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NEC、個人情報保護ソリューション提供でセキュリティ事業を本格化


ユビキタスソフトウェア事業部 技術主幹 米田潔氏(左)と、執行役員常務 伊久美功一氏(右)

個人情報保護ソリューションのイメージ
 日本電気株式会社(以下、NEC)は10月4日、企業の個人情報保護法対策を統合的に支援する「個人情報保護ソリューション」の提供を開始した。

 個人情報保護ソリューションは、(1)同社の専門コンサルタントによる現状分析や対応方針の策定などのコンサルティング、(2)情報漏えい対策ソフトウェア製品群「InfoCage」を中心としたシステム構築、(3)弁護士による個別課題に対する法律相談や適用後の定期監査などを行う運用支援サービス、などをワンストップで提供するもの。

 中心となるInfoCageは10月より出荷が開始されるもので、メール添付や外部記憶媒体、印刷などによる「データの持ち出し制御」、モバイル端末などに保存する際の「データの暗号化」、権限を持つユーザーが情報を持ち出した場合のコピーなど「ファイル操作の監視」の3つの機能が核となる。ユビキタスソフトウェア事業部 技術主幹 米田潔氏は「他社製品は個人ベースの暗号化から機能強化した製品が多いのに対し、InfoCageはPCの暗号化や持ち出し制限だけでなくサーバーを含めたグループ作業や故意の持ち出しに対する対策を行う」と他社製品との違いを説明する。ユーザーの情報持ち出しに対し、PCに保存する際にデータを暗号化することだけでなく、部署や役職などによって持ち出しを制御し、必要最低限の情報を決められた方法(印刷のみでデータは不可など)でのみ許可するといったポリシーをきめ細かく設定することができる。

 また、業務上の必要性からモバイル端末などに持ち出されるデータは、USBメモリなどをキーとして暗号化され正規ユーザー以外の操作を防ぐ(モバイル情報保護)ほか、暗号化フォルダ内のファイルを移動・コピーする際に自動的に暗号化(機密情報共有)したり、ファイル操作を監視して漏えい発生時に逆検索することなどもできる。米田氏は、社員によるデータの持ち出しや盗難などで発生した過去の情報漏えい事件を挙げ「内部犯罪やミスによる事件の多くはInfoCageで回避可能」と有用性を強調する。


InfoCageのイメージ 他社製品とのコンセプトの違い

 さらに、サーバーの盗難など物理的なセキュリティ対策として、ICカードをキーとした解錠・施錠の管理や管理者への通報を行うIP錠システムや、人の入退場管理システムなど物理的なセキュリティシステムを個人情報保護ソリューションに含むことも可能。

 個人情報保護ソリューションの価格は適用する規模やサービスなどにより異なるが、InfoCageは、データ持ち出し制御(1サーバー20クライアント)が58万円から、モバイル情報保護(20クライアント)が13万9000円から、機密情報共有(20クライアント)が16万円などとなっている。また物理セキュリティはIP錠システムが16万円から、入退管理システムが800万円から。同社では今後3年間で500ユーザーへの販売を見込んでいる。

 InfoCageにより、同社のセキュリティソリューションは従来より提供されている「サイバーアタック対策ソリューション」や「PC検疫ソリューション」らと合わせ「現在のユーザーが求めるセキュリティ対策製品がほぼ出そろった」(ユビキタスソフトウェア事業部シニアマネージャー 田中伸佳氏)としており、2005年4月の個人情報保護法施行前に事業を本格化させる構えだ。執行役員常務の伊久美功一氏はNECのセキュリティ事業において「年成長率120%で拡大する国内セキュリティ市場の中で、年成長率140%以上をキープし、現在の15%から2006年度には25%シェア確保。売上は現在の約900億円から約1600億円を目指す」としている。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.nec.co.jp/press/ja/0410/0402.html

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( 朝夷 剛士 )
2004/10/04 16:15

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