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ブルーコート、SSL通信最適化にも対応するWAN高速化製品

プロキシアプライアンス用OSに機能追加、WAN最適化市場へ参入

MACH 5が利用可能な製品の1つ、「SG800」プロキシアプライアンス

MACH 5と他社製品の帯域最適化の比較。HTTPSでもその恩恵を受けられるのはMACH 5だけだという
 ブルーコートシステムズ株式会社(以下、ブルーコート)は3月23日、WAN最適化機能「MACH(Multi-protocol Accelerated Caching Hierarchy) 5」を発表した。MACH 5はプロキシアプライアンス「ProxySGシリーズ」向けOSの新版「SGOS 5」に搭載される機能。搭載製品の価格は従来版OS利用時と同様で、エントリー向けの「SG200シリーズ」で20万円から、ハイエンド向けの「SG8000シリーズ」で800万円から、などとなっている。新版OSの提供開始は5月ごろの予定だ。

 ブルーコートは現在、プロキシ製品を事業の中核に位置付けて製品展開を図っている企業。ProxySGシリーズは、同時アクセス10ユーザー程度に対応するエントリー向けから、同時3000ユーザー超の規模に対応可能なハイエンド向けまで、4シリーズが用意され、Webサーバーの配信負荷を軽減するためのリバースプロキシ用途、企業内からインターネットへのアクセスを中継するフォワードプロキシ用途、双方のニーズに対応してきた。

 今回発表されたMACH 5は、こうした用途とは別の、WAN最適化機能をProxySGシリーズへ付加するためのもの。WANを挟んだ2拠点以上にMACH 5をサポートする同シリーズを導入すると、各拠点間の通信を高速化することができる。米Blue Coat Systemsのマーケティング上級副社長、スティーブ・ムラニー氏によれば、遅延がHTTPで1/3に、Windowsのファイル共有で用いられるCIFSでも1/6~1/7程度になるほか、HTTPで約10倍、CIFSで25倍以上の帯域幅最適化の効果が得られるという。

 具体的な仕組みとしては、コンテンツをキャッシュする「オブジェクトキャッシング」、繰り返される通信をパターン化して変更された部分だけを転送する「バイトキャッシング」、gzip圧縮、の各技術によってWANを通るデータをできるだけ小さくするとともに、プロトコルの最適化と帯域幅管理を行うことで、WAN最適化を実現しているとのこと。

 これだけを見ると、あまり目新しい点はないかもしれないが、ムラニー氏によれば、「最適化の効果がHTTPSの暗号化された通信にも及ぶ」(ムラニー氏)ことが最大の差別化ポイントだという。同氏は、HTTPSでもHTTPと同程度の最適化・遅延削減の効果があるというデータを示した上で、「競合のソリューションのほとんどは1つのポイントにしか対応できないが、当社では、帯域化とプロトコルの最適化をファイル共有だけでなく、HTTPSも含めて、包括的に統合されたソリューションとして提供できる」と主張。実際の早期導入事例において、同社の製品だけが顧客の広い要求項目に対応できた例がすでにあるとも説明した。

 「ユーザーは1つのアプリケーションに対応できるのではなく、包括的なソリューションを持つベンダを求めている。セキュリティコントロールとパフォーマンスはトレードオフとされているが、当社は唯一、これを兼ね備えたプラットフォームを提供できる」(ムラニー氏)。


米Blue Coat Systemsのマーケティング上級副社長、スティーブ・ムラニー氏 MACH 5で利用されている技術の概要

次年度売り上げ40億円が目標、セキュアコンテンツ配信市場のシェア6割を狙う

ブルーコートの代表取締役社長、河田英典氏
 また今回はあわせて、2月に就任したばかりの代表取締役社長、河田英典氏から日本市場に対する販売戦略も発表された。

 企業ネットワークのフロントエンドとして導入されるフォワードプロキシ用途の場合、セキュリティ制御がその地点で可能になることから、ブルーコートは情報漏えい対策に利用するセキュリティ製品として、プロキシアプライアンスを積極的に展開したい考え。同社ではその一環として、オプションのWebフィルタリングライセンスを60~70%値引きして提供するキャンペーンを、4月から9月まで行う。対象は自社製の「ブルーコート・ウェッブ・フィルタリング」ライセンスのみ。

 さらに、現在は6社ある1次代理店をさらに拡充するほか、2次代理店に対する技術サポートを提供するなど、代理店対応も強化する。具体的には、オープンソースのProxyサーバーである「Squid」を導入しているユーザー層の取り込みを狙いたいという。また、通信事業者への働きかけを強め、セキュアマネージドサービスとしての採用を実現させたいとしている。

 加えて、ワールドワイドで事業を行っている日本企業向けの営業部隊を配置し、代理店との連携のもと、大口顧客との関係を強める取り組みも行う。一般にWAN最適化ソリューションは、ブロードバンドが安価に利用でき、遅延の影響もそれほどない国内同士よりも、現地工場などをはじめとする国外拠点との通信において威力を発揮するとされており、MACH 5訴求のためにも、海外へ展開中の企業に対しての働きかけを強化する狙いがあると見られる。

 ブルーコートでは、こうした施策によって、エンドユーザー価格の合計で次年度40億円の売り上げを見込む。「前年比で80%の伸びを期待している。セキュアコンテンツ配信市場の60%を取りたい」(河田氏)。



URL
  ブルーコートシステムズ株式会社
  http://www.bluecoat.co.jp/

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( 石井 一志 )
2006/03/23 16:53

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