クリアスィフト株式会社は10月12日より発売した電子メールセキュリティソフトウェア製品群「MAILsweeper Business Suite」の説明会を開催し、新製品の強化点やスパムメール対策の現況を説明した。
不要なメールが大量に送られてくることにより必要なメールとの選別作業による時間のロスやウイルス感染、メールサーバーへの負担などを引き起こすスパムメールは、最近では虚偽のサイトへ誘導して悪意あるプログラムをダウンロードさせたり重要情報を引き出してしまう「フィッシング」被害の原因にもなっている。この対策としてスパムメールをエンドユーザーに届く前に破棄するフィルタリングソフトがあるが、スパムメールの検出率への疑問や、必要なメールまで破棄してしまうのではないかという懸念などが指摘されている。
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クリアスィフト マーケティングディレクター 宮本哲也氏
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MAILsweeperによるスパムメール検出と管理
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クリアスィフト マーケティングディレクターの宮本哲也氏によると、「フィルタリングは単純なテキスト検出や拡張子検出で行われているという誤解があるが、ファイルの中身を分析して住所録の疑いがあるものやスクリプト、(拡張子を変更する前の)本当のファイルタイプなどを検出し、スパムメールかどうかを判断している」という。そして相次ぐ個人情報漏えい事故の発覚から、情報の流出防止を目的とした電子メールセキュリティソフトウェアの導入が増えているとのこと。
宮本氏は最近の導入事例として、過去に個人情報漏えい事故を起こしてしまった経験を持つある企業を挙げる。この企業はスパムメール対策もさることながら、まず住所録などの流出防止を目的にフィルタリングソフトウェア導入の検討を始めたという。その中で住所録を記述したExcelのスプレットシートをWordファイルに埋め込み、さらにそのファイルをZip圧縮したファイルを添付したメールを検出できるかというテストを行ったところ、同社製品のみが検出しブロックできたことから導入に至ったという。
このようにスパムメール対策のフィルタリング機能は、情報漏えい対策の一環としても注目されている。さらに不要なメールを削除することでコンプライアンスによって保存するメール量を削減でき、管理効率の向上やコストの削減といった副次的効果も期待できる。
同社製品のスパムメール対策機能は、1)メールの件名や本文テキストで使用される単語やフレーズを分析して判別を行う「テキスト分析」、2)スパムメールによくある文章構造などの傾向と比較してフィルタリングを行う「ヒューリスティック分析」、3)スパムと非スパム両方に含まれる単語を自己学習し、利用される環境に合わせたホワイトリストを作成して判別を行う「ベイズ分析」、の3つのアルゴリズムで検出を行っていた。新しいMAILsweeper Business Suiteでは、これらに加えて導入企業にとって必要なメール・不要なメールの学習やカスタマイズが可能なデータマイニング手法を加えることで検出率を向上した。
さらにフィルタリングされたメールをエンドユーザーがWebブラウザ上から確認することが可能な「PMM(Personal Message Management)」機能を搭載し、「スパムメールの管理をエンドユーザーに移管でき管理者の負担を軽減するとともに、誤検出を結果的にゼロにすることができる」(宮本氏)。メールフィルタリングの状況確認や設定などはWebブラウザ上から行うことが可能。
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PMMによるスパム管理
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スパムメールのフィルタリングを通知するメール
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Webブラウザ上からフィルタリングされたメールを確認可能
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クリアスィフトの親会社である英Clearswiftが9月に発表したレポートによると、日本語や中国語、韓国語など2バイト文字をベースとしたスパムメールが急増しており、8月には全ネットワークを対象とした調査で10%を占めたという。同社では「スパマーがアジア地域で高いレスポンスを獲得している可能性がある」と、エンドユーザーへの注意と管理者への対策を呼びかけている。
■ URL
クリアスィフト株式会社
http://www.clearswift.co.jp/
英Clearswift
http://www.clearswift.com/
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( 朝夷 剛士 )
2004/10/14 15:31
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