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MBSD、IBE方式を採用したメール暗号化ゲートウェイ構築用ソフト


マーケティング本部 商品企画グループ、杉田司氏
 三井物産セキュアディレクション株式会社(以下、MBSD)は1月13日、米Voltage Securityのメール暗号化ゲートウェイ構築ソフト「Voltage IBE Gateway Server Ver.1.2」(以下、IBE Gateway Server)を、国内で販売開始すると発表した。暗号化エンジンや暗号鍵発行サーバーなど、必要なコンポーネントがすべてCD-ROM1枚におさめられており、簡単にゲートウェイを構築できるという。参考価格は最小構成時250万円から。

 IBE Gateway Serverは、IAサーバーをベースにメール暗号化ゲートウェイを構築するためのソフト。これによって構築されたメール暗号化ゲートウェイを利用すると、メールを暗号化して送信できるため、重要な情報を記したメールであってもセキュリティの確保を行える。

 MBSDでは三井物産時代の2004年6月より、Outlookなどの一般メールクライアントを利用して暗号化メールを送受信するソリューション「Voltage Secure Mail」を提供しているが、今回の製品はこれを相互補完するものだと位置付けている。同社のマーケティング本部 商品企画グループ、杉田司氏によれば、「Secure Mailをはじめ、メールソフトを利用して暗号・復号化を行うソリューションでは、暗号化されたメールがウイルス対策ゲートウェイなどのチェックを受けずに送受信されてしまう、セキュリティ上の大きな問題点があった」という。

 しかしゲートウェイで暗号・復号作業を実施するIBE Gateway Serverでは、暗号化前、もしくは復号化後にチェックを行えばよいため、この問題を解決できる。さらにSecure Mailとの併用によって、メールソフト側で暗号化したものをいったん復号してチェックを受け、再度暗号化して送信する、といった使い方も可能だ。この利用法であれば、社内でも復号されているのはセキュリティゲートウェイ~メール暗号化ゲートウェイ間だけに限られ、より高いセキュリティを確保できる。


Gateway Serverを利用した、暗号メール送信時の概念図 同じく、受信時の概念図

 暗号化方式にはSecure Mailと同様、米スタンフォード大学のBoneh教授らによって開発されたIBE(Identity-Based Encryption)を採用した。これを利用すると、相手のメールアドレスを公開鍵として利用できるため、S/MIMEやPGPなどのように事前にユーザーへ公開鍵を配布したり、それを管理したりする手間を省くことが可能とのこと。

 送信されたメールの復号化は、Gateway Server、もしくはSecure Mailアドオンを追加したOutlook、Notesなどのメールクライアントで行えるほか、ふつうのWebブラウザを利用して復号できる「Zero Download Messenger」機能も標準で装備。送信先のユーザーにあらかじめ専用ソフトを配布しておかなくとも、暗号化メールを読んでもらうことが可能だ。

 また暗号化は、すべてのメールに対して強制的に施すこともできるが、添付ファイルがついているものだけを暗号化する、特定のドメイン宛のものだけ暗号化する、といったように、ルールベースで設定が可能。きめ細かい制御を行える。


S/MIMEを利用した場合のメール暗号化の流れ(例)。複雑な作業が事前に必要だという IBEの場合、ユーザーは認証を受けるだけで簡単に利用できる

 なおMBSDでは、IBE Gateway Serverを金融・医療業界や、電子メール基準を強化したい企業に対してパートナー経由で販売するほか、「ユーザーに対しての付加価値サービスを実現する手段として」(マーケティング本部長 新井一人氏)、会員制インターネットサービス事業者、xSPなどに売り込む考え。さらに今後の製品展開として、OEMやハードウェアを含めたアプライアンス形態での提供、セキュリティゲートウェイ製品を持つ企業との連携も視野に入れており、2006年3月末までに50セット、2億5000万円の販売を見込んでいる。



URL
  三井物産セキュアディレクション株式会社
  http://www.mbsd.jp/
  プレスリリース(PDF)
  http://www.mbsd.jp/pdf/1105597914_5052.pdf

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( 石井 一志 )
2005/01/13 17:20

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