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GFIビジネス、“電子割符”を利用した情報漏えい対策ソリューション


電子割符SPで利用する「プリセットサーバー」

専用USBメモリ内に格納されたソフトの画面イメージ
 GFIビジネス株式会社は8月26日、電子ファイルを分割保存することによってセキュリティを確保する「電子割符」を利用したソリューション「電子割符セキュアプリセット」(以下、電子割符SP)3モデルを、9月1日より販売開始すると発表した。

 電子割符とは、ファイルを暗号化した上で複数の割符に分割し、すべて、ないしは一定数以上の割符が集まらないと復元できないようにする暗号化方式。電子割符SPではファイルやフォルダを3つに分割して運用するが、分割された割符の1つを盗み見られたとしても、もとの情報を類推することが不可能な状態で保存されることから、情報漏えい対策ソリューションとして優れているという。

 今回発売される製品は「Q-預り」「Q-公開」「Q-保管」の3モデルで、各モデルとも、割符の1つを保存し、認証などを行うプリセットサーバーと、復元ソフトなどを内蔵した専用のUSBメモリから構成されている。プリセットサーバーは、OSとサーバーソフトをプリインストールしたアプライアンスで、100BASE-TX/10BASE-Tポート×1と160GB HDD×2を搭載し、HDDをミラーリング構成にしてデータを保護している。また専用USBメモリは、256MBの容量を持ち、Windows XP Professional/2000 Professionalに対応する。

 個別のモデルを見ると、Q-預りは、出張先などからネットワークを介してファイルを復元できるようにするもの。データ原本は自分のPC、専用USBメモリ、プリセットサーバーに割符として分割保存され、そのうち2つがそろうとデータを復元できる。利用法としては、たとえば、出張先の支社でPCを借り、ネットワーク経由で本社にあるプリセットサーバーの認証を受けて割符の1つを取得し、あらかじめ持参したUSBメモリ内の割符と組み合わせて復元する、といったシーンが想定されている。

 またQ-公開は、限られた相手にのみデータを公開したいという要望に応えた製品で、3つに分割されたデータのうち、2つを2台のプリセットサーバーに、1つをPCやUSBメモリに保存して運用する。特定の社内の部署や取引先など、限定された相手に権限を与えるだけで、簡単に情報を公開できるようになるが、権限を持たない人間がネットワーク盗聴などで割符の1つを入手したとしても、復元前の段階では中身を見ることはできないという。

 最後のQ-保管は、利用者自身が機密情報などを確実に保管しておくためのモデルで、自分のPCまたはUSBメモリと、2台のプリセットサーバーに3分割して保存する。利用者自身は、割符から自由に原本を復元できるものの、ほかの2モデル同様、他人が割符の1つを不正に入手しても内容を確認することはできない。また、閲覧可能な期限を設定する機能も備えているとのこと。


 価格は、プリセットサーバー1台とUSBメモリ10本からなるQ-預りが157万5000円より、プリセットサーバー2台とUSBメモリ10本からなるQ-公開、Q-保管がともに262万5000円より。各モデルとも最大20本までUSBメモリの数を増やすことができる。

 これらに関してGFIビジネスのマーケティング部 部長、平川智裕氏は「納品後、即利用可能な環境が提供できる点が特徴。また暗号化している環境にもそのまま利用できるなど、既存システムに影響されない、暗号化ソリューションと異なり、暗号キーが解読されたとしても生データが漏れないことが特徴だ」と述べ、メリットを強調した。


左から、日立 情報・通信グループ 山口光雄CSO、GFIビジネスの保倉豊社長、アイオーデータの細野昭雄社長
 なお、GFIビジネスは、電子割符関連技術を持つグローバルフレンドシップ株式会社(以下、GFI)と、株式会社日立製作所(以下、日立)、株式会社アイ・オー・データ機器(以下、アイオーデータ)の3社によって設立された合弁企業。持ち株比率はそれぞれ55%、35%、10%で、代表取締役社長にはGFIの代表取締役社長でもある保倉豊氏が就任している。

 その保倉氏は、新会社設立について「GFI自身は研究開発がメインで、大きな営業展開ができる力はない。しかし、アイオーデータの展開力・営業力と、世界的に知名度のある日立の力をあわせて、GFIビジネスができた」と経緯を話した。また「中小企業、SOHO、ベンチャー企業など、どうやって法対処すればいいのかわからない、といった悩みを抱えているところに、自分たちの経験を生かしてわかりやすいソリューションを提供する」と述べ、50~300名程度の従業員を持つ企業を主な対象として、販売を広げていくという考えを示している。

 製品としては、今回発表された電子割符SP以外に、組み込み型、スタンドアロン型の製品がスタンバイしているとのことで、代理店営業やWeb販売(予定)によって、2005年度10億円、2007年度30億円の売り上げを目指す。



URL
  GFIビジネス株式会社
  http://www.gfi-biz.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.gfi-biz.jp/pdf/newsrelease0826.pdf

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( 石井 一志 )
2005/08/26 16:28

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