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日立が新型指静脈認証装置を発売、一般企業向けシステムの強化を目指す


今回発表された新型の指静脈認証装置

情報・通信グループ セキュリティ事業部の小坂満隆事業部長
 株式会社日立製作所(以下、日立)は10月10日、小型の非接触型指静脈認証装置を10月12日より販売開始すると発表した。セキュリティや認証制度を高めた点が特徴。また同時に、既存システムなどとの連携を可能にするサーバーソフト「指静脈認証管理システム」も発売される。指静脈認証はすでに入退室管理、銀行ATMなどで採用される事例が多く出てきており、特に金融分野で期待されているが、日立では今回の新製品を「ITセキュリティ分野への本格展開」のためのものと位置付け、一般企業システムでも広く展開したい考え。新製品はいずれも11月22日より出荷を開始する。

 指静脈認証は、人間の生体情報を利用して認証を行うバイオメトリクス(生体)認証の一分野。光を指に透過または反射させて静脈パターン(血管の模様)画像を取得し、あらかじめ登録しておいた本人のデータと照合することで認証する仕組みだ。バイオメトリクス分野では指紋認証が一般的に普及しているが、「情報が生体の中にあって盗まれにくい、精度が高い、というメリットがある」(情報・通信グループ セキュリティ事業部の小坂満隆事業部長)といい、日立では生体認証のデファクトスタンダードとするべく、事業を進めている。

 今回発売される製品もその流れの中で提供されるもの。新型指静脈認証装置は、小型の非接触タイプで、認証データを暗号化する機能を搭載するほか、指静脈認証専用のワンチップLSIを開発し、認証アルゴリズムや必要な処理を全部担当させることで、高いセキュリティを実現した。また上部カバーを設け、近赤外線を上から透過させるデザインの採用によって、外光の影響を排除。高い認証精度を達成したという。

 一方の指静脈認証管理システムは、指静脈の登録、センターサーバーによる認証、暗号化によるセキュアデータ管理、の各機能を備えたサーバーソフト。複数のサーバーへ認証データを分散させる機能を搭載することで、数万ユーザーにも対応なスケーラビリティを備えた。加えて、既存業務アプリケーションとのスムーズな連携を行えるようにAPIを用意している。また、大量のユーザーアカウント一括登録を可能にして管理者の運用負荷を大幅に削減したほか、ユーザーアカウントを拠点や部門に振り分け管理する機能を持ち、グループごとにセキュアに運用管理を行えるようにした。

 価格は、新型装置が2万9400円、指静脈認証管理システムが2万1000円/クライアント。日立では指静脈認証ビジネス分野において、2006年度からの3年間で1000億円の売り上げを目指すと表明したが、今回の製品では、「当社で20万台が目標だが、関連するSIサービスなども含めて300億~450億円の売り上げをあげたい」(小坂事業部長)としている。

 なお今回の新製品は、日立ソフトとの共同開発製品となり、2製品は日立ソフトからも発売される。日立ソフト側での名称は、新型装置が「静紋 J300」、指静脈認証管理システムが「AUthentiGate 02-00」。



URL
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/10/1010.html

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( 石井 一志 )
2006/10/10 16:26

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