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「複数技術でスパム・フィッシング対策」-米Mirapointのメールアプライアンス


 ミラポイントジャパン株式会社がネットワンシステムズ株式会社と11月26日共催する「メールセキュリティ・ベストソリューションセミナー」での講演のために来日した米Mirapoint テクニカルマーケティングディレクターのティモシー・チウ氏に、スパム・フィッシングをはじめとしたメールセキュリティの現状と、同社の製品について話を聞いた。


米Mirapoint テクニカルマーケティングディレクター ティモシー・チュー氏
 アメリカでは2003年12月にスパム規制法が成立しているが、「スパムメールの量は急激に伸びてはいないものの、増加傾向は止まっていない」という。しかし「業界はこの結果には驚いていない。結局のところこの問題を解決できるのは技術だけだ」とした。

 アメリカにおけるフィッシングメールの件数については、Internet Engineering Task Force内に設置されたワーキンググループの調査では、7月から10月にかけて25%増加しているという。しかしMirapoint独自の推定によれば、「特に10月に急激に増加し、推定ではおよそ800%の伸びになる」という。その原因としてチウ氏は「ハッカーが送信を自動化するパッケージを配布し始めた」点を挙げた。

 フィッシング詐欺は、メールで偽装Webサイトへユーザーを誘導し、クレジットカード番号などの情報を取得するため、正規のWebサイトかどうかを確認できる技術なども現れている。しかしチウ氏は、「メールそのものに記載されたURLが査証されたものと、警告することが、正しい対策の方向性だ」と述べた。米Mirapointのメールアプライアンスには、URLの傾向を見て、リンク先が偽装Webサイトかどうかを自動的に判断する機能が実装されている。

 フィッシング詐欺が猛威を振るうアメリカでも、現時点では「ほとんどの場合、スパム対策が導入の理由となっている」という。同社の製品ラインアップとしては、小規模向けのアプライアンス「RazorGate 100」の場合で50ユーザーから導入例があり、上位機種では数万ユーザーの環境に導入されている。RazorGateシリーズは障害時の自動フェイルオーバーもサポートしており「実際の導入では、ほとんどの場合で2台構成を推奨している」という。

 一方、国内に目を転じると、スパム・フィッシングのいずれも、「アメリカと比べればまだ件数は少なく、深刻な問題になっていない」というが、ミラポイントジャパン株式会社 常務取締役 井上祥二氏によれば「今年の春と比べると、スパム対策の問い合わせは大幅に増えている」という。これまでも大学やISP向けに製品を提供していたが、特に企業から「コストの問題よりも、誤検知の少なさが注目されて」ニーズが増えている。これまでに数十万ユーザーのメールボックスへ導入されているとのことだ。


9月に発表されたメールセキュリティアプライアンス「RazorGate 450」
 Razorzoneシリーズのスパムフィルタは、第三者機関である米Infoworldの行った調査によれば、False Positiveが0%となっており、これは他社のアンチスパム製品と比べて非常に優秀な数字だ。チウ氏によれば「バラエティの豊富な複数の技術を組み合わせることで、この数字を実現している」という。このアンチスパムのルールについても「出荷時は2つだったが現在は6つへと増加しており、ユーザーはデイリーベースで自動アップデートできる」とのこと。そして「この技術を開発できるエンジニアのバックグラウンドが、Mirapointにとって最高の資産といえる」と語った。

 Mirapointは1999年に、他社に先駆けてエッジメールアプライアンス「MR200」を発売して以来「他社とは異なるユニークな技術を製品に盛り込み続けている」とのことで、9月に発売された最上位機種「RazorGate 450」に搭載されている“MailHurdle”もそのひとつ。

 MailHurdleは、SMTPレイヤーで動作し、約8割のウイルス・スパムメールをブロックするもの。「メールがシステム内に入る前に止められるため、CPU、ネットワークのリソースを浪費せずに済む」点がメリットになる。また他社製品の多くは、インバウンドのスパム対策のみにフォーカスしているが、RazorGateではウイルスやスパムを企業内から送信するアウトバウンドの対策も可能だという。

 「スパムメールの多くはSMTPのRFCを満たしていない」ため、MailHurdleの機能により正当な送信サーバー以外からのメールをブロックすることが可能となる。またRazorGateには、メール送信時には毎回SMTPユーザー認証を行う仕組みなど10~12の技術が実装され、同一ネットワーク内からの通常の送信メールをブロックすることなく、ゾンビPCや悪意のユーザーによるメール送信を防止できる。

 Mirapointでは年間に2度、製品をメジャーアップデートしており、2005年第1四半期には「より進んだスパム対策技術を製品に盛り込む予定」とのことだ。



URL
  ミラポイントジャパン株式会社
  http://www.mirapoint.com/jp/
  http://www.razorgate.com/japanese/

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( 岩崎 宰守 )
2004/11/26 00:00

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