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「脆弱性対策はアプリケーション開発から」、マイクロソフトが開発者向け施策


「開発者セキュリティ」施策の柱
 マイクロソフト株式会社は12月8日、アプリケーション開発者を対象に、安全なアプリケーション開発を支援する「開発者セキュリティ」施策を開始すると発表した。

 同社は信頼できるコンピューティングへの取り組みとして「Trustworthy Computing」を推進しているが、今回の施策はこれを拡張するものとして行われる。1)セキュリティ開発ライフサイクル(SDL)の情報共有、2)Webサイトでの包括的な情報提供、3)「Developer Security Day」の開催、の3点で開発者を支援する。

 SDLは、同社社内で製品開発や業務システム開発の際に用いられている、セキュリティ要求とマイルストーンを定義するためのプロセス。SDLを導入して開発されたWindows Server 2003は、SDL導入以前に開発されたWindows 2000 Serverと比べて脆弱性が約3分の1にまで削減されたとしており、商用ソフトウェアの脆弱性を軽減するのに効果があるという。今回、このSDL、および社内業務アプリケーションで用いられているSDL-ITのノウハウを、Webサイトを通じて開発者に提供する。

 Webサイトでの包括的な情報提供は、MSDN Online上の「セキュリティデベロッパーセンター」を拡充するもの。Patterns & Practices、オンライントレーニング、Webcastなどの情報を充実し、技術と啓もう情報、ツールなどを提供する。SDLおよびSDL-ITの情報もこのWebサイトで提供される。

 「Developer Security Day」は、開発者セキュリティを包括した1 Day技術トレーニング。2006年3月2日に東京で開催される。


自信を持って安全なアプリケーションを開発できる開発者は5%

デベロッパービジネス本部 本部長の北川裕康氏

開発者のセキュリティ認識は、他の国に比べて低くなっている
 同社デベロッパービジネス本部 本部長の北川裕康氏は、「国内の開発者のうち、安全なアプリケーションを開発するために適切なスキルを持っていると答えたのはわずか5%。開発者に対する啓もう活動を行うことから始めていく」と、今回の施策の趣旨を説明する。

 また、米Microsoftアプリケーションプラットフォームチームのリック・サモナ氏は、「セキュリティの脆弱性の70%以上は、ネットワーク層ではなくアプリケーション層に存在するという調査結果が出ている」と、アプリケーション側でセキュリティを強化することが重要であるものの、開発者にセキュリティの情報が十分ではない現状を指摘。今回の施策は、こうした現状を変えるために実施するもので、「アプリケーションの不具合の修正は、開発の段階で行うのがコスト面でも有利。Microsoftとしては、人に対するトレーニング、自社で導入している開発プロセスの提供、そしてセキュアな製品開発に有効なツールの提供を行っていく」と、開発者を積極的に支援する姿勢を示した。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/
  プレスリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2528


( 福浦 一広 )
2005/12/08 18:31

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