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日立ソフト、セキュリティ管理を広範囲でサポートする「秘文」新シリーズ


 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(以下、日立ソフト)は6月2日、セキュリティソリューション「秘文」シリーズのラインアップを一部再構築し、セキュリティ管理に対応したシリーズ「秘文ME(Management Edition)」として、8月より販売を開始すると発表した。

 日立ソフトではこれまで、秘文シリーズの企業向け製品群「秘文 AE」を展開し、金融・保険、製造、官公庁、通信・サービス業などに幅広い導入実績を持つ。このシリーズには、媒体による情報の外部持ち出しを制限する「秘文 AE Information Fortress」、データを暗号化する「秘文 AE Information Cypher」、アクセス制御やプリントスクリーン禁止などでWebのセキュリティを守る「秘文 AE WebGuard」などの製品があるが、前2者ではそれぞれ、40%、47.1%(ともに2004年度、富士キメラ総研調べ)と国内でのトップシェアを持っている。

 しかし、従来の製品は、いわゆるPDCAサイクルのうちの「Do」にあたるものがほとんどで、「Plan」「Check」「Action」に相当する部分の製品が弱かったという。セキュリティは「やりっ放し」というわけにはいかず、継続的な運用管理が必要になるため、日立ソフトでは、情報セキュリティシステムの導入から、運用、監視、見直しまでの管理策を行う「秘文2004 コンセプト」を発表。セキュリティ対策状況の集中監視を行う「秘文 AE Secure Inspector」を2004年6月に、ログの集中運用を支援する「秘文AE LogManager」と、社内ネットワークの構成情報を把握するための「秘文AE PortDiscovery」を同年9月に、それぞれ製品化している。


単なるセキュリティ製品から、管理されたトータルソリューションへ

開発事業部 ソリューション営業本部 パッケージ営業部 石原繁樹部長

秘文MEにおける、各製品の役割
 そして同社では今回、それらの製品の機能を拡張するとともに、新たな「秘文ME」シリーズに位置付けて製品ラインアップを再構築した。加えて新製品として、クライアントPC上の個人情報、機密情報を棚卸しする「秘文ME Secure Inspector Scan Option」(以下、秘文ME SI Scan Option)を投入。さらに強固なセキュリティ管理システムを実現できるようにしたという。

 これらの製品のうち、秘文MEの核として位置付けられたのは秘文 AE Secure Inspectorで、新たに「秘文ME Secure Inspector」(以下、秘文ME SI)として提供が開始される。同製品では、ソフトウェア資産情報の自動収集、脆弱性情報の自動収集の機能を備え、情報資産データベースの作成が可能。「管理者はこれをもとに、クライアントPCに対してポリシーを配布して、強制的に秘文をインストールさせたり、パッチを適用したり、といった運用を行えるようになる」(開発事業部 ソリューション営業本部 パッケージ営業部 石原繁樹部長)。

 それ以外の3製品はオプションとしての位置付けになる。秘文ME SI Scan Optionはクライアントに入れ込むエージェントとして提供される製品で、辞書データベースを備えており、PC内をスキャンして、この辞書内の言葉とマッチするものを含むファイルをピックアップする。利用イメージとしては、常時動かすというよりも、「たとえば、週末には必ず1回走らせる、といった運用を想定している」(石原部長)とのことで、同社では「個人情報や機密情報はどこにあるかすべてを把握できていることはまれ。これを利用すると、漏れを少なくできるだろう」とアピールする。

 また秘文AE PortDiscovery改め「秘文ME PortDiscovery」は、PC資産やネットワーク構成の情報を収集して、秘文ME SIを補完する役目を担う。さらに同製品では、管理されていない不正PCを検知し、それが接続しているHUBのポートを遮断することで、ネットワークにアクセスできないようにする機能も持つ。一方、秘文AE LogManager改め「秘文ME LogManager」は、ログ監査の部分をサポートする役割があり、操作ログの参照・検索や、監査レポートの作成支援といった機能を備える。加えて今回は、他社のログ関連製品との連携機能を新たに搭載したとのこと。

 日立ソフトでは今後、セキュリティサイクルの重要性・必要性を訴え、まずは秘文AEを利用中のユーザーに対して、秘文MEの販売を行う考え。また現在、他業種に比べて導入が進んでいない流通・サービス業に対する販売も強化していく姿勢を示した。秘文シリーズは全体で1200社、120万ライセンスの販売実績を持っているが、石原部長は「新製品の発売などによって、2005年度末には、2000社、200万ライセンスの販売を目標としていきたい」と述べた。

 秘文MEの価格はまだ未定とのことだが、クライアント1台あたり5000円~1万円程度を想定しており、サーバー側のライセンス価格とあわせると、最小構成で50万円程度からになるのではないかとのこと。また別途、秘文AEの製品も必要になる。


二要素認証にも対応した、ログイン認証強化ソフト

静紋で利用される指静脈認証装置(小型タイプ)
 あわせて日立ソフトでは、PCログイン認証強化のための新製品「秘文AE Authentication」も、8月より販売開始する。同製品を利用すると、PCログインの際の認証デバイスに、ICカード「FeliCa」、指静脈認証システム「静紋」、「FOMA」対応の携帯電話を使用できるようになるという。

 また単体での認証だけでなく、相互に組み合わせての利用も可能とのことで、石原部長は「ログインには指静脈認証を用いるほか、離席管理にFeliCaを使うというような利用法が考えられる。また席に戻って仕事に復帰する際には、FeliCaカードをリーダに置くだけでなく、(なりすまし防止のため)再び指静脈認証を受けないといけないようにすることも可能だ」と説明した。

 価格はこちらもまだ決まっていないとのことだが、想定では、PC1台あたり5000円程度(ハードウェア別途)になるとしている。



URL
  日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
  http://www.hitachi-sk.co.jp/
  ニュースリリース(秘文ME)
  http://www.hitachi-sk.co.jp/News/News319.html
  ニュースリリース(PCログイン認証強化)
  http://www.hitachi-sk.co.jp/News/News320.html

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( 石井 一志 )
2005/06/02 18:22

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