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ウイルス被害は金銭を狙ったピンポイント攻撃にシフト-トレンドマイクロが総括


 トレンドマイクロ株式会社は12月21日、「2005年度ウイルス感染被害年間レポート」の速報値を公開するとともに、1年間のウイルス状況を総括した。

 これによると、日本国内におけるウイルス感染被害報告数は4万1749件と、昨年同時期の6万3657件に比べて大きく減少し、一昨年の4万5238件よりも下回った。同社はこの傾向を「1種類のウイルスが世界的に大流行して目立つようなことはなく、被害が分散されている。多種類のウイルスそれぞれに小規模な感染が報告される傾向にシフトしたといえる」と説明している。

 具体的には、以前のウイルス作者は愉快犯的な目的であったが、最近では金銭などの具体的な利得を狙う方向に変化した。このためウイルスなども、不特定多数に感染を広げて世間を騒がせたいという志向から、パスワードなどを不正に取得し悪用することを目的に作られ、標的に対してピンポイントで攻撃を仕掛けてくるようになったという。

 このため、今後は、2004年に全世界で感染を広げた「NETSKY」のようなマスメール型ワームが大流行する可能性はほとんどなく、被害の分散傾向がますます進み、狙われた際の被害は、金銭の詐取など直接的で、甚大なものになることが予想されるという。

 不正プログラム別被害件数のランキングでは、「WORM_RBOT」が1180件で1位、以下、JAVA_BYTEVER(1046件)、TROJ_AGENT(915件)と続く。特にBOT系が1位、4位、8位にランクインし、約1万種類の亜種が発見されたという。BOTは、企業などのLANで自身のコピーを次々と作成して蔓延しているケースが多く、注意が喚起されてもユーザーに感染を気付かれないよう目立った動きをしないため、ユーザーには自覚症状がなく、放置されたままになっているケースも多く残っていると考えられている。

 このほか、個人情報保護法の施行の影響により、スパイウェアやフィッシング詐欺による被害が増加し、P2Pファイル共有ソフト「Winny」を悪用して感染を広げる「ANTINNY」のようなプライバシーを損害する脅威も現れた。一方、個人情報への意識が一般においても高まり、被害への注目や警戒する動きも多くなったという。

 また、8月には、セキュリティホールが公開されてから4日で、これを悪用したウイルス「WORM_ZOTOB.A(ゾトブ)」が発生。ウイルスの作成がスピードアップしていく中で、ユーザーがセキュリティパッチを適用する猶予期間がますます短くなったとのことだ。

 なお、同社のWebサイトには、長期休暇前、休暇中に大規模感染ウイルスが発生した場合の対処、休暇明けにやるべきこと、などの情報を公開している。



URL
  トレンドマイクロ株式会社
  http://www.trendmicro.com/jp/
  プレスリリース
  http://www.trendmicro.com/jp/security/report/report/archive/2005/mvr2005s.htm
  長期休暇中のウイルス対策
  http://www.trendmicro.com/jp/security/general/what/prevent/holidays.htm


( 朝夷 剛士 )
2005/12/21 17:43

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