチェック・ポイント。「価格は安いが、アプライアンス内に入っているソフトウェアの品質は落としていない」という両製品で、“いいものだけれども高い”という同社製品に対するイメージを変え、SMB向けのビジネスでも成功できるか、今後に注目していきたい。
■ URL
Check Point Software Technologies Ltd.(英語)
http://www.checkpoint.com/
SofaWare Technologies(英語)
http://www.sofaware.com/
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( 石井 一志 )
2003/12/26 00:00
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