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「ドアハンドルを握るだけ」日立の新指静脈認証技術


ドアグリップを握るだけで本人認証できる新技術

中央研究所知能システム研究部主任研究員 長坂晃朗氏
 株式会社日立製作所は10月17日、指静脈認証技術を用いてドアグリップを握るだけで本人認証を行う技術を開発したと発表した。

 この技術は、部屋の出入口や自動車などのドアに指静脈認証装置を設置し、あらかじめ登録しておいた指静脈を持つ人のみが、ドアグリップを握るだけで解錠できるというもの。従来、別途認証を行ってからドアを開くという2プロセスを必要としていたところを、ドアを握るだけの1プロセスで認証を完了することができ、利便性が向上する。

 当然、登録者以外の静脈ではドアを開くとができない「登録した本人だけが開けることができる魔法の扉」(同社中央研究所知能システム研究部主任研究員の長坂晃朗氏)であるという。

 長坂氏によると、従来方式では指の腹側の静脈を利用し認証を行っていたが、これではドアハンドルを握った際に静脈パターンがつぶれてしまい鮮明な読み取りができなくなるという。また、腹側を読み取るにはスペースに限りがあるハンドル側に撮影センサーを埋め込む必要があり、困難とされていた。

 そこで、今回発表されたドアグリップ型は指の甲側の静脈を読み取る方式を採用した。ドアグリップに光源を内蔵、ドア側にカメラが埋め込まれており、グリップを握った際に指と光源が密着し、しかもたるみがなくなる甲側は鮮明に撮影することができ、安定した認証が可能となる。甲側も腹側と同様に静脈紋様が複雑で、人それぞれまったく異なるという。

 現在のところ、まだ開発段階で市販化の予定やコストについては「わからない」という。また、実装を予定している対象は自動車や住宅のドアなどとしているが、例えばサーバールームの出入口など企業向け用途も検討しているとのことだ。


指の腹側を読み取る方式ではドアハンドルを握った際に指静脈パターンがつぶれてしまい、正確に読み取ることができなかった 指の腹側から光をあて甲側の静脈を読み取ることで、安定した認証が可能に

光源にガイドを置くことで指を読み取りやすい位置に置くことができる 認証は一瞬で、ほぼタイムラグなく認証とドアの開閉が可能


URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/10/1017.html

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( 朝夷 剛士 )
2005/10/17 16:38

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