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日立、従来比1/20の小型指静脈認証装置を開発-年度内に搭載ノートPCを発売


 株式会社日立製作所(以下、日立)は10月3日、従来製品と比べて容積が1/20の小型指静脈認証装置を開発したと発表した。同社では実用化を進め、2005年度内にもビジネス向けノートPCに搭載して発売するほか、さらに小型化を推進し、2008年度以降、指静脈認証装置を備えた携帯電話を発表したい意向である。

 現在では、もっとも一般化している指紋認証装置をはじめ、顔貌や虹彩、手のひら静脈など、さまざまなバイオメトリクス認証装置が登場してきているが、その中でも日立では、「生体の内部に隠されており不正利用がしにくい」(中央研究所 知能システム研究部 研究主幹、宮武孝文氏)指静脈認証に注目。1997年から開発を行って、同認証装置を組み込んだ入退室管理システムやPC接続用機器などを製品化し、提供してきた。

 しかし、すでにノートPCや携帯電話に組み込まれるなど小型化が進んでいる指紋認証と比べ、指静脈認証装置はサイズの点で遅れをとっているという。日立ではこの課題を克服するべく研究開発を継続しているが、今回、ようやくノートPCに組み込めるサイズの小型装置を開発し、発表にこぎ着けた。

 今回、容積19.89cc、サイズが39×34×15mm(D×W×H)という極端な小型化が実現できた最大の要因は、認証装置の上部構造物を廃したこと。指静脈認証の際には、指に光を透過させて指の静脈パターンを観察する必要があるが、従来は指の上方や側面から光をあてていた。しかし新型装置では下方から光を入射し、同じく下方にあるカメラでパターンを読み取れるようになったため、装置の高さを低くできたという。


これまでの製品では、上面や側面に光源を置く必要があったため、どうしても大型になってしまっていた 新型装置では、指の下方から光を送り、内部散乱を利用して静脈を透過した光を観察できるようになったため、小型化が実現したという 指静脈認証装置の小型化ロードマップ。当初は1000ccを超える容積だったものが、今回は約20ccに小型化された。今後はさらに、現在の1/4~1/5に小型化し、携帯電話への搭載を目指す

 日立では、新型装置の精度検査はまだ正確には行っていないとのことだが、実験結果などから、現状の指紋認証装置よりも高精度が実現できたと判断し、ノートPCに搭載することを決断。2005年度中にも、まずはビジネス向けノートPCから搭載を開始する予定で、ユーザーに対しては「認証完了まで0.2秒という速度をアピールしていきたい」(中央研究所 知能システム研究部 部長、禰寝義人氏)とのこと。


今回発表された新型指静脈認証装置のサンプル。人間の指と比較すると、そのサイズが把握できる 新型装置を採用したノートPCのプロトタイプ。装置は、パームリストの右側に搭載されている


URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/10/1003.html


( 石井 一志 )
2005/10/03 17:05

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