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日立、シンクライアントソリューションを機能強化-簡易導入モデルも追加


ずらりと並ぶセキュリティPC

今回の機能強化の概要

日立の情報・通信グループ長&CEO、古川一夫氏
 株式会社日立製作所(以下、日立)は12月8日、セキュリティPCと呼ばれるシンクライアント端末を用いた「セキュアクライアントソリューション」のラインアップを拡充し、12月12日より販売を開始すると発表した。価格は個別見積もり。

 日立では2月から、PCからの情報漏えいを防止するためのセキュアクライアントソリューションを提供しているが、このソリューションは大きくわけて3種類に大別される。1)自席のPCへモバイル環境や社内の会議室からアクセスする「ポイント・ポイント型」、2)データセンターに集約したPCブレードへアクセスする「ポイント・ブレード型」、3)Citrix Presentation Serverを用いたサーバーベースコンピューティング方式を採用する「センター型」、の各方式がそれだ。

 このうち今回機能が強化されたのは、2)のポイント・ブレード型。PCブレード「FLORA bd100」と管理サーバーなどを組み合わせて利用するこのソリューションにおいて、管理ソフトウェアの機能を強化し、シンクライアント端末側から電源のオン、オフ、リセットを行えるようになった。またPCブレードが故障した場合に代替機を自動で割り当てる機能や、端末とブレードを1対1で割り当てるのではなく、空きに応じて動的に割り当てる動的割当機能を新たにサポートしている。

 日立の情報・通信グループ プラットフォームソリューション事業部長、松縄正人氏は「今回の機能はオペレータの介在が必要ないため、管理工数がいっそう削減できる。通常PCに比べて、ポイント・ブレード型ではランニングコストを50%削減可能だ。現在はセンター型のアプローチが多いが、開発系などから、他ユーザーに関係なくCPUの性能を利用したいというニーズもあり、今後は(ユーザーごとに独立した環境を提供可能な)ポイント・ブレード型も伸びるだろう」と述べた。

 加えて今回は、既存資産の有効活用をしたいという声に応え、既存PC活用モデルを新たに発売する。これは通常PCを簡易シンクライアント端末化するソリューションで、PC内のデータをbd100に移行させるとともに、Windows XP Professionalをベースにした日立独自のソフトを用いて、HDD・USBデバイスなどの利用制限をかけ、ポイント・ブレード型方式へ移行できるようにする。HDDが物理的に存在する分、純粋なシンクライアント端末よりもセキュリティが劣るが、日立では「既存資産を無駄にせず、段階的に移行できるような仕組みを用意した」としている。

 なお日立では、当初100億円、3万台の販売を2005年度の目標としていたが、ラインアップの拡充や、ユーザーの利便性やセキュリティ強度が向上していることなどから、目標を200億円、5万台へ上方修正した。これに関して日立の情報・通信グループ長&CEO、古川一夫氏は「勢い、手応えを非常に感じている」としたほか、「ある調査会社の調査・予測によれば、2010年のシンクライアント市場規模予測は、この1年で約4倍拡大している。当社はスタートダッシュ時の企業の中では抜けていると思っているが、当社内で実践した経験などを反映し、伸びていく市場の中でも業界トップランナーを常にキープしたい。最低でも30%以上のシェアを継続していきたい」と述べ、意気込みを示した。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/12/1208a.html

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( 石井 一志 )
2005/12/08 16:45

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