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「ウイルス被害の半数が一人の少年により起きた」-ソフォスCEO今年を振り返る


英Sophos PlcジョイントCEO ヤン・フルスカ氏
 ソフォス株式会社は12月14日、2004年のコンピュータウイルスの状況および傾向に関するプレスセミナーを開催、来日中の英Sophos PlcのジョイントCEOであるヤン・フルスカ氏による説明が行われた。

 フルスカ氏は、2004年のウイルス発生数に触れ、「2003年の新規ウイルスの発生数は7064だったのが、2004年は10724と大きく増加している」と紹介。また、感染ウイルスのトップ10をWindows関連で占めているという結果もあわせて発表した。そして、この感染ウイルスのトップの多くを占めるNetskyとSasserワームを作成したドイツの少年を引き合いにして、「ウイルス感染の半数以上のウイルスが、一人のウイルス作成者によって作られている。これは、少数によって脅威を与えるテロリストとまったく同じ効果」であると、社会に与える深刻度を指摘した。


2003年と2004年の新ウイルス発生状況 2004年のウイルス名別トップ10 2004年のウイルスのうち、Netsky・Sasserの作者が作成したウイルスが占める割合

 また、2004年のトピックとして、スパムの増加およびフィッシング詐欺の増加を挙げた。「一般のユーザーが使うPCを乗っ取り、ボットネットを使ってスパムを配信する事例が増加している」と一般のPCを踏み台としたスパムが増加していると指摘した。ボットネットを使った配信数は、スパム全体の実に40%を占めている。「ウイルス対策ソフトのパターンファイルの更新、パーソナルファイアウォールの導入、OSのパッチ適用を適切に行えば防げるもの。残念ながら、個人ユーザーの多くの意識が低いため、対策が採られていない」と、スパムメールが減りにくい現状を説明した。

 フィッシング詐欺については、「この1年間で24億ドルの被害が出るなど、急速に増加している」と、被害が拡大している現状を説明。「急速に増加している要因として、詐欺の成功率の高さが挙げられる。メールを受け取ったユーザーの実に5%が、Webサイトにアクセスしている」と述べた。対策としては、「ユーザーの教育が重要。不用意にクリックさせないように教育する必要がある」と、ユーザーの意識を変えることが被害の減少につながるとした。また、「金融機関側では、ワンタイムパスワードを採用するなどで、フィッシング詐欺の被害を防ぐことも可能。ただし、カードの発行や管理など負担が増えることにもなる」と、パスワードそのものの管理形態を変えることで、フィッシング詐欺を防げることも紹介した。

 フルスカ氏は、今後の傾向にも触れ、「ウイルス・スパムはさらに増加するだろう。また、フィッシング詐欺の被害も増加するとおもわれる。悪意のあるWebサイトや、スパイウェア・アドウェア、ボットネットも増加するだろう。携帯電話のウイルス感染については、明確な見通しはもてない。現状は機種ごとにさまざまなOSが使われているため、感染させるのは困難だが、Simbianなど1つのOSにより共通化されると、PCと同様に被害が拡大するおそれがある」と、全体として減少傾向にないことを指摘。ウイルス対策への意識をあらためて高める必要があると強調した。

 また、フィッシング詐欺が複数の国のサイトを経由して行われている現状を指摘し、「インターネットの世界でもインターポールのような組織が必要ではないか」と、各国間で強調して対応できる体制の必要性にも触れた。



URL
  ソフォス株式会社
  http://www.sophos.co.jp/


( 福浦 一広 )
2004/12/14 17:20

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