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KCCS、幅広いネットワーク機器と連携可能な検疫アプライアンス


Lockdown Enforcer

LockdownのCEO、Brett Helsel氏(右)と、KCCSのセキュリティ事業部 技術部長、郷間佳市郎氏
 京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は1月26日、米Lockdown Networks(以下、Lockdown)と業務提携し、国内における独占販売代理店契約を締結したと発表した。これに伴いKCCSは、NAC(Network Access Control)アプライアンス「Lockdown Enforcer」を3月1日より提供開始する。

 KCCSではかねてからセキュリティ関連ビジネス、特にアクセス制御と構成管理の製品に力を入れており、構成・変更管理製品のEcora、障害管理製品のTripwire、といった企業の代理店を務めるほか、ID管理製品や認証・制御製品、検疫製品などを自社で開発して取り扱ってきた。しかし同社では、クライアント検疫や認証管理、脆弱性管理をさらに強化したいという考えがあり、このたび、優れたビジョンを持っていると判断してLockdownと提携するに至ったという。

 そのLockdownが提供するEnforcerは、セキュリティポリシーに合致しないPCをネットワークから隔離する“検疫ネットワーク”を実現する製品。同製品からVLANを制御して検疫を行う仕組みを採用しており、OSのパッチやウイルス対策ソフト(シマンテック、トレンドマイクロ、マカフィーに対応)のパターンファイルの更新状況、ファイアウォールソフトの導入状況などを確認して、不適とされたPCを業務用VLANから排除、検疫専用のVLANへ隔離することができる。

 隔離されたPCのユーザーはソフトのアップデート後、隔離時に表示される専用のWeb画面から再度確認を要求し、適切な状態と見なされれば業務用VLANに復帰できる。また確認検査は最初の接続時だけでなく定期的に行うことが可能で、ネットワークのセキュリティ状況を常時適切に保つことが可能になっている。

 このような検疫関連製品を提供している企業はあまたあるが、KCCSがLockdownを評価しているのは、「ネットワーク製品のベンダに左右されずに導入可能な点」だという。Enforcerでは、SNMPによるスイッチ、無線LANアクセスポイントとの連携でVLANを制御するが、業界標準技術を使っているため、ほとんどのサードパーティ製ネットワーク機器で利用できる特徴を持つ。米国ではCisco、Extreme、Nortelをはじめ9割程度のスイッチで動作確認済みといい、「国内ベンダに関してもKCCSと密に連携して、動作検証を行っていきたい」(LockdownのCEO、Brett Helsel氏)としている。

 また「ユーザーが導入にあたって面倒な作業を必要としない、ターンキーソリューションである点」も優位性で、特別なエージェントプログラムをクライアントにインストールする必要もなく(エージェントを用いることも可能)、認証方式もIEEE 802.1XをはじめRADIUS、Active Directory、Webログインなどさまざまな方式に対応していることから、ユーザーは既存環境へ容易に統合することが可能だ。


 加えて、インライン設置(ネットワークの途中を横切る形で設置するもの)ではないのも長所で、KCCSのセキュリティ事業部 技術部長、郷間佳市郎氏は「ファイアウォールやIDP(侵入防御装置)などによってアクセス制御をする検疫製品と異なり、パフォーマンス上のボトルネックになることがない」とメリットを強調。Helsel氏も「インライン型のアプローチを取る競合製品では、導入、テストの際にネットワークが切れるため業務を中断する必要があるものの、当社の製品ではそういった制約は受けない」と述べた。

 郷間氏はこうした特徴を総括して「(検疫ネットワーク製品という)材料を提供してもらえるだけではSIerは困る。『入れてすぐ使える』、が重要だ」としたほか、「米国ではようやく“Network Access Control”という概念が周知されてきた。今年は、国内でも広く知ってもらえるようにしたい」と意気込みを語った。Enforcerの販売に関しては、年間2億円の販売を見込む。

 なおLockdownでは、Enforcer以外にも、複数のEnforcerを管理する「Lockdown Commander」、Enforcerの管轄のもと支店などの拠点に設置される「Lockdown Whip」を米国で提供しており、KCCSではこれらも、2006年第2四半期を目標に、遅くとも2006年中の国内発売を目指している。



URL
  京セラコミュニケーションシステム株式会社
  http://www.kccs.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.kccs.co.jp/press/release/060126.html


( 石井 一志 )
2006/01/26 19:18

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