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「ウイルスバスター2006」発表、フィッシング詐欺に対応


ウイルスバスター2006 インターネットセキュリティ
 トレンドマイクロ株式会社は9月8日、PC用セキュリティ対策ソフトの最新版「ウイルスバスター2006 インターネットセキュリティ」を発表した。11月2日より発売で価格は8,925円。また、既存ユーザー向け無償アップデートプログラムを10月20日より同社のWebサイトにて公開する。対応OSはWindows 98以降。

 今回のバージョンアップでは、近年急増しているフィッシング詐欺への対策機能を新たに搭載したほか、既存のウイルス・スパイウェア・迷惑メール対策機能などがそれぞれ強化されている。また、パターンファイルに不良があった場合に、1つ前のパターンファイルに戻し、障害から自動的に復旧する機能も備えた。


各種フィッシング対策機能を搭載、進化形「ファーミング」にも

フィッシング詐欺対策ツールバー

製品開発本部 製品企画担当部長 山崎裕二氏
 フィッシング詐欺対策機能として新たに搭載されるのは、大きく分けて4つ。まず、偽装サイトへの誘導などに利用されるメールに対しては、フィッシング詐欺である疑いが高いものを判別し、件名に「Phishing」という文字を自動挿入する。従来迷惑メール対策として「MEIWAKU」という文字を挿入していたが、これを強化した形だ。

 また、フィッシング詐欺向けに作られたとされるサイトにアクセスした際、ユーザーに警告する機能が搭載される。これも従来のURLフィルタリング機能を強化したもので、有害サイトデータベースのカテゴリにフィッシング詐欺サイトを新たに追加し、アクセスを規制することができる。

 さらにフィッシングの進化形ともされる「ファーミング」対策機能も搭載されている。ファーミングとは、Windows上にあるhostsファイルをウイルスなどで書き換えたり、DNSの詐称や改変などにより、正しいURLを入力しても偽装サイトにアクセスさせてしまう手口だ。ウイルスバスター2006では、hostsファイルの中で不正に改変された個所を削除することができるという。

 そして、こうしたフィッシング対策機能と連動し、ユーザーに危険性などを知らせるInternet Explorer(5.5 SP2以上)用のプラグイン「フィッシング詐欺対策ツールバー」が付属する。

 同社製品開発本部製品企画担当部長の山崎裕二氏は、金融関連サイトなどでフィッシング詐欺が相次ぎ、被害金額が増加していること、さらに手口が多様であることを挙げ「個人の力だけで被害を防ぐことは難しい」とし、それらの対策ツールをオールインワン化したウイルスバスター2006を「フィッシング総合対策」と位置づけ、インターネット利用において必須となると訴えた。


大規模感染の危険があるウイルス発生時は「強制アップデート」

ウイルスバスター2006のメイン画面
 ウイルス対策では、8月に流行の兆しをみせた「ZOTOB」など、危険性や感染力の高いウイルス/ワームが発生した際、同社から警告(イエローアラート以上)が発せられると、自動的にパターンファイルをアップデートする「強制アップデート」、および強制アップデート中にほかのアプリケーションのネットワーク接続を遮断する「スロット式アップデート」など、大規模感染を防ぐ機能が搭載されている。

 スパイウェア対策では、PC内の検索手順がウイルス検索と統合され、1回で両方の検索が可能となった。また、必要なツールをスパイウェアと検知されてしまう場合などに備え、「常に検知するもの」および「常に削除するもの」と、ホワイトリスト/ブラックリスト的な設定ができるようになった。また、1度削除したスパイウェアプログラムを復元することも可能となっている。

 迷惑メール対策では、Outlook/Outlook Expressのアドインツールが付属する。これをインストールすることで、同アプリケーション上から迷惑メール処理の設定や、一般のメールが迷惑・フィッシングメールと誤判定された場合の同社への報告などが可能となる。


 同社では、こうしたフィッシング詐欺機能などの強化にともない、従来のウイルス対策だけでなく、悪意のあるサイトや迷惑メール、スパイウェアなどの情報収集も強化していく方針だ。同社は5月にスパイウェア対策企業の米InterMuteを買収しており、ここで得たスパイウェア検体の収集方法を活用するほか、アジアや欧米などの拠点でも、さまざまな方法で収集にあたるという。

 また、4月に起きたパターンファイル不良による事故については、作成フローの徹底的な見直しによって二度と間違いは起きないといえるが、万が一の場合に備えて自動復旧ツールを搭載したという。

 同社では、現在約400万人がユーザー登録を行いウイルスバスターを利用しているとのことで、新版によりこれを600万人にまで増やす狙い。



URL
  トレンドマイクロ株式会社
  http://www.trendmicro.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.trendmicro.com/jp/about/news/pr/archive/2005/news050908.htm

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( 朝夷 剛士 )
2005/09/08 18:09

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