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「ユーザーと管理者にバランスよくVPNのメリットを提供する」、ノキア


Nokia VPNソリューションのハードウェアプラットフォーム
 ノキア・ジャパン株式会社(以下、ノキア)は、IPsec VPNソリューション「Nokia VPNソリューション」を2月より出荷開始した。今回はこのソリューションなどのマーケティングを担当する、Nokia Corporationのエンタープライズ・ソリューションズ シニアプロダクトマーケティングマネージャー、カーラ・スタニズラフジク氏に、同ソリューションについてうかがった。

 近年、ビジネスモビリティという分野が注目されてきているのは、どこからでも企業のネットワークへアクセスが可能になることによって、従業員の生産性を高めることができるからだ。インターネットを利用したVPNでも、基本的に同じである。しかし、ただアクセスだけできるだけではなく、「セキュリティが担保されていなければならない」(スタニズラフジク氏)のは当たり前のことだ。

 またさらに重要なのは、セキュリティが確保されているからといって、「ユーザーの利便性を損なうものであってはならない」ということだという。ユーザーが便利に感じるものでないと結局は使われなくなるから、とその理由を説明した同氏は、ネットワークでは、セキュリティと使いやすさを維持したまま、可用性・耐障害性・パフォーマンス・管理性を確保する必要があるとした。

 しかし、従来型のVPNではそれらの確保が難しくなっているという。それは、本来、ネットワークとはダイナミックかつインテリジェントなものであるのに、IPsec VPNでは、「拠点と拠点をつなぐだけのスタティック(静的)なものになってしまっているから」だとスタニズラフジク氏は説明。そうした状況を打開する解の1つとして同社のMeta-Hop技術を挙げ、「インテリジェントなVPN」の構築によって、IPsecが持つ認証力などのセキュリティ能力を維持したまま、ネットワーク本来の姿を取り戻せるとした。


業務の継続をサポートするMeta-Hop

セルフ・ヒーリング機能の仕組み

セルフ・ラーニング機能の仕組み
 このMeta-Hop機能を備えたNokia VPNソリューションでは、複数の拠点をメッシュ状に接続することによって、本社と支社の間の回線が不通になったとしても、自動で迂回(うかい)路を探してくれるセルフ・ヒーリング機能を働かせることができる。この場合、ほかの拠点を経由するなどして、通信は継続されるので、ユーザーも業務を続けることが可能だ。また回線復旧後の復帰も含めてこの仕組みは自動で実施されることから、管理者の負担はかなり軽減されるという。

 またMeta-Hopは、自動でネットワーク構成情報をやりとりするセルフ・ラーニング機能を備えている。通常では、新たなアプリケーションサーバーやサブネットをVPNネットワーク上に追加する場合は、いちいち手動で設定を直さなくてはならないという。しかしセルフ・ラーニングでは、手近のゲートウェイへその情報を通知すると、新規リソースに関する情報をほかのゲートウェイに自動供給するので、管理者が新たにネットワーク設定を変更して回る必要がなくなる。

 加えてNokia VPNソリューションでは、特許取得済みのIPクラスタリング技術によって、2~4台のゲートウェイをActive-Active構成で並列に配置し、トラフィックを最適化することが可能。ほかにも、1台が障害でダウンしてもセッションが失われないセッションフェイルオーバー、処理を中断せずにファームウェアを更新できるホットアップグレードなどを備え、ゲートウェイ自身の信頼性を担保できる。

 ベースとなるハードウェア自体もほとんど可動部分がない信頼性の高い構造になっていることから、ミッションクリティカルな業務に関しても十分に対応可能とのことで、スタニズラフジク氏も「IPクラスタリング技術によって、いつアクセスがあるかどうかわからないモバイル環境向けのソリューションとしては、十分な性能を達成できた」と述べ、製品に対する自信を示した。


Nokia Corporationのエンタープライズ・ソリューションズ シニアプロダクトマーケティングマネージャー、カーラ・スタニズラフジク氏
 一方パフォーマンスの面でも、エントリーモデルで75MbpsのVPNスループット、25同時トンネルをサポートするなど、「ブロードバンドの普及した日本でも、十分に対応できる」(スタニズラフジク氏)性能を備えているのだが、ユーザーの利便性の面からみると、Nokia VPNソリューションには多少不利な面がある。

 それは、肝心のモバイルへの対応だ。4月から国内でもWindows PC用の「Native Windows VPN Clients」がラインアップに加わり、利用の幅は広がってくるものの、海外で発売されている小型端末用のソフトは、残念ながら日本では提供されていない。

 それでもスタニズラフジク氏は、「ノキアではSSL-VPNやチェック・ポイントのVPN-1ソフトウェアを用いたアプライアンスなどを手がけている。用途に合わせてほかの製品を利用することができるため、さまざまなユーザーのニーズに応えることが可能だ」として、ノキアの持つ広いラインアップが有効に使えるとアピール。これらの製品によって、「ユーザーにとってのメリットと、管理者にとってのメリットをバランスよく提供できる」と語り、同社製品群の優位性を強調していた。

 ノキアではこうした信頼性や性能をアピールし、多くの拠点を持つ企業や、金融、製造、モバイル事業者といった業種を主なターゲットとして販売を進めていく。なお今後も、最大300MbpsのVPNスループットを持つ現在の最上位機種の上に、4月にも最大1.5Gbpsのスループット性能を備える最上位機種を投入するなど、製品ラインアップの拡充を行う意向である。



URL
  ノキア・ジャパン株式会社
  http://www.nokia.co.jp/

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  ・ ノキア、携帯端末との通信も視野にいれたIPsec VPNゲートウェイ(2005/01/14)


( 石井 一志 )
2005/03/11 19:12

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